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#ファンタジー
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口寂しさに、水を頬張ろうとした。 うちにそんなものはなかった。
惨めだ。嘆こうと思って嘆く私は、何とも卑怯だ。ここには自分しかいないのに、いつも色んな声が私の悪い所を陰湿に執拗につついてくる。
四面楚歌だ。いや、敵などどこにもいない。されど味方もいない。空気も、食い物も、ここを出たら私には何も無い。この後さえも。
何故こうなったのか考えてみるが、その思考の末端にはいつも過去の私の小さな過ちが熟れている。
しかし、やけに目につくあれだけはまだ青く、小さい。つぼみという概念をようやく脱ぎ去った無垢な果実。それがずうっと私を睨んでいる。
分かっている。私のせいだ。罪悪感をフルコースで味わったというのに、この後味は未だ消えず、しつこく味蕾に纏わりつく。
分かっている。私のせいだ。時に思う。人の人生を壊すより、その生きざまに泥を塗りたくるほうが、何倍も酷で残忍じゃなかろうか。
分かっている。私のせいだ。許してくれ。そう願うたびに己を罵倒した。何を無責任な事を。大人しく罰を受けていろ。いや、そうしたとて、あやつはきっと納得なんてしなかろう。
分かっているのか?私のせいだと。刺激的な味をくれ。私の人生を壊してくれ。どうか私に罰をくれ。
赦す。
誰かがそう言った。私の何かが崩れ落ちた。
違う。そうではなくて、違うんだ。
赦さないでくれ。導かないでくれ。照らさないでくれ。私をどうか悪者にして、闇の中に放っておいてくれ。
私はその光の奥に居る”そいつ”のほうが、何倍も何倍も怖いんだ。
お願いだ。
どうか私を、哀れな悪役に。