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愛知は相変わらず岐阜のシャツ一枚を纏っていた。身丈は余裕がありすぎて肩がずり落ちそうになっている。金髪が首筋にまとわりつく姿は妖艶だった。窓のない部屋の中で唯一の光源である灯りが白い肌に陰影を落としている。
「今日はどこか痛いとこないか?」
岐阜が尋ねると愛知はゆっくりと首を横に振った。昨日刻み込まれた無数の痕跡を隠すようにシャツの襟元を引き寄せている。
「……ここらへんはまだちょっと」
胸元を指さす愛知の仕草に岐阜の喉が鳴った。昨晩の行為の記憶が鮮烈に蘇る。乳首を吸い上げた時の悲鳴、歯形を刻んだ際の震え、そして何より自分だけのために絶頂に導かれた愛知の蕩けた表情——すべてが脳裏に焼き付いている。
「見せてみ」
命令に近い口調で促すと愛知は躊躇いなくシャツをたくし上げた。白い肌の上に散らばる紅斑と歯形が痛々しくも美しい。特に左乳房の上にある三連の咬み痕は紫色に変色していた。
「綺麗やな」
岐阜はそっと指先で跡をなぞる。愛知はくすぐったそうに身を捩らせた。
「痛くないか?」
「ちょっとだけ……でも平気」
愛知の無垢な返事が岐阜の胸を締め付ける。こんなにも純粋な存在を自分だけのものにできる喜びと同時に、どこか歪んだ愛おしさが込み上げてきた。首輪をつけたペットを愛でる主のように愛知の髪を優しく撫でる。
「俺以外の誰にも見せたらあかんで。これは俺のものっていう印やから」
「うん……わかってる」
愛知は素直に頷いた。その素直さが岐阜の独占欲を満たしていく。無条件で自分を選び取る愛知の姿がたまらなく尊い。
「新しく付けてもええか?」
「うん……いいよ」
返事を待たずに岐阜は愛知の肩口に唇を寄せた。滑らかな肌に吸い付くとじゅるっと湿った音が響く。最初は小さな紅点だったものが次第に直径を増していった。
「んっ……」
愛知が小さく喘ぐ。痛みではなく快感に近い反応だ。岐阜はさらに強く吸い上げた。内出血の範囲が広がり紫紺の花が咲いていく様は芸術品を作り上げているようだった。
「ここはどうや?」
今度は二の腕の内側に顔を近づける。柔らかい部分を選んで同じように吸い付くと、愛知の細い身体が微かに震えた。
「くすぐったい……けど気持ちいいかも……」
その言葉に触発されて岐阜は歯を立てた。尖った犬歯が皮膚に食い込み細く赤い線を作る。滲み出た血液を舌で舐め取ると塩気のある甘さが広がった。
「痛っ……!」
「ごめん。でも綺麗や」
謝罪の言葉と裏腹に岐阜の目は喜悦に濡れている。愛知の右腕には真新しい噛み跡が赤く縁取られていた。古い傷と新しい傷が共存する肌模様は岐阜が繰り返し刻み続けた「所有の証明」の軌跡だ。
「愛知には俺以外の人間の匂いがついたらあかん」
岐阜は愛知の首筋に鼻を埋めた。石鹸の香りと汗の匂いが混ざり合った特別な体臭。誰にも嗅がせたくない宝物のような香りだ。
「もちろん……おれには岐阜しかおらんから」
愛知の答えは簡潔だった。その純粋さが岐阜の闇を照らす一方で深い沼へと引きずり込む。愛知自身もまた岐阜の独占欲によって作り変えられている事実に気づいていない。
「よかった」
岐阜は満足げに微笑むと愛知の頬にキスを落とした。優しい口づけのはずなのに愛知の肌は微かに戦慄している。恐怖ではない。本能的な畏敬だ。
「全部俺のものや。髪一本すら他人に触らせたりせえへん」
岐阜の指が愛知の髪を一本抜き取り眼前に掲げた。黄金色の細糸は灯火に透かされて虹色に煌めいている。
「こんなきれいな髪も……俺だけのもんや」
