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《クインズタウン》
ここはグリードで1番大きな街だ、年中無休で人がごった返してる。
私は国の代表騎士なので国民に顔がバレているので国が最先端技術の魔法で作りあげた【気配遮断】のローブを羽織ってギルドへ向かっていた。
「さて、着いたな」
ギルドからなら、他の街へ【転移魔法】で行くことが出来る、行き先は《ジャックスタウン》……ではなく、私は少しだけ、本当に少しだけ“あいつら”に会いたくなった。
私はローブをとってギルド員の居るカウンターへ行く。
「こんにちは、《クインズタウンギルド》へようこそ!ご用件はなんですか?……って!キールさん!?」
十中八九、騒がれそうになったので、私は人差し指を口の前に持っていき騒ぐなと遠回しに言った。
「し、失礼しました!ご用件は?」
「私の、《パーティーメンバー》が今どこで依頼をしているか教えてほしい。」
「わかりました!少々お待ちを」
そうして、私は懐かしきパーティーメンバーが居るはずの__
《スロー村》へ転移した。
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《スロー村周辺の森》
「ギルドの報告ではここらへんを開拓していると聞いたが」
ギルド員の情報によると1ヶ月前からアイツらはここに居るらしい。
だが周辺と言ってもこんなに広くては骨が折れそうだ。
……とか思ってたら遠くで木が倒れる音が聞こえた。
「ふむ、魔物だとしても大きな木を倒すくらい強いやつか……村に被害が出ても大変だから倒しておこう」
だがそんな魔物は居ないのはよく分かっていた、なぜなら____
「なんでそんな事もできねぇんだ!オリバ!殺すぞ!」
「はぁ?無理だろ……」
そう、コイツらが居る限り危険な魔物など全て狩られていれはずだからだ……懐かしい声だな。
会うのは何年ぶりだ?
私が近付くとあちらの2人も私に気づく。
「よっ」
「「よっ」じゃねーよ!国の代表騎士キー様が何のようだ?まったく何年も連絡よこさねーやつがよ!殺すぞ?」
「まぁそう言うな、久しぶりに会いに来ただけじゃないか」
この小さく金髪ミディアムショートで赤いメッシュの黒い魔法使いローブを着ている女の名前は《クロエ》。
いつも機嫌が悪いように見えるが実はそんなに悪くない。
私が昔、代表騎士になる前に組んでたパーティーの1人で《サポート》《回復役》を主にするのだがそれと同時に《前衛》も担当していた少女だ。
「キーくん久しぶり……」
そしてこの元気の無さそうな声をしてるのは《オリバル》。
身長は男にしては小さいがたくましい筋肉とクロエと同じ前線で戦うが、主に《相手の気を引いて真っ向勝負》を挑む《タンク》の役割をしているので傷が耐えない身体。
ちなみに髪は黒髪に緑のメッシュが入っている。
ちなみに、《キー》と言うのは私の事で私達はお互いにアダ名で呼びあってる。
共に死線をくぐりぬけた仲だ、自然とそうなった。
「久しぶり、で、何してたんだ?お前ら」
「【ウォータースラッシュ】の練習」
ウォータースラッシュ、ミクラルの魔法で確か圧縮された水を発射して相手を斬る魔法だ。
魔力の操作、量でどれほどの威力が引き出せるかなのだが……
「こんな大木を斬るほど他の国の魔法を使いこなすとはな、相変わらず私よりもよほど強い」
「当たり前のことを言ってんじゃねーよ」
一応、私この国の代表なんだがな……
「てか、オリバが出来ねーんだよ」
「無理言うな、俺はそんなに魔法が得意じゃない」
クロエの魔力操作の繊細さは常識を超えている。
ましてや、自分の装備についてる魔法を自分のアレンジに書き換えるなど何年も魔法を研究している者でさえ出来ない。
「ところで、《スロー村》は昔からあったが、どうして今頃あの村を大きくしようとしてるんだ?」
「あー……」
クロエが申し訳なさそうにするからオリバルが答えた。
「《クバル村》に今誰も居なくなってギルドの【結界】も切れて魔物が住みだした……《クバル村失踪事件》の原因が解ってないから何があっても対応できる《エメラルド冒険者》である俺たちにギルドから依頼があったんだ……」
「どういう依頼だ?」
「《スロー村》と《元クバル村》を開拓で一つの村にする様にと……」
「そうか……」
「その……残念だったな、奥さん」
「当時はかなり錯乱したけど今は大丈夫だ。それより、《クバル村》か……懐かしいな」
「ちょうど明日行ってみる予定だったし一緒にどうだ?」
「いいのか?」
「いいんだよ、どうせお前も王宮に引きこもっていつも出なかったろ?どういう用件でここに来れたかしらんが、お前の育った《クバル村》見とくといいぜ」
「キーくんと久しぶり話したいし……」
クロとオリバの二人は私を気遣って言葉をかけてくれている。
「お前ら……」
あぁ、懐かしいな、パーティーでお馬鹿な事言い合って四人で笑い合う……そういえば私達パーティーにはもう1人_は
「そういえばルコサは?」
「あー、あいつ?知らねーよ!なんか結構前から神殿とか教会とか寺とか行きだしてどこそこ行くからな、キーさんと同じで何年も連絡とってない、何してるんだろうな死んでるんじゃねーの?」
「知らないって言うわりには結構知ってるな?」
「キーくん……クロはみんなの事を何だかんだ調べてる」
「バッ!てめーオリバ殺すぞ!」
「フフッ、そうか」
そう。3人にもう一人の人物、ルコサを入れてパーティー完成なのだ。
もっとも私が代表騎士になった時にこのパーティーを抜けたのだが……
「とりあえず明日、早朝《クバル村》に行くから、今日は《スロー村》でゆっくりなんか食べてきな、俺たちはまだ仕事をしてる」
「邪魔して悪かったな、明日は此方も武器を持ってきて手伝わせてもらうよ」
「おう!」
「じゃぁね、キーくん……」
そう言って私はスロー村へ引き返した。
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時刻は夜の9時頃。
私はギルドの横にある居酒屋に来ていた。
「相変わらず賑わっているな」
やはり冒険者達の集まる場所は良い。
騎士になってお行儀のいいやつばかりだがこう言うところに来て見る事で昔を思い出して感じる。
ちなみにローブは来ていないが私を見て騒ぐ者も居ない。
少し寂しい気持ちもあるが、田舎まで私の名は通ってないのだな。
「マスター……ルグランサもう一つ~」
奥の壁際カウンターから若い女の声が聞こえる、あの子かなり飲んでるな。
ちなみに私も私の妻もお酒は飲めなかったので何が美味しいかまったく解らない。
だが私より若いあんな女の子があんなに飲むのだ、美味しいのかもしれないと思ってしまう。
「マスター私にもルグランサを一つくれ」
「はいよ、大丈夫か旦那?これ結構強いぞ?」
「飲んで見ないことには解らない、いざ__んぐ!?」
グボァ!?
