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毒を盛られてしまった
いつものように陰口の聞こえるパーティーで、何だか馴れ馴れしい貴族の青年に声を掛けられた。
彼は彼の生家がいかに素晴らしいかと悪魔執事は彼らの道具として使われるべきだと延々と離した。
主はうんざりしつつも適当に相槌を打ってその場を乗り切ろうと、ぼんやりと話を聞いていた。
そんな主の様子に腹を立てた青年は捨て台詞を置いて何処かに行ってしまった。
「お前が居るから悪魔執事が道具として使えなくなったんだ!」
とか
「お前さえいなければ、悪魔執事を有効活用できたというのに!」
とか言ってきたが、なんとも身勝手な言い分である。
「主様、大丈夫ですか?」
ルカスが心配そうに声を掛けてくれた。
大丈夫だと笑って、近くの召使いから飲み物を受け取って口をつけた。
『・・・あれ・・・?』
しばらくするとアルコールとはまた違う目眩を感じてしゃがみ込んだ。
「あるじさま!」
ルカスの声がぼやけて聞こえる。
『ぅかす・・・なんか・・・はいってたかも・・・』
とりあえずルカスにグラスを渡してその場に倒れ込んだ。
これはマズイやつかもしれない。
そのまま主は意識を失った。
目を覚ますと、休憩室になっている部屋だった。
主が目を覚ましたのに気づいたルカスが慌てて近づいてくる。
「主様!大丈夫ですか!?どうやら毒を盛られていたようです・・・」
『あ〜、やっぱり?』
「警戒が足りず、申し訳ありません・・・
犯人と思しき人物は拘束して取り調べをしております」
『あ〜、あの貴族の青年?』
「はい、それとあの召使いもです」
主は満足そうに頷いてソファに身体を沈めた。
『もうちょっと休んだら回復できそうだから、もうちょっと待ってくれる?』
「いえ、今日はもう帰りましょう。
体調不良で帰ったことになっておりますので」
『分かった〜』
主は体調が回復するまで休み、馬車に乗ってパレスに帰った。
あのとき近くに居たラトは、段々と心音が小さくなったのが怖かったとしばらく離れてくれなくなった。
主も毒殺は苦しかったので、飲み物と食事には気をつけようと思ったのだった。