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「家族……ね。確かにあなたと私は血の繋がらない姉妹。それは認めてあげるわ。だから、お会計ごときでうだうだ言わないでよ」
「涼香姉さん……」
「私は工場のことに関しては知らないわ。パパが勝手に守ろうとしてるだけじゃない。私がお願いしたわけじゃないわ。バカみたいに必死になって。どうしてあんな工場を守りたいのかわからないわ」
発泡酒を1口喉に流し込んでからピザを食べ進める姉さんを見ていたら、心の底から悲しくなった。
「どうしてなの? 本当に工場が無くなってもいいの?」
姉さんは、子どもの頃はお父さんのことが大好きだった。それなのに、どうして……
確かに私達はもう大人。それぞれに考え方があって、あの頃のことを言われても困るかも知れないけれど……
「しつこいわね。その話はもういいわ。それより、琴音。龍聖さんは元気なの?」
また、いきなり話を変えられてしまった。しかも、1番聞かれたくない質問だった。
「えっ、あっ、さあ……どうだろうね。元気なんじゃないかな」
この前、みんなで集まったことは話してはいない。会ったことを話せば何を言い出すかわからないから。
「私、龍聖さんに会いたいの。でも、さすがに鳳条グループじゃいきなり会社に行っても会ってもらえないでしょ? だから、龍聖さんの直接の連絡先を教えて」
「涼香姉さん。龍聖君のことは無理だって言ったよね? あの人は毎日すごく忙しいんだよ。会いたいなんて言ったら迷惑かけるから」
そう言った瞬間、姉さんは嫌そうに顔をしかめた。
せっかくの美人が台無しだ。
「あの人は琴音の彼氏じゃないんだし、別にいいでしょ? 忙しいからって、食事をする時間や寝る時間はあるんでしょ? だったら、お願いすれば少しくらいは私に会う時間を作ってくれるかも知れないわ」
無茶苦茶な解釈に、開いた口が塞がらない。
「ダメだよ。龍聖君の大切な自由時間を削らせるのは申し訳ないでしょ」
「あなたが決めることじゃないわ。いいからさっさと教えて。ピザを食べたら帰るんだから」