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☆第一話☆
椎名瀬戸(しいなせと)、17歳。
今まであまり人前では目立たずに生きてきたつもりだったが、それが今脅かされている。
さっき捉えた瞳は私と視線がぶつかると逃げるように消えていった。
「終わった…」
芯のない声が漏れる。
絶対にチクられる。
名前を知られていなかったとしても時間割とクラスを炙り出されてジ・エンド。
今からでもやり直すことできないのかな?
意味のないうわ言のような考えが頭の中を周期的に巡ってくる。
でもそれは全て無意味であり、ことの重大さを受け止めきれず、その反動でいつまでも動けないまま時が過ぎた。
5分くらい経っただろうか。
絶望していたせいか時間の流れが遅く感じる。
不意にノック音がした。
「あの…入ってますか…?」
「は、はいって…ます…」
情けない声が出た。
順番を待ってる人がいる。
出てあげないと。
そうは頭で思うものの、さっきのショックが足を引きずる。
私は震える脚でなんとか立ち上がり、個室から出ることができた。
「ど、どうぞ…」
私は頼りない足取りでゆっくりトイレの出口へ向かう。
横切った時に見えたのはサラサラで長い、薄めの桃色の髪を持つツインテールの少女だった。
「あ、ちょっと待って!」
彼女が誰かに呼びかける声が私の背中に当たった。
きっと彼女は誰かを呼んでいるのだろう。
そう思い辺りを見渡してみるが、誰もいない。私と彼女の二人だけだ。
その言葉が自分に対して発せられたものであると理解するために結構時間がかかった。
「わ、わたし?」
「は、はい…」
私だった。
何の用だろうか。
その時なぜか、嫌な予感がした。
恐る恐る顔を上げてみると、目の前には先程見たのと同じ、宝石をそのまま埋め込んだかのように美しく輝く赤い瞳を持った少女が、困惑の色を浮かべて立っていた。
「!!!!」
私は無我夢中で走り出していた。
コメント
1件
読ませていただきました。第1話で何があったのか気になりつつ、冒頭の「終わった…」という絶望感がすごく伝わってきました。トイレの個室で動けなくなる繊細な心理描写がリアルで、思わず「大丈夫…?」と声をかけたくなります。最後の桃色ツインテールの少女、何か知っている感じですね。続きが気になります!