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「なぁ,エアリス…俺,ここに住みたい。」
朝からスカイが駄々こねてます。どうしてですかね,昨日からこの和風建築の宿,日亭(にってい)さんに泊まっているのだけど…スカイはそこの朝食に心を取られたみたいで食堂の机から離れようとしない。スカイはこんなキャラじゃなかったはずなのに。私の目の前には知らない男がいるわ。
「ダメ。」
机からスカイを無理やり引きはがし,外に出た。もう太陽はほぼ真上に来ている。これでどれだけスカイが駄々こねてたかわかるだろう。ざっと2時間。
「さて,今日はレベルを10までアップさせるわよ。」
「うぅ。」
ノーアバリスには様々な依頼が多数存在している。種族専用の依頼だって備えられているわ。エルフ専用の依頼はそれほど難しくはない。だからlevelも上がりにくい。私たちが今日挑戦するのは魔物狩り。流石にlevelも10近いから魔物討伐の幅も広がってるでしょう。
「あの,一番レベルが上がる依頼はどれ?」
「はい!騎士専用の飛竜討伐です!」
いや,あのね?私たち騎士じゃないから受けれないのよ。この受付嬢…天真爛漫な子ね。
「あ,お二人が受けれる依頼は…今日は入ってないですね。初心者依頼はすべて持っていかれました…すみましぇん。」
「分かった,ありがとう。」
この時期になると依頼を多数受ける厄介な冒険者がいる。冒険者じゃなかったときに何度か見たことがあるけど,あれは自分勝手な奴としか言いようがない。依頼がないなら自分たちで魔物を討伐するしかなさそうね。
「レベル上げならスノーマウンテンがおすすめですよ。手頃なレベルの魔物が多数いますので!あ,回復薬は持っておいたほうがいいですね。囲まれると厄介なので。回復薬は隣のお店で買うといいですよ。」
流石受付嬢。いろんな情報を持っていて私たちにとっては嬉しいことだ。じゃあさっそく回復薬を買いに行きましょう。王都で買えばかなり高いのだけれど安すぎたら逆に怖いわ。
「回復薬って確かエルフが作ってるんだよね。」
「ん~,そうだけど正式には違うわ。薬剤師,調合師二つの資格を取れば人間だって作れるわ。けどその資格を持つ人がエルフに多いってだけよ。」
「そうなんだ。」
私は調合師の資格だけは持っている。薬剤師の資格は国家試験が必要になってきて,試験費用が半端ではない。回復薬を作れたら便利なんだけど…。
「いらっしゃいませ。」
回復薬が売っている店は大して大きくなかった。どこにでもありそうな薬屋さん。でも少し違っていた。そこら中においてある骨。見た感じシカだとは思うんだけど大きすぎる。絶対にこれは薬屋にはおいてない。
「回復薬はどこにあるかしら。」
「回復薬でしたらここに。」
店員さんの手から現れる回復薬。これは収納という一種の魔法で物を指定した場所に置いておくとそこからいつでも取り出すことができる便利な魔法。
「最近窃盗が多くてな。一つ1.5オリオンだけど…買う?」
「えぇ,買わせてもらうわ。4つお願い。」
「6オリオンね。」
お手ごろな価格で国家認定のマークがラベルについていた。こういうのは信用できるものの一種。この値段で販売してるってことはこの人は自分で回復薬を作ってるんだな。
「それじゃ,ちゃっちゃとやっていくわよ!」
スカイはあと少しで10になるらしいからほとんど私に手柄をくれるらしい。いつの間にそんなレベルが上がっていたんだろうとは思うがそんなことを考えている暇はない。なんせ今は…
「魔物いすぎでしょ!」
魔族と出会ってから魔物の出没量は大幅に上がった。怖いぐらいに魔物がいる。大型の魔物が数体,小さめの魔物が多数。小さくて攻撃力がなくても大勢で来られるとそのダメージは大幅アップ。
「エアリス!そっちに行ったぞ!」
ロナウディアさんに貰った聖属性専用の杖で魔物を一気に浄化していく。この技は私が作ったもので今までのどの魔法よりも強いといえるだろう。この杖も大きいが私の手にマッチしていて扱いやすい。
「よし,あとほんとにちょっと。スカイは?」
「俺はlevel12。エアリスのところに行く前に倒したものが数体。」
スカイの数体は数体ではない。多分何十匹も倒したのだろう。私に手柄をくれるって言ったよね。そんな私はまだlevel9。あと10体は倒さないとlevelは上がらないだろう。この10体がかなりきつい。
「スカイ,足音うるさいわよ。」
「うい。」
スカイ,返事がめんどくさくなったのかしら。それよりも本当に足音がうるさい。
「あ,そうそう___」
…。スカイに話しかけようとして後ろを向くと大きな…魔物が。もしかしてさっきの足音も…?
「エアリス,こっちに__。」
後ろからスカイの声が。まって,これやばいかも…私,どうなっちゃうの…?????
to be continued→