愛知は黙って頷いた。自分が岐阜の所有物であることを心から受け入れている。窓のない部屋の中で外界からの情報は遮断され、時間感覚さえ曖昧だ。そんな中で唯一確かなのものは目の前の人物だけだった。
「愛知……もっと俺だけの印をつけたい」
岐阜の声には抑えきれない飢餓感が滲んでいる。愛知はそっと手を伸ばすと岐阜の頬に触れた。その仕草が全てを許容している証のように感じられた。
「いいよ……どこでも好きなとこに付けて」
愛知の無垢な献身が岐阜の胸を締め付ける。罪悪感と陶酔が同居する複雑な感情が腹の底で渦巻く。これほどまでに純粋な魂を自分だけの檻に閉じ込めているという背徳感。それすらも岐阜にとって極上の麻薬だった。
「ありがとう……愛してる」
岐阜の囁きとともに再び愛知の肌に唇が落ちた。今度は内腿の付け根に。敏感な部分への刺激に愛知の身体が跳ね上がる。
「あっ……そこは……」
「大事なところやからな。特によく見える場所に付けときたいんや」
岐阜の言葉には論理的な根拠はない。ただ愛知を「自分のもの」だと主張するための儀式だ。湿った舌が内腿を這い歯が肌に食い込むたびに愛知の呼吸が荒くなる。
「もう……全部岐阜のものだから……」
愛知の声は甘く蕩けていた。その無防備な信頼が岐阜の独占欲をさらに肥大化させる。愛知の身体に刻まれた痕跡が増えるほど二人の世界は完成度を増していく。外界との接点を失い孤立するほど内部の結合は強固になっていく奇妙なパラドックス。
「今日もずっと一緒におるな」
「うん……いつまでも一緒」
愛知の答えに満足した岐阜は愛知を強く抱きしめた。汗ばんだ肌と肌が密着する感触がたまらなく心地よい。愛知の体温と鼓動を直に感じる喜び。
「俺の印が全部消えたらまたつけ直そな」
「消えないよ……きっと」
愛知の言葉に岐阜は満面の笑みを浮かべた。消えない印。それはつまり永遠という意味だ。この部屋という密室の中での二人だけの永遠が彼らの救いであり呪いでもあった。
外の世界では四季が巡り人々が往来している。だがこの空間だけが時を止めたようだった。愛知の金髪に指を通しながら岐阜は考える。もし明日世界が滅びるとしたら、愛知をこの腕の中で守れるならそれで構わない—と。
「おいで……もっと近くで」
愛知が擦り寄ってくる。柔らかい体温と鼓動が肌を通して伝わってくる。この瞬間だけが真実であり永遠なのだ。窓のない部屋の片隅で二人の影が一つに溶け合った。外の世界は遠い過去の出来事になりつつある。首輪の鈴の音だけが今の彼らを繋ぎとめる現実だった。
岐阜は愛知の首筋に唇を落とした。鎖骨から下に向かってゆっくりと愛撫しながら昨日の行為で赤く腫れた乳首に到達する。触れるだけで愛知の身体が小さく跳ねた。
「まだ痛い?」
「ううん……でも触られると……変な感じ……」
愛知の声が甘く蕩ける。無防備な反応が岐阜の欲望を焚きつける。彼はそっと舌を這わせた。
「ひゃっ……♡」
愛知の身体が弓なりに反る。敏感になった突起を歯と舌で交互に責めると、愛知の口から漏れる喘ぎが徐々に大きくなっていく。
「こっちも……♡♡」
愛知が自らもう一方の乳首を差し出した。無垢な要求がたまらなく愛おしい。岐阜は遠慮なく吸い上げた。ジュルジュルという湿った音と共に愛知の身体がビクビクと震える。
「んうっ…♡」
白い肌に新たな歯形が刻まれていく。赤色の痣が広がるにつれ愛知の瞳は潤み、呼吸は乱れていく。
「綺麗や……全部綺麗やで」
岐阜は囁きながら愛知の太腿を持ち上げた。内股に昨夜つけたばかりの歯形が赤く残っている。その上からさらに噛みつくと愛知は甲高い悲鳴を上げた。
「あぁっ……♡そこ……♡」
「ここも俺のものやからな。全部に印つけないと」
