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第2話 【 私の命 】
2006年 。
ユナが7つの年。
いえ、間違えたわ。
貴方が7つの年。
初めて学校で嫌がらせをされたの。
靴が無かった。
教科書も
お弁当も。
「 あれ、あれっ? 」
「 私のお弁当は? 」
最初は忘れてたと思ったの。
でも違うね。
隠されたんだ。
誰かに。
「 お母様。」
「 ん?どうしたの?ユナ。 」
そう優しく微笑むお母様。
「 あの……、 」
「 が、が……、 学校を、休みたいです。」
「 え? 」
……
「 な、何言ってるの? 」
「 ほらお友達が学校にいるでしょう? 」
「 いません。 」
「 お弁当がないんです。 」
「 教科書がないんです。 」
そう言いながら泣いてしまった。
「 …… そう、 」
「 なら学校はもう行かない事にしましょう 」
「 いいんですか? 」
「 これからは、セバスチャン達に教えて貰うのよ、ユナ。 」
「 貴方は私の最愛の娘。 」
「 壊れてしまっては、いけないもの。 」
……
これで良かったの?
自分でそう思った。
ユナだったら……。
いや、貴方はユナよ。
そう。
私のユナ。
2013年 。
私が12の年。
「 ここは、どう解くの? 」
「 ここはですね…… 」
今日もセバスチャンに教えて貰っている。
あの日、学校に行かなかった。
行かなくなった。
辞めてしまった。
ユナはどう思った?
私は駄目だって思った。
ねえユナ。
貴方の漢字、教えて?
それはね
。
「 ユナ様、朝ですよ。 」
「 ん、 …… 」
「 昨日、勉強していたらお眠りになっていましたよ 」
「 そう……ごめん。 」
「 いえ。ご食事の用意が出来ております 」
「 うん。 」
……
随分と不思議な夢だった。
夢なのか?
夢だ。
きっと
……
「 ねえお母様 」
「 ん? どうしたの?ユナ。 」
「 私の名前って、漢字はないですの? 」
…………
「 ユナ、そんなの知らなくていいの 」
「 ユナ、カタカナでも随分可愛いでしょう? 」
「 ねえ、セバスチャン。 」
「 ご最もです。 」
納得が出来なかった。
ユナ
由奈
優奈
yuna
佑奈
結奈
「 いろんなユナがあるのね、 」
ネットで調べてみたわ
けれど
私のユナは無かったね。
「 ユナ 」
「 ん?なんですか、お母様 」
「 私ね、ユナって名前、素敵だと思うの 」
「 …… 」
「 本当は、 命 で メイ が良かったわ 」
「 でも、堅苦しいかしらって、笑 」
「 私は、ユナって名前もメイって名前も好きですよ。 素敵です。 」
「 あら、ユナ。嬉しい事を言うのね。 」
……
メイ
命
姪
芽衣
冥
鳴
萌結
なんか違う。
命。
ユナの、命。
そっか、
ユナはメイなんだ。
END