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「ねぇ……銀さん、嘘だよね?ドッキリかなんかでしょ?さすがに心臓に悪いよ?」

すまない先生が泣き笑いの表情でそう言う。みんな気付いていた。悪ふざけでも何でも無い。これが現実なんだ、と。でも、それを受け入れられなかった。

「“いいえ?俺は本気ですけど?”」

トアールがそう言い切った。もう正体を隠す必要がなくなったからか、トアールは武器を得物の巨大なハンマーに持ち替える。

「……ッ……銀さん、君を取り戻すためだ」


____「全力で来い」


その言葉と共にトアールはハンマーを大きく振り被りながら跳躍する。ただでさえ重いハンマーの重量に加え跳躍の威力も上乗せされた打撃は、避けるだけでは衝撃の余韻を受けてしまう。しっかり遠くまで避けるか受け流すかしなければならない。確実なのは避ける事だ。しかし次の攻撃に転じるまでのタイムラグが生じてしまう。タイムラグを無くそうと思えば受け流すほうがいいのだが、失敗すれば大ダメージを喰らう。

すまない先生は受け流す方を選んだ。

失敗する事もなく受け流し切りトアールの背後に回り込む。ハンマーは一撃一撃の威力が大きく、一発でも喰らえば大ダメージになるが逆に避け切れば次の攻撃転じるまでに大きなタイムラグが生じる、という欠点がある。その僅かな隙を逃すはずもなく。後ろに回り込み追撃が来るよりも前に一発喰らわせてから、また間合いから逃れる。そしてまた別の方向から攻撃を喰らわせる。ハンマーという重量のある武器を振り回す以上、僅かに動きが鈍る相手の攻撃を封じ、かつ自分の攻撃はしっかりと当てる。それを一発の狂いもなくやり切れるのは、やはりすまない先生だからだろう。

「……ちょこまかと……小賢しい……!」

トアールは横薙ぎにハンマーを振るった。避けが間に合わなかったすまない先生はまともに喰らい、壁に打ち付けられた

____と思った。

が、すまない先生はハンマーの直撃だけはなんとか避けて見せた。避け切れないと悟ったすまない先生はハンマーの攻撃を剣で受け止めたのだ。とても踏みとどまる事はできず壁まで吹っ飛ばされたが、そこまで大きなダメージには至ってなさそうだ。

「チッ……肋骨を砕くつもりだったのに……」

ハンマーを軽い動作で構える。

「やはり“英雄”……一筋縄では行かないか」

「どんな手を使われようと銀さんを取り戻すまでは倒れないけどね」

すまない先生は厳しい声で返す。

「……その威勢がいつまで続くか、実に楽しみだな“英雄”」

トアールは薄く笑う。

「いつまでだって続けてやるさ」

すまない先生はしっかりと見据える。


【すまないカリバー!】

【シルバーアルケミー!】


両者の声が響いたのは同時だった。

互いの攻撃が激突し、玉座の間に暴風が吹き荒れる。最初のせめぎ合いを制したのはトアールだった。一直線の攻撃【すまないカリバー】より範囲攻撃の【シルバーアルケミー】が僅かに利があった故の結果だった。

「……くっ……」

いくつかの針が服を貫いて突き刺さる。しかし、それだけではなく、刺さったところからひんやりとしたナニカが侵入してきたような気がした。

「……どうだ?俺の負のエネルギーは」

「……っ……!」

トアールの瞳は酷く濁っていた。

白銀を染めし闇の宝冠

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