唇から、抗い難い思いがなだれ込む。
ぎゅうと締め付けられるように腰を抱かれ、喉を過ぎ胸の奥を溢れそうになる熱を受け止める。
立っていられなくもなりそうな身体が壁際に押し付けられて、
「……愛してるっ」
迸るような言葉に、「……私も」それだけを返すのが精一杯で、息をすることさえできない。
背中に回った指先が、ドレスのファスナーをツーと下ろして、
「……あなたを、泣かせてもいいですか?」
スーツの上着を脱ぎ捨てた彼が、追い立てるように訊いてくる。
いやいやと首を左右に振ると、
「泣かせたいんです。弄めて、責めたい。泣くあなたは、色っぽくて……私を、感じさせる」
耳へ低く囁かれて、「……少しだけ、なら…」と、か細い声で応えると、
首元に不意に歯を立てられ、喰らいつかれて、
「……うんっ」
思わず涙が滲んだ──。
噛まれてじん…と傷む肌が、濡れた舌でじりっと舐め上げられる。
肩からドレスが脱ぎ落とされ、ブラがたくし上げられると胸の膨らみが片手に掴まれた。
手の跡が赤く付きそうな程に揉みしだかれて、溜まっていた涙が零れ落ちる。
「……もっと、泣いて、私を感じさせて……」
彼の声音が私の身体を煽り、意識さえ奪っていくようで、
溢れる涙さえ、止め方もわからなくて、
耐えられずに、その背中に爪を立ててしがみつくと、
「……んっ」と、彼が声を上げる。
「そんなに爪を立てたら、シャツが血で汚れてしまう……」
耳元で言われて、びくりとして手を外そうとすると、
「……もっと強く、しがみつくといい。シャツに血が付くことなど厭わないので、強くもっと……」
彼が引きかけた私の腕を捕らえ、自らの背中を抱えさせた。
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