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いつも通り保育園へ出勤した後、クラスや子ども達の様子を見ながら他の職員へ挨拶をして回る。子ども達は今日も元気だ。午後からの勤務なのでお昼寝をしている子ども達の寝顔に癒される。
『可愛い。』素直にそう思える。フリーで入った3歳児クラスのお昼寝が終わった。子どもが徐々に起きてくる。
「都希せんせーだー!今日はここなのー?」
「嬉しいー!」
「やったー!」起きて来た子ども達に囲まれた。
「今日はうさぎぐみさんだよ。よろしくね。」子ども達へ声を掛けた。徐々に起きて来る子ども達に関わりながらほっぺが赤い男の子に気付いた。おでこを触ると熱い。
「おでこ熱いね。お熱かもしれないから計りに行こうね。」
他の保育士に声を掛けてから熱を計りに行く。やはり熱が高かった。不安そうな男の子の頭を撫でながら
「大丈夫だよ。食べられるなら一緒におやつを食べてお迎えを待ってようか?」
「うん。」
「ゆっくり食べて、今日は夜も早く寝ようね。そしたらすぐに元気になるよ。」
子どもの不安そうな顔が笑顔になった。大急ぎでお迎えに来た保護者へ状況を説明して引き渡しをした。
「都希せんせーさよーならー」その子はお熱なのに勢いよく都希へ手を振りながら帰って行った。
『おやつも食べられてたし、元気なうちに帰れて良かった。』その後はいつも通りに勤務をこなした。
『この後はバーだけど、今日は疲れたかも…。』
保育園終わりに壮一からメッセージが来ていたが今夜は体調を理由に断った。
・・・・
バーでの勤務時間もそろそろ終わりというところに千景が店内へ入って来た。
「いつものお願いします。」
「どーぞ。」出された酒を一気に飲み干すと
「ツキさんってエプロン姿も似合いますね。」
『?』
「眼鏡もかけたりするんですね。似合ってて可愛いかったです。」
『??』
「何の話ししてるの?」
「保育園で働いてるんですよね?」
「は?そんなとこで働いてないけど。」
「ま、いーや。店の外で待ってるから話ししましょうよ。じゃ、ご馳走様でした。」席を立つとこちらの返事も聞かずに千景は出て行った。
・・・・
『くそ、面倒くさいな。』
閉店作業も終わり、そんな事を思いながら店の階段を登る。階段を登り切ると千景が壁に寄りかかって待っていた。無表情のまま先にツキが声を発した。
「で、話しって何?僕は話す事なんて無いけど。」
「仕事中、普段行かない地域でたまたま見かけちゃったんです。ツキさんを…。あれって変装のつもり?普通に分っちゃいましたけど。」
ため息が出る。
「何の事言ってるのか分からない。もう終わり?僕行くね。」千景の目の前を通り過ぎようとすると「いつも、いつも、男とか女とか関係無く一緒に帰ってますよね。すごいっすよね。なのに昼間は保育園で働いてるなんてね。知られたらどうなるんだろうね。あの子達、ガッカリするのかな…」
千景がワザと周りに聞こえる様に話し始める。
『!!!』
ここまで言われてるとさすがに頭に血が昇った。大切な場所をけなされた。そう感じた途端に自分よりも背の高い千景の胸元を掴んでいた。
「お前に何か関係あんのかよ!!」
「やっぱりね(笑)随分とムキになるじゃん。」
「マジでお前面倒くさい!何なんだよ!」
「………。俺の相手もしてよ。」
さっきまで笑っていたのに、急に感情が無くなった声色で唐突に言われた。
「は?!お前何言ってんの?!」
ビックリし過ぎてキョトンとしてしまったが一瞬で理解した。たまにこういう事をワザと言ってからかってくるヤツは他にもいる。でも、こいつが言って来ている事は自分にとっては軽い脅しじゃない。もし保育園に知られてしまったら……大切な場所を奪われる事に耐えられない。
『マジで許せない。』
「相手?そういう事ね……案外くだらない事言うんだな。」
「で、相手してくれんの?まぁ、断れないよな。」
このままここで話しをしていても意味が無いと思い、千景の挑発に乗る事にした。軽蔑した目で言葉を吐き捨てた。
「いつ?今?早く決めて。」答えを急かすと、ガシっと千景に腕を掴まれてホテルへ連れて行かれた。
・・・・
部屋に入ると乱暴にベッドに突き飛ばされた。
「へー。お前ってそういう趣味なんだ。」
倒されたベッドから千景に向かって嫌味を言う。
「今日はくだらない事言ってるお前の相手をしてやるけど、疲れてるからとっとと終わらせて。」
ずっと無言の千景は、さっきまでのバカにした顔から怒っている表情になっていた。
・・・・
「くそっ!い、たい!」
僕の静止も全く聞かずにこいつは乱暴に突っ込んでくる。今はいつもの笑顔とは違って何を考えているのか読み取れない。でも怒りを感じる様な表情だった。怖い…でも受け入れ無いと他に何をしてくるのか分からない。ただ痛みや、痛みの中の中途半端な快楽になりかけの合間を我慢し続けるしかなかった。
千景が果てたのを感じた。「終わったならどいて…」千景を押し除けて離れようとしたけど、すぐに腰を抑え付けられてそのまま何度も相手をする事になってしまった…。何度も突っ込みやがって…。腹は立つけど、怒りをぶつける体力が残っていない。やっと解放された。フラフラのまま部屋を出ようとすると千景がホテルに入ってから始めて声を発した。
「また呼ぶから。」
返事はせず、千景を睨んだ後に部屋から出た。