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「え?えっ!うわあっ!」

リオは目を覚ました。カーテンの隙間から射し込む陽光に朝だと気づいたからだ。起きなきゃと思うけど、なんだかすこぶる心地良い。頬が触れている箇所は硬いが、暖かくいい匂いがする。まだこのままでいたいと願ったけど起きなきゃ。

重い瞼をゆっくりと押し上げる。なんだか見たことのある景色だと、ぼんやりとする頭で考える。額に微かな風を感じて目線を上げると、規則正しく寝息を立てる、ギデオンの顔があった。そして冒頭の叫び声に戻る。


リオは驚いて飛び起きた。

勢いよく起き上がったために、ベッドから落ちた。柔らかい絨毯のおかげで怪我はしなかったが、腰を打って「いてて」と顔を歪めながらベッドに手を置いて腰をさする。

ベッドの足側で寝ていたアンが、心配そうに何度も鳴いて、リオの腕に身体を寄せてきた。

リオが「大丈夫だよ」と笑って、アンの頭を撫でていると、ベッドの上から「…うるさい」と低い声が聞こえた。


「せっかく気持ちよく寝ていたのに…何ごとだ」


ギデオンが目を擦りながら頭を上げ、ムスッと不貞腐れた様子で言う。

いつもの怖い顔だけど、目を擦る仕草が幼く感じて、リオは一瞬見とれた。不覚にもかわいいかもと思ってしまった。だけどすぐに我に返り、抗議する。


「何ごとだはこっちのセリフだよ!なんで俺と一緒に寝てんの?ま、前はさ、俺が酔っ払ってギデオンのベッドに入っちゃったから悪かったけど、今回は俺、悪くないからなっ」

「わかっているから大きな声を出すな。おまえは朝から元気だな」

「誰のせいだよっ」


リオは鼻息荒くまくし立て、ベッドに腰かけた。そしてまとわりつくアンを膝に乗せる。

ギデオンは上半身を起こすと、リオの横顔を見つめた。

整った顔に黙って見つめられると、なぜか緊張する。リオは緊張を誤魔化すように「なに?」とぶっきらぼうに言う。


「ふむ、やはりそうなのか。不思議だが助かる。何にも代えがたい」

「なに言ってるのかわかんないんですけど」

「リオ、昨日の相談だが…旅をやめて俺に仕えないか?」

「……え?なんで?俺、騎士じゃないけど。あ、下働きってこと?」

「いや、俺専属の世話係だ。…世話係とも違うな。まあ側近のような仕事だ」


リオはアンを床に下ろすと、身体をギデオンに向け首を傾ける。


「側近って言われても、俺、何もわからないよ?」

「大丈夫だ。難しくはない。賃金も弾むから、俺の家に来てくれないか?」


ギデオンが真剣な顔でリオを見つめる。

ギデオンが誠実だということは、わかっている。何か理由があって、俺が必要なのだろう。まさか…魔法が使えることがバレた?いや、それは有り得ない。ギデオンの前で魔法は一度も使っていないからな。

リオは腕を組んで考えて、朝餉が終わるまでに返事をすると答えた。

狼領主は俺を抱いて眠りたい

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