執拗な愛撫に愛知の下腹部が反応し始める。無意識に岐阜の身体に擦りつける仕草がたまらない。愛知の中心部がシャツ越しに膨らんでいる。
「我慢できひんの?」
「……うん……♡」
愛知は素直に頷いた。その姿が愛おしすぎて岐阜の自制心が崩壊寸前に追い込まれる。彼は愛知のシャツを捲り上げると直接的な刺激を与えた。
「あああっ♡」
愛知の身体が跳ね上がる。先端から透明な液体が滴り落ちるのを見て岐阜は舌舐めずりをした。
「こんなに濡らして……可愛いな」
愛知を膝立ちにさせ背後から抱きしめるような体勢を取る。右手で愛撫しながら左手で乳首を弄ると愛知は喉を逸らして喘いだ。
「らめぇ……♡」
「俺だけを見てたらええんや……他は全部忘れたらええ」
囁きながら首輪をそっと撫でると愛知の全身が粟立った。飼い猫を褒めるような優しい手つきにも関わらず愛知の身体は過剰に反応する。
「ひぅっ……♡」
「気持ちええか?」
「うん……♡♡」
愛知の素直な返事に満足しながら岐阜は本格的な行為へと移行した。既に熟れた窄まりに指を添えると愛知の腰が自然と降りてくる。
「欲しいんやろ?」
「お願い……ほしい……♡」
懇願するように振り返る愛知の瞳には期待の色が宿っていた。その純粋な欲望に応えるために岐阜はゆっくりと自身を沈めていった。
「あぁっ……♡」
熱い塊が体内に入ってくる感覚に愛知は背を仰け反らせた。すでに何度も受け入れたはずなのに毎回初めてのような新鮮な快感がある。
「動いてもええ?」
「いいよ……いっぱいちょうだい……♡」
許可を得ると同時に激しい律動が始まった。愛知の細い腰を掴み固定しながら奥深くまで打ち付ける。
「あっ♡あっ♡赤ちゃんできちゃうぅっ♡おれ♡男なのにっ♡」
混乱したような台詞が愛知の口から溢れる。生殖能力のない結合でも愛知の中では受胎を期待してしまうほどの衝撃らしい。
「大丈夫や……お前は俺だけのモンなんやから……誰の子どもも作らんといてな」
言葉と同時に最奥を強く突くと愛知の身体が激しく痙攣した。
「イくぅっ♡♡♡」
白濁が飛び散る様子は美しいのにどこか残酷でもあった。しかし愛知自身は幸せそうに微笑んでいる。
「おれ♡♡岐阜との子ども産みたいよぉ……♡♡♡」
妄想混じりの台詞に岐阜は優しく頭を撫でた。現実にはあり得ないことでもこの空間の中では可能になる幻想かもしれない。
「愛してるで……ずっと一緒におるからな」
約束の言葉と共に放たれる熱い飛沫。その感触さえも愛知にとっては快感となった。
「あああっ♡♡♡」
絶頂を迎えた直後の愛知の姿は天使のように神々しい。金色の髪を振り乱しながら無垢な表情で余韻に浸っている。
「おなかあつい……♡」
腹部をさする仕草すら愛おしく感じる。この瞬間だけは岐阜は確かに愛知を独占しているという実感があった。他の誰にも渡さない確信があるからこそ解放感すら覚えるほどだ。
「全部俺だけのもんや……これからもずっとな」
確認するような言葉に対しても愛知は即座に頷いた。
「うん……ずっと一緒……♡」
無条件の肯定が心地良い。こうして彼らだけの時間が流れ続けるだろう。外部の介入を一切拒否する閉鎖空間で。
「疲れとるか?休むか?」
「ううん……もっと……♡」
求められれば応じるのが当然のようになっていた。互いの要求と応答は自然な流れとなりつつある。もう離れることなど考えられないくらいに密接になっている証拠でもあった。
「じゃあ次はどうしたい?教えてくれよ」
「あのね……♡」
小さな声で語られる欲望に耳を傾けながら次の行為へと進む準備をする岐阜だった。
こうして永遠とも思える時間が過ぎていく中で彼らなりの安らぎを見出しながら……