テラーノベル
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春の陽気が少しずつ夏へと変わり始めたある午後。
カフェのテラス席には、珍しく真剣な顔のフランスと、にこにこと頬杖をついたイタリアの姿があった。
伊「ねえフランス、やっぱりドイツにはピザ柄のシャツなんてどうかな? ボクの愛が詰まってる感じでいいと思うんだよ〜!」
仏「……それはそれでインパクトあるけどさ、できれば君の気持ちがちゃんと伝わるものの方が良いと思うんだよね。例えば……手作りとかさ?」
伊「う〜ん、ボクが手作りするとピザになっちゃうんだけど……あ、でもそれもいいかな!」
フランスは苦笑しながら、テーブルの上にメモ帳を広げた。
仏「じゃあ、整理してみよっか。今回は、サプライズでプレゼントを渡す作戦。対象は、僕からイギリス、君からドイツ。ふたりとも気づかないように、こっそり準備して、渡すのは……今週末?」
伊「そっか〜、それまでに準備かあ。ボク、頑張るね!フランスは何あげるの?」
仏「ふふ、僕はね……この前、イギリスが密かに見てた画集があったんだ。それと、僕が描いたミルちゃんの絵。額に入れてあげたいなって思ってるんだよ」
伊「わ〜〜!それ絶対喜ぶやつなんね!」
仏「でしょ? 君はどうする? 告白、するんでしょ?」
イタリアは、ちょっとだけ頬を染めて、ふにゃっと笑った。
伊「うん、ドイツって真面目だから、言葉でちゃんと伝えないと分からないんだよね〜。だからボク、ピザ柄のシャツはやめて、手紙を書くよ。あとね、パスタセットを作る!ドイツのためだけの特別なやつ!」
仏「いいじゃん、それ。……よし、それじゃ、作戦名は……”サプライズ・ド・ラブ計画”ってことで」
伊「長いけど響きが良いね〜!ボク、それ好き!」
二人は目を合わせてニヤリと笑う。
風に揺れる初夏の光の中で、恋の作戦会議は着々と進んでいた。
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