続き[中編]
《ウェン》
「お父さん」意を決して呟いた。怖かった。初めて話しかけた。
ゆっくりとこちらを向く父はいつもよりも大人しい顔をしており
すこし安心した。そうしてゆっくりと口を開いた。
「僕が、家に友達を呼んだら怒る…?」もしこれがOUTなら
すぐに胸倉を掴まれる。怖くてぎゅっと目を瞑ったが返って来たのは
無言だった。恐る恐る目を開けば悩ましげな父が見えた。
「あの」と弱々しく声を掛けると父から質問が投げかけられた。
「それはお前のためか?」…無言の圧。お前みたいなやつのために
俺達が言うことを聞くのかという、絶望に近いもの。でも、
折れてはならない。「いいえ、違います」ここは否定した後両親に
とってのメリットを言うのだ。
「僕の父と母はこんなにも優しいと皆に知ってもらえば 皆の両親 から
話が広まってお父さんとお母さんが良いふうに 見てもらえると
僕は思ったからです、急なのは自分でも わかっています、
それでも、ぼくが大好きな2人を皆にも好いてほしくて。」
嘘も方便とはこのことだろう。必要な嘘もあるのだ。
かなり分かってもらったらしく父はすこし考えたあと、わかった
と了承してくれた。その際に青年は願い事を1ついった。
「1つお願いしたいです」その言葉に父の血管がすこし浮いた。
それにビクッとするも怖気付に言い放つ。
「評判をあげないといけないので、
手を出すなら僕だけにしてください!」
目を瞑りながら言い放ったその一言は父を激怒…させることはなく
もう一度小さく了承を得た。これで良いのだと自分を納得させて
一昨日に出来てしまった傷を治そうと青年はその場を後にした。
今日は土曜日。明日(日曜日)にみんなが来るのだ。
許可を得られたことが嬉しくてすこしニヤついてしまう。
でもそんなことがバレたら怒られてしまうため必死で表情を
殺した。両親は青年に興味が無いため部屋に篭っていても何ら
気にとめない。呼ばれた時のみ下に行けばそれだけでいいのだ。
青年は何も考えないようして部屋に閉じこもった。それから
数時間して、呼び出された。感情を殺して下に行けば父に
思い切り引っ張られ顔面を叩かれた。母さんが怒らせたらしい。
叩かれたところはヒリヒリ、じんじんと痛み赤みを増していく。
その後も殴る蹴るの暴行は行われた。その度に激痛が走り
嗚咽を漏らしてしまったり泣いてしまったりしてまた連鎖を
起こしてしまうだけだった。全てが終わる頃には畳は血まみれ
だった。身体中が痛くて痛々しいような声が漏れてしまう。
「ぉ゛、ぇ…ふ、……ぅは、ぇ、ぁ……は、」
青年は青ざめた顔をしながらお腹を押さえ2階へと上がって行った。
部屋の中で1人ため息をこぼす。痛かった。辛かった。
まだ痛む箇所を擦りながら救急箱を取り出す。テキパキと
手当をして、隠した。たまに痛みに顔を歪ませながらも青年は
手当を終わらせて静かに床に腰を下ろした。どうしてこんな
家庭なのか…なんで僕がこんなにも苦しむのか…何も分からなくて
疑問だけが思い浮かんで生きているのが不思議で仕方がないのだ。
そうやってどうしようもない考えをすることで苦しくなって
そして最終的には何も感じなくなるんだ。感情を殺す時は
こうしないと吐き出せなくなってしんどくなってしまうだけだから。
…死んでしまおうかと考えたこともあるが泣いてしまう母と友達が
思い浮かび止まってしまう。父はきっと泣かないのだ。母は
あんな感じではあるが、1度だけ青年の為に泣いたことがあるのだ。
明日、みんなが来る。自身を落ち着かせて眠りにつく。
幻滅されたらどうしようという絶望が身体中を巡っているが
それも唾と共に飲み干して、痛む体を気にせずに寝返りをうった。
コメント
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うぁぁぁ〜もう最っ高続きがめちゃくちゃ続きが楽しみすぎる!やばいガチで最高だよォ〜