「な、なんだこの飲み物は!毒か!」
「だから言ったじゃないか旦那!ったく、これでも飲んで落ち着きな」
そういってピンク色の飲み物を出してきた、それを飲むと口にフルーティーな味が広がりさっきまでの酒の味もなくなった。
「これは、うまい」
「そうだろ?この近くでとれた《ルンゴ》からのエキスを充分に使ったジュースだ!寒い所で丹精込めて作った分、最高の仕上がりだ!その他にもここにある料理はうまいぞ?」
「ハハハ、マスターも商売が上手いな、ありがとう、ではこの《ウーリーシャークのバルモス焼き》をくれ」
「あいよ!ちょっと待っててくんな」
そういってマスターは料理をはじめる、どうやら他にも料理を頼んでる人は多いので私の料理はすこし時間がかかりそうだ。
『ウーリーシャーク』か……妻の得意料理もウーリーシャークを使ってたな、将来はユキが育ったら食べさせてあげるんだって言ってたっけ……
考えると涙が出そうになる。
結局自分の子供も行方知れずだ。
生きていてくれ……
周りの冒険者たちも酔っているのか、騒ぎがますますヒートアップしていく。そして、厄介なことに、かなり酔っ払った冒険者の一人が私に絡んできた。
「おいおい、なんか辛気臭ぇ顔してる奴がいると思えば国の代表騎士さんじゃねーか?あ?」
そう言われると周りがざわつき出す。
隠しているわけではないがこの様な感じで知られるのは少し不愉快だ。
「……」
「なーに無視してんのー?あー?おいおい見ろよ!みんな!こいつルンゴのジュースなんかのんでやがる!」
しかし、この気持ちも何か懐かしい気持ちになるな……昔ならばクロエが問答無用でぶっとばすかルコサがなだめながら穏便に済ませるかをしてくれていた。
まぁ、今の私もコイツくらいならぶっとばせるが国の代表騎士と言う肩書きゆえにコンプライアンス違反になりかねない。
「……」
「おいおい無視かよ?お堅い騎士さまはルンゴジュースに夢中ですか~?」
「……」
「おい!なんとか言えや!」
愚かにも掴み掛かろうとしてきたがその瞬間、男の顔にベチャッと何か汁が飛んできた。
「ぅアッチ!」
「そこまでですよ」
女性の声がした方を見ると、さっきまで酔っていた女の子だった。
「何しやがんだ!あぁ!?」
「うるさいです。酔ってはしゃぐのは良い!ですけど他のお客様に迷惑かけない!悪酔いをしても身内や友達以外に迷惑かけない!お母さんに習わなかったのですか!」
「何いってんだ!あぁ?歳も録にとってねぇガキがちょうしのりやがって」
「あなたの悪酔いのせいで周りが迷惑してます、よくもマスターの《パインポイン焼き》の美味しさに浸ってる時に私の視界で不味くなるような事をしてくれましたね!」
なるほど、先ほどの汁はその鉄板にあったソースか……
「うるせぇ!じゃあ見なければいいだろうが!」
「目に入ったからには見てみぬフリをしたら朝の目覚めが悪いんですよ、喧嘩しても良いですがここは一つ私とお酒飲み勝負をしましょう、負けたら相手側のお金を全額払う!これでどうです?まさか録な歳をとってない娘に負けるわけないですよね?」
「っ!上等じゃねーか!勝負だ!」
そう言いながら私につっかかって来た冒険者はあちらのカウンターに移動する。
その時に女の子の方がウインクをしてるのが見えた、どうやら私は救われたみたいだ。
「マスター!《ドレスワルツ》を用意してください!」
「嬢ちゃんこれめちゃくちゃ高いしアルコールも半端ないぞ?」
「上等です!そちらもいいですね?」
「上等だこら!」
そのあと、女の子の方が5杯、冒険者が2杯で女の子が圧勝し居酒屋内で歓声が起こった。
……しかし、あの女の子……昔から知ってる様な気がするのは気のせいか?