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死ネタ
dom/subユニバース
とても可哀想です
唯々可哀想
ほのぼのなんてないですよ。
悠佑が出かけたいなどと言った。
俺もDomの性質上、独占欲は強い方だ。
だが、自由を奪うと悠佑が嫌がるから、できるだけ自由にさせてるつもりだ。
「じゃあ、行ってくるな!」
そう元気に言うと同時に、ゆるく一つにまとめた彼の長い髪がゆらりと揺れた。
彼の首につけているカラーのチョーカーが髪の隙間からちらりと覗く。
「門限は8時だから」
「はーい! んじゃな!」
バタンと音を鳴らして、玄関が閉まる。
この時、俺に『一緒に行く』という選択肢がなかったことが、少なくても、位置情報の一つでもつけていたら良かったのに…それが一生の悔いになり自分を攻め続ける事となることをこの時の俺はまだ知らなかった。
静かな部屋に秒針の音だけが響く。
もう30分もたったのに、帰ってこない。
電話もLINEもした。
でも悠佑は電話にも出ず、既読もつかない。
段々と不安が募ってくるがそれと裏腹に時間は刻々と過ぎていった。
2時間がたった。
絶えずずっと連絡をし続けているが、出る気配すらない。
俺は外に出て、悠佑の行動範囲全域を探した。
メンバーの家も全部確認したし、事務所の鍵も閉まっている。
家から何回も往復している間に、日が昇り始めた。
寝起きが悪い俺は、日が昇り終わったぐらいに目が覚めるから久しぶりに日の出を見た。
が、日の出を堪能している暇などない。
路地裏も見た。駅も公園も、思い当たる場所は全部探したが、悠佑はいなかった。
3時間くらいたったあたりでないことばったり会った。
「…お前、俺に連絡してきた時からずっと徘徊してるんじゃないよな…?」
当たり前のことをさぞかし、人の頭が可笑しいみたいに言う。
Subの彼女が門限過ぎても、ましてや、約12時間帰ってこなかったら探し回るくらい当たり前だろ。
少し考えれば、Yesと答えれば家に戻されて、寝かしつけられるくらい簡単に予想できたのに、徹夜で何時間も同じところをぐるぐる徘徊していた俺の知能は驚くほど低下していたらしく、バカ正直に頷いた。
予想通り、ないこに問答無用で家まで引きずられて、寝かしつけられた。
こんなことしている間に悠佑になにかあったら、そんなことをタスクのように頭でぐるぐる考えている間にころんと眠りに落ちた。
起きた時にはもう15時になっていた。
少し傾いてきた日が射している。
ないこは、隣の机でノートパソコンを広げて休むことなく手を動かしていた。
働かない頭でむくっと上半身だけ起き上がらせてみたら、ないこがパッと俺の方を見た。
「もうちょっと寝てても良かったのにー」
そう言った瞬間に聞き慣れたインターホンの音が耳に入る。
一瞬悠佑かと思うが、悠佑ならインターホンなんて押さないだろう。
そう自問自答している間に、ないこは玄関を閉めていた。
なにかな、と思い、ないこを見上げると、ビニール袋が下げられていた。
「昼ご飯ー、にしては遅いけど、朝からなにも食ってないっしょ? だから、食え。」
そう言って、手招きをしてくる。
流石に、ベッドの上では食べられないと思い、寝起きの重い体を起こして、リビングに向かった。
ご飯も食べ終わりもう一回ないこと一緒に悠佑を探しに、外に出た。
行動範囲から外れたところも徹底的に探し回った。
が、悠佑は見つからなかった。
どうしようかと切羽詰まっていたところに電話が鳴る。
悠佑かと思い、画面を見るが、知らない番号だ。ましてや、スマホの電話番号ですらない。
怪しみながらも電話に出ると、若い女性の声が響いた。
「…は?」
電話の内容を簡単に要約するとこうだ。
『悠佑がDomに襲われてサブドロップしてて危険な状態だからパートナーのお前が病院に来い』
ということ。
