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最初は上手く吸えたと思っていたけれど――。
ちゅううううう……、ちゅーぅううぅう……。
唇の隙間から空気が入ったのか、なんとも間抜けな音が漏れ、私は真っ赤になって顔を離す。
「たっ、たんま! 今のナシ!」
慌てて涼さんの首にかけた腕を外そうとしたけれど、彼は私をグッと抱き締めて離さない。
「はい、リトライ」
そして笑顔で言うので、思わずポカリと彼の肩を叩いてしまった。
「スパルタ……」
そのあと、羞恥に見舞われながらも何度かチャレンジし、涼さんの首筋にキスマークをつける事に成功した。
少し酸欠になった私がハーハーしていると、涼さんは枕元に置いてある手鏡で首元を確認して満足そうに頷いていた。
なぜ枕元に鏡を置いているかというと、彼は睫毛が長いものだから、よく寝癖がつき、時には目に刺さって痛くなる事もあるかららしい。
その手鏡がシャネルなものだからビックリしたけれど、片方が拡大鏡になっているから、使いやすいんだそうだ。
「我が儘を聞いてくれてありがとう。じゃあ、お礼に沢山気持ち良くしてあげようね」
涼さんがとろけるような笑顔で言い、私は顔を引きつらせて後ずさる。
「いっ、いや……っ、満足したならそれで……」
先ほどの愛撫の流れがキスマークに移ったので、それはそれでラッキーと思っていたけれど、忘れていなかったようだ。……当たり前といえばそうなんだけど。
「俺は恩を受けたら千倍にして返すタイプだから」
「重すぎる」
思わず突っ込みを入れたけれど、「まぁまぁ」と宥められて押し倒された。
そのあと、涼さんはまた私の頭をヨシヨシと撫でつつ、丁寧にあちこちキスをしてくる。
「ん……っ、ん……」
頬や首筋にキスをされるとくすぐったく、思わず首を竦めてしまう。
涼さんは雪が降るような優しいキスをしつつも、途中で少し強めに吸ってくる。
「あの……、キスマーク増やさないでくださいね?」
「大丈夫だよ。さっきみたいに歯を立ててないだろ?」
「ん……」
言われて安心するものの、スリップ越しに胸を揉まれて艶冶な息を漏らしてしまう。
モゾモゾと脚をすりあわせていると、涼さんは私の太腿を左右に広げてその間に腰を入れてきた。
「……っあの! ……もうちょっと暗くしてほしいです」
恥ずかしくて要望を伝えると、涼さんはフェリシアに命令してベッドルームの照明を半分の明るさにした。
この部屋は大きなメインのライトはなく、壁際に埋まっている間接照明や、スタンドライト、枕元のライトなどの複数からなっている。
どれもフェリシアに対応しているようで、明るさの程度も電球色、昼白色、昼光色など、色味も調節できるらしい。
「なんなら、ムードのある曲でもかける?」
悪戯っぽく言われて「いや、そこまでは」と拒否したけど、涼さんは「フェリシア、ベン・ウェブスターをかけて」と命令し、すると雰囲気のあるジャズが流れ始めた。
(は……、恥ずかしい……っ)
カーッと赤面すると、涼さんは私の額にキスをしてから微笑む。
「やっぱり環境から整えてから、大切にメインディッシュをいただかないとね」
涼さんは悪戯っぽく囁いたあと、私の唇にキスをし、ねっとりと舐めながら再びスリップの肩紐を左右に落とした。
「綺麗な肌……。それにいい匂いがする」
彼は独り言のように呟き、再び首筋からデコルテへと丹念にキスをしていく。
同時に太腿に這った手がゆっくりと上下し、指先が触れるか触れないかのタッチに、私はゾクゾクして顔をあおのかせた。
思い出すと、スリップの下は何も着ていない。
(どうしよう……、始まっちゃう……)
一生懸命引き延ばしたのに、とうとう二度目のアレが始まってしまう。
緊張していると、それを感じた涼さんが尋ねてきた。
「怖い?」
間接照明に照らされた彼の目は、飴玉みたいに透明感のある綺麗な色に輝いている。
「……慣れてなくて……」
呟くと、涼さんは「大丈夫」と私の両手を握り、その甲に順番にキスをした。
「痛い事はしないし、本当に嫌だったらすぐやめる。恥ずかしいし緊張するだろうけど、繰り返していかないと、いつまでも怖いままだと思う」
「そ……、ですね……」
コクンと頷くと、涼さんはスルリと私の太腿を撫で、秘所ギリギリの場所に触れてきた。
「ひぁっ」