テラーノベル
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「ボス直々にお出迎えってわけか」
すまない先生がそう言う。
「俺の組織が独自に作った毒を受けても立ってるとは……一体どんな体してるんだ」
「生憎、僕は英雄でね。それに今は僕の大切な生徒が掛かってるんだ。ここで倒れる訳にはいかないんだよ」
すまない先生は草薙剣を構える。それに相対するようにトアールも長剣を構える。
「へぇ……君も剣を使うのかい?」
「……剣……まぁ、そうだな……」
トアールのその曖昧な答えにすまない先生は違和感を覚えた。まるで得物は剣ではないような口ぶりだったからだ。
(……僕を舐めているのか、はたまた別の理由があるのか分からないけど……得物じゃないのなら僕に利がある……!そのアドバンテージ、利用させてもらうよ!)
ヒュンッ!
ガキィンッ!
「……ッ……!」
「……へぇ……?中々に強いね、コルテージュのボス殿?」
「……ッ……まあ……」
「……?」
曖昧な答えにすまない先生は首を傾げる。
(なんだこいつ……さっきから曖昧な答えばっかりして……)
「……それより良いのか?そんな無駄口叩いていて。お前まだ毒回ってんだろ?さっさと解毒剤欲しいんじゃねえのか?」
トアールが煽るようにポケットから解毒剤と思わしき透明な液体が入っている、小さな容器を取り出してゆらゆらと揺らす。
「確かに解毒剤欲しいのもそうだけど僕達の一番の目的は銀さんを助ける事だ。それさえ出来れば解毒剤も特に要らないさ」
そう言って再び草薙剣を構える。
「……めんどくせぇな、英雄ってのは。そんな自己犠牲してたら早死にするぞ」
トアールはめんどくさそうに細身の剣を横薙ぎに払う。
「そのくらいじゃ死なない様にキツい試練を潜り抜けて来たんだよ。君の常識は通じない」
「チッ……めんどくさいだけかと思ったが強敵か。まあ、その方がめんどくさいだけよりマシだ。やろうぜ?」
トアールも剣を構える。
トッ
両者同時に地面を蹴った。
毒が回っているはずなのに重くて早いすまない先生の斬撃に防戦一方のトアール。やはり剣は得物では無いのだろうか。
「剣、得意じゃ無いんだよね?それなのに剣で挑んでくるのは何でだい?僕の舐めてるのかい?それとも……」
「うるさいッッッ!」
トアールが激昂した。今まで何を言ってもキレなかったトアールが、だ。リデルも初めてなのかビクッと肩を震わせていた。
「……ふぅん……それが君の沸点か」
「……ッ……」
「じゃ、容赦はしないよ」
すまない先生は誰の目にも止まらぬ速さで突進した。トアールは流石と言うべきかすんでのところで受け止めたが突進して来た時の風で来ていたローブのフードが脱げた。その下から現れたのは……
____ふわふわとした銀髪____
「えっ……」
すまない先生が剣を押し込みその反作用で後ろに飛んだ。
「あはは、バレちゃったか」
その声は聞き慣れていた“あの声”で……
「“銀さん”……?」
白銀の彼は“ダークグレーの瞳”を細めて微かに笑った。
コメント
4件
トアールが銀さん…悲しい… 銀さんの目の色深緑よね!?ダークグレーって洗脳されてますやん…すまない先生はそれに気づいているよね?早く銀さんを呪いから救い出して欲しい!てかなんで「剣を使うのが得意じゃない。なのになんで剣で挑んでくるのか」ってすまない先生が言ったらキレたんだろう?