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第75話
あれから、ロルフが少し落ち着いてから帰った。
その日の夜。
「話がしたいからいい? 勿論、いつでも良いんだけど、今、話した方がアニカにとっていいのかなって……」
私は頷いた。
すると、彼は深呼吸してから「あの僕が立ち止まった所で、両親が魔物に食い殺されたんだ」とロルフが死んだ魚の目のような青い瞳で言った。
ロルフの両親は、行商人をしていて、朝は、ロルフは街の騎士団の訓練場へ、ソフィーやロルフの両親は行商人の仕事をするのに、荷馬車で城下街の方まで行く。それが、しばらくの日常だった。
でも、ロルフが聖騎士にスカウトされるって事になると、今まで以上の嫌がらせや、寝ている所への攻撃が同い年や少し年上の人からあったらしい。
それを見かねたロルフの両親が、少し遠出の旅を企ててくれたけど、その初日に普通では無い程の魔物の群に襲撃されたと言っている。
ロルフの父親の家系は、先代に街の騎士がいたり、医者を輩出したりと、しているけど、至って普通だ。
母方だって、光の家という事以外、普通の家。
少し、実家が山奥という事だけ。
だから、ロルフの家は母方の家って事。ロルフの母親は三姉妹の末っ子だったと言うけれど、外国へ行ってしまったから会った事無いらしい。
しかも、普通に考えて、五十歳は超えているはず。だから、もうなす術がない。
……嫌がらせは、昔からあったらしい。それから、自分の感情を表に出さないようになった。
池に落とされたり、木から落とされたり、冬に川の水をかけたれたり……散々だったらしい。
ロルフは普通に熱を出す子で、よく寝込んでいたらしい。
私は、それを耐えられないと、思う。
だって、ロルフの頑張りは頑張り以上に評価される事ぎ無い。
でも、誰かを救える人になりたかったから、自分が傷ついてどうするって言ってた。
怖くて、苦しくて、泣きたくて、死にたくて、そんな事ばかりだったと言う。
十一の頃……私は、謎に色々な事に興味があって、やるべき事をそっちのけで図鑑を読んだり、していた。
私は、ロルフをみたら、ちゃんとしようと思った。勿論、やらないといけないことはやった、彼ががんばってるののに、私も頑張らないとと、示しがつかなかった。
話は戻るけど、ロルフは、ちょっとやそっとの陰口では傷つかないし、ああ、見えて喧嘩は売られたら直ぐに買っていつの間か、勝っている。
それも、無傷、無敗。口喧嘩でも全くらしい。穏やかなロルフも、他の人から見て珍しいらしく、何も抗わないのが彼。
でも、負けたくないという意地があるらしい。
だから、強い奴に目をつけられてたり、嫌がらせを受けてたんだと思うらしい。
「これ、アニカに話すの初めてかな」
「そうなんだ……私より、辛い想いしてたんだね……ごめん。なのに、私の事ばかり……」
「それはアニカの所為じゃない。僕の意思だよ」
ロルフの意思……
「あ、生意気だったかな……?」
「うぅん。全然、そんな事は無い。ただ、何でこんなに不遇なのだろうって……気持ちは同じなのに……」
「そうだね。僕はお母さんから光の子の話を全く聞いてないから、どうするのか全く聞いてない」
だから、どうすればいいのか、どうするのが正解なのか、何も分からないのか……
道なき道を進むのは、そのくらい大変……
私は、人に言われるがままの攻略結婚をさせられるのだろうか……それとも、ずっと独り……
なら、最終手段が幸せかも。このホルム王国に終止符……
……民は、それを受け入れてくれるのだろうか?
領主だけの世界はどうなるのだろう? ロルフだって、察するだろうし……私の言動一つで、世界が変わるのか……
というか、これは、国と言っていいのだろうか? これは、ただただ、私が甘えてるだけのような気がする。
「ロルフ。貴方はどうしたいの?」
「え? 僕?」
「うん。私は、姫って呼ばれているけれど、生き残った貴族たちが良い立場を保つだけのものであって、国は滅びている。だから、もうホルム王国を完全に解散するのがいいのか、それとも、国を保って、民を守るべきか……」
「……その後の騎士団の皆や、侍女はどうするの?」
「村の騎士団や、その騎士たちを泊める宿屋や……やりたい事をできるように、したいの」
「それは、アニカも?」
やりたい事……そんなの私に無かったからな……
「ずっと、普通に憧れてたの。でも、守られていた、民たちはどうなるのかって考えると……」
「でも、騎士たちが増えるんでしょ? そこは町長とか、里長に任せれば、家族の元で過ごせるし、近くにいるから、直ぐに駆けつけらる。それでいいと思う」
「うん。ありがと」
コメント
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第76話、じっくり読みました。ロルフの両親の話や幼い頃のいじめの記憶――あれだけ重いものを抱えていたんだなって思うと、胸が詰まりました。それでもアニカに話そうと決めたロルフの気持ちを思うと、二人の距離が確かに縮まってるのが伝わってきて、じんと来ましたね。アニカが国の未来について真剣に考え始めたのも、大きな変化だと思います。続きがすごく気になります。