テラーノベル
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元貴『…ん、?ここ…b²−4ac、じゃない、?』
教室の窓際。
放課後の柔らかい光が差し込む中、
僕は黙々と数Ⅱの問題集を解いていた。
隣の席では、若井が、
自分の机に頬杖をついて僕をじっと見ている。
もう、30分くらいずっと見られてる気が
するんだけど…気のせい、じゃないよね、?
元貴『……若井、、
集中したいから、あんまり見ないで、』
滉斗『いや、無理』
きっぱり。即答。
何が無理なんだ。僕の集中力の敵すぎる。
しかも今日、
僕は普段かけない“眼鏡”をかけてる。
家でしか使ってないけど、
細かい数字を見るには便利だし、
試験前だからってそのまま学校に
持ってきたんだけど…
滉斗『眼鏡元貴、レアすぎ、尊すぎ、萌える』
元貴『勝手に萌えないで』
滉斗『いやいやいや、駄目、
眼鏡元貴、控えめに言って、天使』
元貴『勉強の邪魔しないでってば…!』
若井は前のめりになって、僕の机に肘を置く。
顔…近い、ちょっと、ほんとに近すぎる。
こっちが照れて目を逸らすと、
若井が小さく笑った。
滉斗『やば、元貴、耳まで赤い、
メガネ効果なの?天使すぎて集中できない』
元貴『僕が集中できないんだけど……!』
再びペンを握ろうとする僕の手を、
若井の指が軽く触れた。
滉斗『ねぇ、ちょっと休憩しよ?
ほら、10分だけ』
元貴『駄目。10分って言って、
絶対また30分くらい話すじゃん、若井』
滉斗『……見透かされてる…
…けど、それがまたかわい…』
元貴『言うな、!!』
思わずペンで机をとんとんと叩いて牽制すると、
若井は笑いながら両手を上げて降参ポーズ。
だけど、
また机越しに僕をじーっと見つめてくる。
滉斗『……ねぇ、集中できてる?』
元貴『できてたよ、若井が見てなければ』
滉斗『ほんと? じゃあさ、
俺、無言で見てるだけにするわ』
元貴『やめて……!』
笑いながらも、僕の髪をくしゃっと撫でてくる。
その手があったかくて、心地よくて、
つい体が緩んでしまうのが悔しい。
滉斗『元貴、今どのくらい問題進んだの?』
元貴『えっと……2ページ分くらい…』
滉斗『優秀。えらい。ご褒美タイムだね』
元貴『は?』
何か言う間もなく、
若井がぐっと顔を寄せてきて、
僕の額に、軽くキスを落とした。
元貴『ちょっ、こらっ……教室…!』
滉斗『大丈夫、誰もいないって、
ついでにもう1回、ちょっとごめんね』
今度は、頬に。
あったかくて、柔らかい感触。
元貴『…ん、っ……』
僕は思わず目をぎゅっと閉じてしまった。
元貴『っ…も、もう……』
滉斗『やばい、
やっぱ眼鏡元貴、天使超えて神』
元貴『何そのランク……っ、』
それでもまた、若井の唇が僕の眉に、
鼻先に、静かに降りてくる。
元貴『ひぅ…っ、…若井……、
テスト勉強しに来たんじゃなかったの、?』
滉斗『してるしてる、
元貴を集中させないっていう、俺の特別任務』
元貴『…意味分かんない、』
それでも、キスされる度に胸がくすぐったくて、
どうしても“嫌だ”なんて言えなかった。
若井の手が、僕の指に重なる。
滉斗『…もうちょっとだけ、こうしてていい?』
元貴『…ぅん、ちょっとだけ、ね、』
滉斗『ちょっとが“ちょっと”で
済まないのは、いつものこと』
元貴『分かってるけど……僕も…
…ちょっとだけ、いいかなって思ってる、』
その瞬間、若井の瞳が、
真っ直ぐ僕を捉えて、優しく笑う。
教室の空気が、ふわっと甘くなる。
滉斗『キス、あと3回だけ、ね?』
元貴『なんで3回って決めたの……』
滉斗『今の気分』
元貴『ほんとに……もう、馬鹿、』
それでも僕は、目を閉じて、唇を差し出す。
3回じゃ、終わらないってわかってたけど――
でもその時間が、今は一番の幸せだった。
勉強も大事だけど、
若井とこうしていられることの方が、
僕にとってずっとずっと大事だった。
コメント
6件
ま じ で か わ い す ぎ だ ろ .ᐟ .ᐟ 眼 鏡 つ け て た ら そ り ゃ ぁ 天 使 超 え て 神 に な る わ な 、 w ま 、 元 々 天 然 記 念 物 ( ? ) や と 思 う け ど な ☆
若井さんの溺愛ぶりがマジで尊い…一緒お幸せに!!!!
二人とも可愛いなぁ~(*´▽`*)