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Episode 1.5「見えない射線」
「……それで? 本当にその構成で行くのか?」
訓練室。
端末に表示されたトリガー構成を見て、訓練員――三上連が微妙そうな顔をする。
メイン
・ハンドガン
・バッグワーム
・シールド
サブ
・サブマシンガン
・カメレオン
・サイレンサー
・シールド
「シューター辞めるのはまあ分かるけど……随分尖ったな」
主人公――黒瀬湊は端末を閉じた。
「試したいんです」
「まあ個人戦なら好きにやれ。ただ、ガンナーでその距離は危険だぞ」
湊は小さく頷いた。
近づく必要がある。
外せば終わる。
見つかれば危険。
でも。
それでも、この戦い方なら戦える気がした。
個人戦ブース。
模擬市街地マップ。
開始と同時に湊はバッグワームを起動した。
レーダーから消える。
ゆっくり移動。
まだ相手は見えない。
だが。
――なんとなく。
湊は足を止めた。
前方の建物。
誰かいる気がする。
確信ではない。
でも、いる。
湊は壁沿いに移動する。
窓の死角。
階段位置を予測。
ゆっくり距離を詰める。
気配が近くなる。
同じ階層。
その瞬間。
湊はカメレオンを起動した。
姿が消える。
静かに通路を進む。
角の向こう。
いる。
足音。
微かな動き。
相手はまだこちらに気づいていない。
湊は壁際で止まる。
ハンドガンを構える。
引き金を引く。
乾いた小さな音。
サイレンサー付きの銃声。
次の瞬間。
相手隊員のシールドが砕けた。
「!?」
反応が遅れる。
湊は二発目を撃つ。
胸部命中。
《BAIL OUT》
光が弾け、相手が消えた。
静寂。
湊は動かなかった。
今の感触を頭の中で反芻する。
見えない状態で近づく。
死角を取る。
近距離から撃つ。
できた。
数戦後。
「またアイツかよ……」
「どっから撃ってくるんだ?」
訓練ブース外で隊員たちがざわついていた。
湊は再び転送される。
開始。
バッグワーム起動。
移動。
今度は少し早い。
気配。
右。
建物内。
複数……かもしれない。
正確には分からない。
でもいる。
湊は正面ルートを避けた。
裏路地へ回る。
階段を上がる。
カメレオン起動。
静かに接近。
角越しに人影が見えた。
一人。
壁に隠れながら周囲を警戒している。
湊は足を止める。
引き金。
一発。
シールド展開前に肩が砕ける。
相手が振り返る。
だがその瞬間には、湊はもう横へ動いていた。
二発目。
《BAIL OUT》
再び光が散る。
「うわっ……」
観戦モニター側で誰かが声を漏らした。
「今見えたか?」
「いや……銃声だけ……」
湊は静かに呼吸を吐いた。
弓場のような速さはない。
風間のような剣技もない。
でも。
“見つかる前に撃つ”。
それなら、自分にもできる。
モニターの戦績欄に、新しい勝利数が追加される。
湊はその数字を見つめながら、小さく思った。
――この戦い方なら、上に行けるかもしれない。
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