ふと、気がつく。
あれ、俺、おんりーをおんぶしてる?なんでだろう。触れたら凍ってしまうはずなのに。
警察の人に一声かけて、ここで話をしてもらうようにした。俺はおんりーを降ろす。
俺がおんりーに触れられたのは、なぜだろう。騎士病のお陰なのかな。
もう一度おんりーに触れようとした。でも、すぐに危険を感じる。今触れたら、おんりーは凍ってしまうという危険。
あの瞬間だけだ。あの瞬間だけ、触れられると感じた。
雪だるまくんに目をやると、雪だるまくんも驚いていたようだった。
「なんでだろう……。」
なんか、温かい。誰かにおんぶされてるんだ。
いつの間にか眠っていたようだ。でも、目を開けられない。
───この匂いは、おらふくん…?
そんなはずない、だって、こんなに温かいんだもん。
……でも、これは確かにおらふくんだ。
「なんでだろう……。」
おらふくんの声がして、目が覚めた。
目の前でおらふくんが俺をみつめていた。周りには警察もいる。
なにが起こっているんだ……。
今あったことを思い出すと、とんでもないことがあったのを思い出した。
警察は俺らに話をして、警察署で話をすることに決まった。
パトカーに乗せられるときも、おらふくんは警察に「触らないで。」と言っていた。本当に、優しいんだから。
「君の部屋はここだよ。」
警察との話を終えた。死にたいくらい絶望だった。
おらふくんは警察の事情聴取で「誰も傷つけたくないから、一人にしてほしい。」と言ったそうだ。
唯一、分かり合えるおらふくんと離れ離れだなんて、最悪だ。
自分でも分かるくらい、今は怒り狂っていた。おらふくんは、壁一つ向こうにいる。その壁をバンバンと殴り続けた。
俺はおらふくんと一緒じゃなきゃいけいないんだ。おらふくんを、守んなきゃ……。
手がヒリヒリとし始めて、自然と壁を叩いていた手を下ろしてしまう。
「そんなにおらふというやつが大切か?」
窓から、誰かが見えた。ここは牢屋みたいなものだから、どちらかといえば柵の外だ。
「誰だよ。お前……。」
多分、監視をする人だろう。警察の格好をしている。これで警察じゃなかったら、大問題だけれど。
「俺はMEN。お前の監視役だよ。」
MENと名乗る男の顔はよく見えなかった。だけど、優しそう。
「おらふくんは、俺の大切な人だ。」
「ふぅん…。じゃあ、会わせてやろう。この俺の名にかけて。」
おらふくんに、会える…?
「本当…?」
「大丈夫。俺は悪いやつじゃない。ちょっと待っていろ。」
そう言うと、監視役だというのに、俺から目を離してどこかへ行ってしまった。
しばらくすると、「はぁ!?何やってんの!?」と怒声が聞こえてきた。
頑張って外を覗くと、MENが正座させられていた。
よく、耳をすます。
「だから……その、おらふとおんりーを同室にしてくれないかと……。」
「一人にしろ、というおらふくんの願いなんだよ。仕方がない。」
どうやら、上司っぽい人に説得しているようだ。話を聞いていると、上司っぽい人はため息をついて頷くのが見えた。
MENはすぐ、俺のもとに戻ってきた。
「許可もらったぞ!やったな!」
自分のメンタルを削ってまでやることではない、はず。でも、その優しさがとても嬉しかった。
俺とMENは、壁一枚向こうのおらふくんの隔離室に行った。
おらふくんと同じ部屋にいることを許されて、俺は嬉しさいっぱいでおらふくんの隔離室に入った。
でも、おらふくんは「なにしてるの。」と、俺を遠ざけるように言ってきた。
「俺が、おらふくんと一緒が良かったから。」
おらふくんの青い瞳には、みるみると涙が溜まってきた。
「おんりー、おんりー……。ごめんね。俺のっ…せいで……こんな事になっちゃって、、本当にごめんなさい…!」
おらふくんは、涙をボロボロと流しながら、俺に訴えてくる。
俺は、一瞬手を伸ばすも、引っ込めてしまう。
───その涙を拭うことができたのなら。俺はもう少し、優しくなれていたかもしれない。
……おらふくんは、俺のために傷ついてくれてるんだ。
「大丈夫。」って言ってあげたい。抱きしめて、安心させてあげたい。
……でも、その願いは叶えることができない。だから、俺は両手の人差し指を頬に当てて、笑顔を作る。
「おらふくん、ありがとう。泣かないで。ほら、笑って!」
そういうと、おらふくんはふふっ、と笑みをこぼした。
その瞬間、空気が和んだのが感じられる。外にいるMENと、上司っぽい人は安堵の笑みを浮かべていた。
コメント
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騎士病…間に壁1枚あっただけでも怒り狂って、感情が抑えられなくなっちゃうんだ…怖\=͟͞͞(꒪ᗜ꒪ ‧̣̥̇)/