夜の学校は、昼間と別の顔をしている。
廊下の蛍光灯はまばらで、足音だけがやけに大きく響いた。
「ほんとに理科室?」
そう言ったのは、いつもムードメーカー役の彼だった。
冗談めかしてはいるけど、声は少しだけ上ずっている。
「行くって決めたの、赤だろ」
リーダー格の彼が前を歩く。
こういう時、自然と全員がその背中を見る。
理科室の扉を開けると、薬品の匂いが鼻についた。
白い実験台、並んだ標本、
そして窓際に立つ——ガイコツ。
「昼に見るのと、全然違うな……」
低い声がぽつりと落ちる。
ガイコツは何もしていない。
金属の支柱に固定され、空洞の目で正面を向いているだけだ。
ただそれだけだ。
「触らないでよ、マジで」
慎重派の彼が一歩下がる。
誰も反論しなかった。
そのとき。
カタ。
乾いた音がした。
床じゃない。
机でもない。
ちょうど、ガイコツの胸のあたり。
「……今の、聞こえた?」
誰かが言った。
全員が黙る。
視線が自然とガイコツに集まる。
でも、動いていない。
「気のせいだろ」
そう言った彼の声は、さっきより小さかった。
空気が変わった。
理科室が、少し狭くなった気がする。
「もう帰ろ」
そう言って、全員で廊下に出た。
そこで、違和感に気づく。
……数が、合わない。
「え?」
「全員いる?」
顔を見合わせる。
確かに、知っている顔は揃っている。
なのに。
「……最初、何人で来た?」
その問いに、誰も答えられなかった。
名前を思い出そうとすると、
頭の中が、すっと空白になる。
理科室の方を見ると、
扉が少しだけ開いていた。
誰も触っていないはずなのに。
恐る恐る、中を覗く。
ガイコツは、そこに立っている。
同じ場所。
同じ姿勢。
——違う。
骨が、一本多い。
どこが増えたのかは分からない。
でも確実に、
さっきより「人」に近い。
「……帰ろ」
誰かがそう言って、扉を閉めた。
そのあとは、振り返らずに昇降口まで走った。
翌日。
何事もなかったように学校は始まる。
理科室の前を通りかかったとき、
無意識に中を見た。
ガイコツは、いつも通りそこに立っている。
なのに、胸の奥がざわつく。
——あれ。
最初から、あんなに完成してたっけ。
🐾、多分特大スランプ中に書いたから何も思うことないししゃべる事ないし
🐾、…おつ菜猫🐾






