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〔第十六章:憧れの高嶺の花〕side:豊
僕の憧れであり、好きな人でもある”蜜奇さん”。
明るくて、優しくて。そんなの僕にはなくて憧れて、いつの間にか好きになっていた。
でも声はかけずらい…いや、かけられなかった。
怖かったから。この関係が崩れるのが。
言い訳なのは分かってるけど、やっぱり怖かった。
“叶うはずのない恋”だからこそ。
そして今日、やっと諦めることができた。
今日の秋祭り、蜜奇さんと緑川が楽しそうに回っていた。
僕は叶わない恋に恋焦がれていたんだ。
そう、ずっと。
・・・
「ーーかー?ふーーわ!冬川!」
「あっ⁉︎…ごめん」
「良かったぁ…返事ないし…ずーっとぼーっとしててんだぜ?」
「そう、なんだ…考え事してた…」
「行こう」と声をかけようとした途端、
「ねぇ、それって蜜奇さんの事…?」
と、夏目が口を開いた。
「えっ…あっ…」
「うんっ…」
急に考えてたことを当てられたせいか、少しひるむ。
「もしかして、二人の関係で悩んでるの?」
バシバシと当てられていく。
「もう…諦めがついたから…大丈夫」
「諦めたの?気持ち伝えてもないのに?」
「えっでも…」
伝えたところで変わらないのに。
(何でだろう、何でそんなこと言えるんだろう…)
「…よくないと思うなぁ…」
「えっ」
「たとえ叶わないって分かってても、モヤモヤしたままにしたないでしょ…?」
「…」
確かにそうだ。
モヤモヤしたままにしたくない。
「とにかく、俺は伝えた方がいいと思う!結局俺も”同じ立場”だし?」
「同じ立場…?てことは夏目も蜜奇さんが?」
「いやいやいや!違う違う!」
「そっ、か…」
「ま、行ってこいよ!」
ポンと背中を押される。
「あぁ、うん!”言って”くる」
夏目のたった一言で、僕はこんなにも変われた。
ケジメをつけに行こう。たとえこの恋が叶わなくとも。
・・・
「蜜奇さん…!」
「ん?」
「明日…いつか空いてます?」
「ん〜…昼休かな〜…給食当番の後だったら空いてる」
「その…ちょっと中庭に来てもらってもいいですか…?」
「あ〜、OK」
つけよう、自分なりのケジメを。