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「……なあ、ナマエ」


『ん?』


「そろそろ手、離してくんね?」


『やだ〜』


ソファの上。

ナマエは出水の腕にぴったりくっついて、まるでだらけた猫のように甘えていた。


「お前の兄貴とか来たらどうすんの」


『え〜、そのときは“付き合ってますけどなにか?”って言えばよくない?』


「強気すぎでしょ、」


出水の口元は笑ってた。

ナマエのわがままは、出水にとっては“ご褒美”みたいなものだ。


『……ていうか、こうしてると落ち着くんだよね』


「へえ、俺の腕が?」


『うん。出水先輩ってさ、ちょっとあったかくて、やわらかくて、いい匂いする』


「それ、ほんとー?」


『ほんと!』


嬉しそうに笑うナマエの髪を、出水がくしゃっと撫でた。


「……なんか、夢みたいだな。お前と付き合ってるって」


『夢じゃないよ、』


「じゃあ、もっと夢みたいなことしとく?」


『え?』


そのまま、不意打ちのキス。


『……っ!』


一瞬で真っ赤になるナマエ。

でも、顔を隠す前に出水が


「お前、ちょっと可愛すぎなんだよね」


『~~~っ!!言ったな!?覚えとけよ!?』


「覚えとく覚えとく、彼女だし?」


ニヤッと笑う出水に、ナマエは怒ったフリで拳を振り上げた──が。


そのあとすぐ、ちょこんと出水の胸元に頬を寄せて、ちいさくつぶやいた。


『……だいすき、ばか』


「うん、俺も」



ーー

これだと本当に『好き』が言えたふたりですね

「好き」が言えないふたり

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