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さっき近野さんにも言われたように、自分はどうしてこうも流されやすいんだろうと、こんな非道い男に翻弄されてばかりでいることに、つくづく嫌気が差してくる。


……私以外の誰かを抱いたのかどうかなんて、もう気にしなければいいのにと思う。


だけど、どうしてだか頭の隅にいつまでも引っかかる自分でもよくわからないような感情に、わけもなくイラ立ちを掻き立てられて、私は向かい合わせのその顔を上目にキッと睨んだ。


「……なぜ、そんな目で私を見るのです?」


レンズの奥から、じっと視線を捕らえられる。


「……別に…もう、何も……」


頭にこびりついて離れない引っかかりを振り払おうと、一切の話を打ち切ろうとする私に、



「……もしかして、体の関係を持つのは、あなただけだとでも、思われていましたか?」



自分でも気づいてさえいなかった心の奥を、いとも簡単に見透かされて、顔が一気に赤らむのを感じた。


「体を合わせるのがあなただけとは、私は一言も言っていませんよね? それとも……、」


口元に薄笑いを称え、私の反応を楽しむようにも見やると、



「あなただけが、特別だとでも、感じていましたか?」



心の動揺を隠し切れずにいる私を、嘲笑うかのように、その男はそう口にした──。

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