テラーノベル
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事件の翌日。激しかった雨は嘘のように上がり、初夏の強い日差しが警察署の窓を刺していた。しかし、地下にある特別取調室の中だけは、凍りつくような静寂に満ちていた。
「……なぜ自首した」
勇一は、極めて冷静な、しかし喉の奥が震えるのを必死に抑えた声で問いかけた。机を挟んで向かい合う輝道は、安物のスウェット姿でパイプ椅子に深く腰掛け、静かに笑った。
「兄さん。あんたの優秀な同僚たちが、外で血眼になって俺を捜している。だったら、自分からここに来た方が安全だろ?」
「私をお前の身内と呼ぶな。お前は昨夜、朝原卓を銃撃した殺人未遂の容疑者だ。……そして、なぜお前が、警察の特別捜査班にしか支給されないはずの『サクラ』と同型の銃を持っていた?」
輝道は、ゆっくりと上体を前に傾けた。その瞳の奥に、底知れない闇が広がる。
「兄さんは、本当に正義の味方だな。……じゃあ教えてやるよ。俺がその銃を手に入れたのは、お前たちの組織の『上層部』からだ。朝原卓を裏で操り、10年前に彼の死を偽装した組織。その本当のボスは、警察の内部にいる」
勇一の息が止まる。
「俺は、その黒幕から『高橋勇一刑事を消せ』と命令されて、あの部室へ送り込まれたんだ。もし俺が自首せず消えていたら、今頃兄さんは、別の暗殺者に後ろから撃たれていたさ。……俺のポケットから押収したあの銃のシリアルナンバーを調べてみなよ。それが誰の私物として登録されているか、兄さんならすぐに分かるはずだ」
コメント
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第5話、一気に引き込まれました。兄弟同士の取り調べという構図がまず重いのに、輝道から「上層部が黒幕」と告げられるラストの衝撃。勇一の「息が止まる」描写で、こっちまで息を呑みました。あの銃のシリアルナンバーが誰の私物か——ここからどう暴いていくのか、続きが気になって仕方ないです。