テラーノベル
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そうして、お互いへの意識が募り続けたある日のこと。アジトに戻り、重い防音ドアがバタンと閉まった瞬間、二人の焦れったい距離感は一気に動き出す。
仕掛けたのは太智から。
太智は仁人が席に座ったのを確認すると、そっと足音を消して近付く。
そして後ろから耳元に囁きかけた。
太「……吉田さん」
仁「っ!? ……な、何だよ…!」
突然耳元で低く名前を呼ばれ、仁人は裏返った声を上げた。
一気に顔が紅潮していく。
そのまま太智は仁人のデスクに両手をつき、逃げられないようにその顔をぐっと覗き込んできた。
太「あは、顔めっちゃ赤いやん。あの日の夜から吉田さん、挙動不審やで。バレバレ。なぁ、素直に俺のこと意識しとるって認めたらどうや?」
太智のニヤニヤとした勝ち誇ったような顔。
お前の今までの行動は全部お見通しだと言わんばかりのその表情に、仁人のプロとしてのプライドが音を立てて燃え上がった。
ここでただ赤くなって流されるのだけは、仁人のプライドが絶対に許さなかった。
仁「はぁ!? 意識してるのはお前の方だろうが!お前俺のこと見すぎなんだよ!!」
太「なっ……! そ、それは…お前のこと見てたんやなくて、その…周囲警戒しとった時たまたま目に入っただけや!」
仁「嘘つけ! 任務以外でも見てただろ!諜報員のくせに相棒に狂わされるなんて、お前の方が余裕ないんじゃないか?」
太「ぐ……」
お互いの意識し合っている証拠の暴露し合い。
その後も今までにお互いが感じていた証拠をぶつけ合い、小競り合いをしながらも、至近距離で互いの目を見つめ合っていた。
二人の瞳に浮かぶのは『好き』の二文字。
あとはもう、どちらが先に降伏するか。
ただそれだけだった。
強がりと、対等な相棒同士のマウントの取り合い。
だが言葉をぶつけ合うたびに、自分がどれだけ相手に執着されているか、それ以上に自分がどれだけ相手を求めているかが、分かりやすく脳髄に突き刺さってくる。
そんな中、この奇妙な戦いに痺れを切らしたのは…
太「あー!!もう!意地張るのやめや!!」
仁「わっ…!?」
太智は仁人の胸元を掴んで、そのままデスクの上の書類ごとその身体を押し倒した。
驚いて目を見開く仁人。
太「…本当は先に言わせたかったんやけどなぁ…。俺はお前が好きや。客船の任務の日から、毎日お前のことしか考えとらんかった。ビジネスだけのパートナーやなくて、本当の意味でのパートナーになってや」
直球な熱い言葉たちと告白。
正面からそれらをぶつけられ、仁人はドクリと鼓動を跳ね上げた。
と同時に邪魔なプライドは消え去り、気づいた時には無意識に太智に抱きついていた。
今度は太智が目を見開く。
仁「お前の負けだな、太智。でも、俺も同じ。……俺も、お前が好きだよ。ビジネスだけじゃないパートナー、喜んでなってやるよ」
仁人が悪戯っぽく笑うと、太智は一瞬だけ呆気に取られた後、至極嬉しそうに顔をくしゃりと綻ばせた。
そしてどちらからともなく、徐ろに重ねられた唇は、あの夜の薬の熱なんかよりもずっと深く、そしてどこまでも甘く、恋人としての始まりを告げていた。
コメント
4件
きたきたー!!待ってましたっ!!強気の💙さん😭 小競り合いからの展開が最高でした♡やっぱり可愛い二人だなと思いつつ、理想の結末に大満足な私です😊 さらに続編があれば嬉しいのですが、どうでしょう🤭
まっちゃ
37
#山中柔太朗
🐬🩵🤍🐬
18,829
🎀
1,286
はる☻
2,039