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週末の午後。
フランスとイタリアは、それぞれのプレゼントをバッグに忍ばせながら、公園のベンチで待ち合わせをしていた。
仏「……やっぱりちょっと緊張するね、これ」
伊「うん……でもドキドキしてるのはボクだけじゃなかった〜!フランスもドキドキしてるんだね!」
仏「当たり前でしょ。僕の人生最大の難関なんだから」
ふたりで小さく笑い合ったそのとき、向こうから現れたのはイギリスとドイツ。
イギリスはいつものように落ち着いた表情だが、横を歩くドイツはちょっと不思議そうな顔で首をかしげている。
英「フランス、何かあったんですか? 今日はやけに静かで……」
仏「んー……まあね。イギリス、ちょっとこっち来てくれる?」
独「おい、なんだか空気が違うな……イタリア、お前何かしただろ」
伊「ええっ!? まだ何もしてないよ〜! でも、今からするの! えへへ……」
ふたりは、背中を押すようにそれぞれ相手を木陰に誘った。
仏「これ、君に」
フランスがそっと渡したのは、シンプルなクラフト包装の小さな包み。
開けると、中には精密に描かれたミルの絵と──美しい装丁の画集が入っていた。
英「……これ……私が、この前見てた……?」
仏「気づいてたよ。いつも本屋の前で立ち止まってる君を」
イギリスは一瞬言葉を失い、指先で絵の額縁をなぞる。
英「……なんで、そこまで……」
仏「君の喜ぶ顔が見たくてさ。それだけじゃダメ?」
英「……っ、フランス、……ありがとう……。本当に……、うれしいです」
顔を伏せてしまったイギリスに、フランスはそっと囁いた。
仏「愛してるよ、イギリス」
英「……っ……ずるい……。私ばっかり、心臓がうるさい……」
一方そのころ、イタリアはドイツの前に、箱と封筒を手渡していた。
伊「これね、ボクからの気持ち〜!全部、手作りしたんだよ!」
ドイツが中を覗くと、そこにはカラフルなリボンで包まれたパスタセットと、イタリアらしい柔らかな字で綴られた手紙。
独「……これは……」
伊「好きです、って書いてあるの。……本当に、ボク、ドイツのこと、ずっと好きだったんだよ」
言った瞬間、イタリアはドキドキと胸を押さえる。
ドイツの反応を恐れるように、けれど目はまっすぐ彼を見ていた。
独「……イタリア。ありがとう……。お前の気持ち、受け取った。……俺も……お前のこと、大事に思ってる。ちゃんと」
伊「えっ、えっ!?えへへへ……それって、付き合うってことだよね!? わーい!!」
ドイツは頬を赤らめながら「うるさい、落ち着け」と呟いたが、イタリアの嬉しそうな声が公園に響いた。
伊「ふふふ〜、フランスも成功した? ボクも! ねっ、ねっ!」
仏「もちろん。……こっちも、ね?」
英「……な、なんで私に聞くんですか」
独「……ふ。にぎやかになるな、これから」
風が木の葉を揺らし、四人の笑い声が混ざる。
秘密のプレゼント計画は、大成功だった。