ないこにそう話して、急いで車を飛ばす。
看護師によると、今、悠佑は集中治療室にいるらしい。
聞くと、悠佑はコマンドを使って、ラブホに連れて行かれ、セーフワードすらないプレイを最後までして、放置されていたらしい。
無理やりのコマンド漬けにされて、サブドロップの状態で1日放置されたから、とても危険な状態。幸い、ラブホの従業員が見つけて、救急車を呼んでくれていた。しかし、あと少しでも遅かったら、打つ手なく死亡していたかもしれなかったそうだ。
でも、まだ意識が戻らないようで、集中治療室で治療を受けている。
このことは、警察も動き、テレビでも報道された。
すぐに犯人は捕まった。
悠佑よりも10才以上年上の男だった。
悠佑とは真反対の見た目。
悠佑はこんな奴と繋がったのか。
そう思うと、背中に悪寒が走り殺気と鳥肌が収まらなかった。
俺は、あれから毎日病院に通い続けている。
でも、にこりともしない悠佑が本当に起きるのか、ある日ことんと死んでしまってるんじゃないかと思うと心配で夜も眠れなかった。
そして、悠佑が起きないまま、2週間がたった。
悠佑がいない喪失感のまま、仕事に追われる日々。
今日も悠佑がいないだけで、仕事にすら集中できない。
昨日も会議で失敗して上司に怒られたし、同期にも顔色悪い、とか、隈も酷いとダメ出しされてしまった。
この日は、大きく天気予報が外れて、昼辺りから雨が降り出した。
もちろん傘なんて持っているはず無く、帰るときには大雨になっていた。
鼻をツンとさす雨の匂いに嫌になりながら、病院に向かおうと足を伸ばした瞬間。
スマホが鳴った。
左のポケットに入っているスマホを取り出して、画面を見ると病院からだった。
スマホを耳に当てて、はい、と仕事疲れのド低音で電話に応答する。
そうすると、悠佑の担当医の先生の落ち着いた低音が耳に届く。
『___悠佑さんが意識を取り戻しました_』
俺はスマホを落とした。
安心感からか、手の力が抜けコンクリートの上にコツンと落ちていった。
幸い、屋根の下だから、スマホが壊れることもなく、傷もなかった。
詳細を教えてもらいながら、車を駐めている駅に早足で向かう。
Subが入院できるくらい大きい病院は、家からも仕事場からも遠いから、できるだけ早く行きたいのに、急いでいる時ほど信号に引っかかる。
病院についた時には、もう一時間ほど経っていた。
息を切らしながら、早足で部屋に向かう。
ガラガラとドアを引くと、いくつかの点滴に繋がれた悠佑がベッドに座り、暗いグレーに染まった空を見上げていた。
そして、ゆっくりこちらを振り返る。
久しぶりに見た悠佑の黄土色の瞳には、ハイライトなんてものは、なかった。
「ッ、ゆぅすけ、! ッほんっとに、よかった…ッ」
そう言いながら、ベッドに座っている悠佑に抱きつく。
目頭がじわっと熱くなるのが分かる。
しばらくそうしていると、先程電話をしてくれた悠佑の担当医が、悠佑について話し始めてくれた。
先生は、悠佑の体調がある程度よくなるまでは入院させたいという内容と、プレイはできなくても、ケアはできるだけやっていってほしいという内容、
他には、薬についてや、後遺症についてなど、色々な話をした。
俺は、真面目に聞いていたが、悠佑は途中で寝落ちしてしまった。
先生は、体力の低下も後遺症の一つだと言って苦笑していた。
雑談混じりに話をしていると、もう数時間経っていて、すやすやと眠っている悠佑の頭を撫でて、御暇させてもらった。
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RaK
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神楽凪恋@🍣彡受け中毒者
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