テラーノベル
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玄関を開けた瞬間、ひやりとした空気が頬を撫でた。誰の気配もしない、暗い家。だが奥から小さな寝息がかすかに聞こえる。
足を進めると、ベッドの上にロシアがいた。
掛けているのは毛布ではなく、俺のジャケット。
抱きしめているのは、脱ぎ捨てたままのシャツ。
ぐしゃぐしゃに握りしめ、顔を押し付け、まるでそれが俺そのものだと言わんばかりに縋って眠っていた。
胸の奥が一瞬、締め付けられる。
――こんなにまでして、俺を欲していたのか。
ドイツ「……馬鹿だな」
吐き捨てる声とは裏腹に、口元は笑っていた。
愛しい。だが、それ以上にぞくりと昂る感情がある。
俺を失えば、この国は簡単に壊れる。
ほんの数日の出張でここまで弱りきっている。
服を抱かねば眠れず、涙の跡を残したまま子どものように丸くなる。
(いい。もっとでいい。俺以外を必要とできなくなれ)
ベッドの端に腰を下ろし、眠る顔を覗き込む。
涙で濡れた頬。震えるまつ毛。
か細く動く唇から、俺の名前が掠れるように零れた。
ロシア「……ドイツ……」
心臓を掴まれたように熱が走る。
理性が「抱きしめろ」と告げる。
だが、その下で膨れ上がる衝動はもっと黒い。
(そうだ……俺だけを求めろ。他の誰もいらない。俺の声がなければ、眠れない身体になれ。俺の匂いがなければ、呼吸もできないくらいに堕ちてしまえ)
掌を伸ばし、ロシアの頭を撫でる。
指先はやさしく動く。
外から見れば、ただ愛しい恋人を労わる仕草だろう。
だが胸の奥で蠢くのは、甘やかしの仮面をかぶった独占欲と支配欲。
ドイツ「お前はもう……俺のもの以外の何“物”でもない」
囁きは眠るロシアに届かない。
それでもいい。
目を覚ませばまた泣きながら俺に縋るのだ。
――甘やかすふりをして、壊す。
それが俺の本当の望みだと、もう自覚していた。
ベッドに腰を下ろしたまま、しばらくその寝顔を眺めていた。
泣き腫らしたまぶたが小さく震え、やがて薄く開く。
まだ夢と現の境目にいるように焦点の合わない瞳が、ゆっくりと俺を捉えた。
ロシア「……っ、ドイツ……?」
瞬間、崩れるように声が震えた。
夢だと思いたいような、けれど現実を確かめたくて必死に手を伸ばす。
ロシア「帰った……?ほんとに……?」
そのか細い問いかけが、堪えきれず涙に変わる。
次の瞬間には、身体ごと飛びついてきた。
ロシア「うわぁあああ……っ!」
嗚咽混じりに胸へしがみつき、顔を埋める。
子どもが親を失って泣き叫ぶように、震えながら何度も俺の名を呼ぶ。
ロシア「ドイツ……っ!やだ、もうやだ……ひとりいやだった……っ!」
肩口に爪が食い込み、服がぐしゃぐしゃに濡れていく。
腕を回し、受け止める。
その細い体を包み込みながら、背中をゆっくり撫でた。
(そうだ……泣け。もっと泣いて、俺に縋れ)
表情は柔らかく、声も低く落ち着かせるように囁く。
ドイツ「……すまなかった。もう大丈夫だ。俺がここにいる」
けれど胸の奥では、黒い満足感が渦を巻いていた。
出張という数日の空白だけで、ここまで壊れる。
俺が与える安心がなければ、この国は眠ることすらできない。
ロシア「っ……ひとりにしないで……お願い……」
ドイツ「しない。お前は俺のものだ。ずっと」
泣きじゃくる声を抱きしめながら、心の中で嗤う。
――もうとっくに、完全に堕ちている。
そしてそれを許しているのは、俺自身だ。
なんか、ロシアのキャラ崩壊がえぐい。
どうしましょ( ơ ᴗ ơ )
なんか、色々と物語がおかしくなっていくかもしれません!ではまた!
コメント
2件
可愛いから全てオッケーです。 ドイツのナチみが強い、、、!!好き、、、!!ドイツ≒ナチ !!