※ 普消滅済み前提
※なんだか独が不穏
※もう一度言う、普消滅済み
no side
あるビルの一角では、国の化身と呼ばれるもの達が集まり、世界の行先を決める会議をしていた。
伊「…ねぇ、菊」
日「フェリシアーノ君、どうされましたか?」
伊「あの、やっぱりルート、さ…」
日「……」
世界の行先を決めると言う大それた目的があるにも関わらず、 ある者は険悪な空気で睨み合い、 ある者は寝てしまい、ある者は罵り合う罵り合う。
とてもでは無いが会議と言える状況ではなくなっていた。
普段はこのような事態になる前にドイツの化身“ルートヴィッヒ”が喧嘩をおさめ、それた議題を元に戻すことで、何とか会議を進めていた。
しかし、今この場にいるルートヴィッヒはクマが酷く、普段の面影など微塵も感じられない。
日「仕方ないでしょう…だって、彼が消えてからまだ……」
伊「…うん」
彼らはそれぞれイタリア、日本の化身であり、2人はルートヴィッヒとも仲が良く、一緒にいることが多かった。
米「…あーもう!五月蝿い!!」
米「こんなんじゃあいる意味なんてないんだぞ!? 俺は帰らせてもらうよ!!」
日「かえ!?」
そう言うとアメリカの化身、アルフレッドはさっさと荷物を整理し、帰ってしまった。
中「こればかりは我も美國に賛成あるね」
露「そうだね〜、…僕も帰るね」
英「お前らなぁ…」
仏「でもお兄さんもアルに賛成」
英「……」
どの国も無駄だと思っていたのか、早々に帰り支度を始めており、もう半分はいなくなっており、ルートヴィッヒの姿ももうなくなっていた。
Germany side
独「……」
家に帰ると着ていたコートを脱ぎ、 コートハンガーにかける。
ここまでは、普段と何も変わらない。
そう、五月蝿い兄が後ろからちょっかいをかけてこない事、 それ以外は、普段と何も変わらない。
ア「クゥ〜ン…」
いつもと違う様子の主人を見て不安になったのか、 それとも普段と違う家の、ギルベルトのいない家に不安を感じたのか…
愛犬達が足元に集まってきた。
独「あぁ、大丈夫だ。」
独「そう、俺は大丈夫だ。だから……」
フラッ
あぁ、なんだ…これ、は……
視界、が ──────
ブ「クゥーン…」
べ「クゥーン…」
……
独「ん…??」
いつのまにか意識を失っていたようで、 目が覚めると、 愛犬達が心配そうにこちらを覗き込んでいた。
独「…俺は、大丈夫だ」
そう伝えると愛犬達はまだ若干心配そうな顔をしているが 素直に離れ、こちらの様子を伺っていた。
……それにしてもこの程度で倒れるとは、、
俺は、まだまだあの人には…
こうしてはいられない、すぐに仕事を……
独「…?」
何故、だ身体に力、が入らない…
ダメだ、ダメなんだこの程度で倒れていては、
到底あの人には敵わない
あの人に任されたこの国を、国民を、
守ることなんてできない
守れるのか?
あの人すら、兄さんすら守れなかった俺に。
守れるわけがないだろう
だが、守らなければいけない
守らなければいけないんだ
それが、兄さんとの約束だ
最後の、最後の約束、命令なんだ
独「兄さん…」
独りに、しないでくれ …
?『ヴェスト、』
独「!?」
…あぁ、俺は、幻聴まで、、
ダメだ、ダメなんだ、こんなことでは
…
?『ヴェスト、ヴェスト。』
五月蝿い五月蝿い五月蝿い五月蝿い五月蝿い五月蝿い五月蝿い五月蝿い五月蝿い五月蝿い五月蝿い五月蝿い五月蝿い五月蝿い五月蝿い五月蝿い五月蝿い五月蝿い!!
夜も寝れぬ程、聞きたかったあの声、 呼んで欲しかった名のはずなのに、 今はただ五月蝿い
?『……悪い、ヴェスト』
何故、何故貴方が謝るんだ 何一つ、
謝るべきことなどしていないのに。
謝りたいのは、俺の方だと言うのに
……でも、もし本当に許されるなら、
もう一度だけ、 もう一度だけ
呼んでも、良いですか?神様
独「兄、さん…」
?『!!』
普『ヴェスト…!!』
あぁ… 目からとめどなく溢れてくる涙のせいで
視界は良くない…が
どんなに前が見えなくとも 聴こえてきたその声は、
何度も、何度も聴きたいと願った
正真正銘兄のものだった。
こんな涙など無くなってしまえばいいのに
強く、強く望んだ兄の顔は、殆ど見えやしない。
きっと今の俺は、酷い顔をしていることだろう
普『ほら、泣きやめよヴェスト』
そう言い俺の涙を拭う兄の顔は、
目元が赤く、今にも涙が溢れ出しそうだったが、
口元はしっかり笑っており
普段の兄を彷彿とさせる姿だった。
独「…カ」
普『?どうしたんd』
独「バカだ…」
普『!!』
俺はこんなに、 こんなにも辛かったと言うのに…!!
それなのに貴方は!! 消えたと思えば!
勝手に現れて…!!
独「俺は!!!」
フワッ
独「!!」
その瞬間、温かい太陽の日差しに、 柔らかい絹の布に、包まれたような気持ちになった
普『ごめんな、こんな不甲斐ない兄で』
そう言い、俺をしっかりと抱きしめる兄の体は 透けており、今にも消えてしまいそうだった。
そして、顔は辛そうに、歪んでいた
違う違う違う違う俺は、貴方にそんな顔して欲しかったわけじゃ…!!
独「ちが、」
普『でも俺はお前の兄になれたことを誇りに思う』 普『ヴェスト、』
普『お前は、俺の大切な弟だ』
独「ッッ!!」
独「兄さん!俺だって、貴方のことをッッ!!」
普『なぁ、ヴェスト』
普『俺はお前を確かにドイツの化身として育てた』
あぁ、そうだ。 だから、だから俺は 貴方に認めて、褒めてもらえるようこんなに、
普『だが、その前にお前は俺の弟だ』
普『俺の世界一大切な、幸せになってほしい宝物だ』
あぁ、貴方は狡い…
普『だから、お前が幸せでいれば俺はそれで良い』
そう言い終わると兄は満足そうな顔をして、 消えていった。
そこにはまるで最初から何もいなかったかのような静けさが戻り 俺の涙だけが残った。
独「…」
独「兄さん、」
Ich liebe dich
俺がそう言うと、何処からか ケセセ、と懐かしい笑い声が聞こえた気がした ───────
りんどう
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悲しみにくれるあなた
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