春高予選、徹達は烏野高校という所に惜敗したらしい。
あぁ、終わっちゃったのか。
自分の事のように悔しく感じる。
それに………負けたということは、徹と話をしなくてはいけない。
自分が決めた事だけれど、とてつもなく憂鬱だった。
どうしようか…悶々と考えていると徹から接触があった。
徹の要望で、今週の日曜に近所の公園で会って話をするということになった。
二つ返事で了承してから、日曜までの3日間、頑張って生きた。
嫌いな薬もちゃんと飲んだし、先生の言うこともよく聞いた。
そして、遂に日曜。
いつもの何倍も早く起きて、デートする時よりも可愛くおめかしして、異変がバレないようにした。
違和感のある頭に帽子を被せ、家を出た。
頑張ってオシャレしたおかげか、彼との待ち合わせ場所に行く前に寄った病院でも、先生や鈴木さん、他の患者さんに
「すごく可愛いわね」「似合ってる」
などと褒められた。
おだてられて自信がついた私は、公園へと向かった。
時刻は17時20分。
待ち合わせ時間よりも少し早めの到着だ。
公園内に入ると、ベンチには徹が座っていた。
久しぶりに見る徹に、何故だか怖気付く。
だめだ。嫌われたくない。
言えない、言いたくない。
嫌だ、やだやだやだやだやだ。
こんなに頑張ってお洒落して、病院の人達にも元気付けてもらって、強くなった気がしていたのに。決心が着いた気がしたのに。
やっぱり、弱い自分のままだった。
あの時逃げた私と、同じだ。
1ミリも成長してないじゃん、私。
こんなに頑張っても、意味ないじゃん。
動かない足を見つめながらずるずるとしゃみがこむ。
「ぅ、あ…」
ぼろぼろと涙を零す自分にうんざりする。
徹に悲しい顔をさせた自分が大嫌いだ。
弱い自分が。勘違いしていた自分が。とても情けない、大嫌い。
どうしようもない想いを涙にして流していると、不意に私の前に影が落ちた。
不思議に思って上を向くと、そこには驚いた表情をした徹がいた。
𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝250♡
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