また今回も長めなので切り分けます。
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♧視点
♧「おー、おはよ」
そう声をかけた瞬間、桐崎がピクッと肩を震わせるのがわかった。
ほら、やっぱ気にしてる。
あの打ち上げの日。
酒に飲まれた桐崎が、俺の肩に無防備に寄りかかってきたこと。
忘れるわけがない。
思い出すだけで、心臓がうるさいくらいに跳ねる。
でも、それを悟られるわけにはいかない。
あー、でもムカつくよな。
桐崎が無意識に見せる甘えた仕草とか、無防備な寝顔とか。
こっちはあの夜からずっと頭を抱えてるのに、本人は覚えてないとか言うし。
だから――
♧「……でさ、昨日はよく寝られた?」
仕返し開始。
♧「ほら、俺の肩がそんなに寝心地よかったなら、つい思い出して眠れなかったりして?」
❀「な、なんでそうなるんですか!?」
冗談めかして言ったつもりだったけど、彼女の顔が一気に赤く染まる。
……可愛いな。
だけど、そんな素直な感情を口に出すほど俺は素直じゃない。決してツンでははないが?そーいう性格なだけだが?
♧「いや、別に? 気にしてるわけじゃねーし?」
ちょっとくらい焦らせてやらないと、こっちの気が済まない。
❀「絶対気にしてますよね!」
♧「はぁ? 気にしてねーし。肩貸してやったくらいで調子乗んなよ」
このくらい言っとかないと、やってられない。
本当は調子に乗ってるのは俺のほうだ。
だって、桐崎が俺の肩に寄りかかってきた時――
どれだけ嬉しかったか。
でも、それを悟られたくなくて、余計に言葉が強くなってしまう。
♧「てか、あれくらいで照れるとかさ、お前ほんとガキっぽいよな」
❀「……え?」
♧「まぁ、俺の肩がよっぽど気持ちよかったんだろ。仕方ねぇよな」
案の定、桐崎は顔を真っ赤にして反論してくる。
❀「そ、そんなわけないじゃないですか! ただ酔ってたから、それだけです!」
桐崎の慌てる姿が、なんだか無性に愛おしい。
でも、ふと胸の奥にモヤモヤとした感情が広がる。
♧「へぇー、じゃあ他の男にもあんな感じ?」
❀「……!」
口をついて出た言葉に、自分でも驚いた。
そんなつもりじゃなかったのに。
何やってんだよ、俺。
でも、桐崎が他の誰かに同じように甘えるなんて考えたら、どうしようもなくイラついて――
♧「別にどうでもいいけどさ。お前が誰に寄りかかろうが、俺には関係ねーし?」
言葉とは裏腹に、心の中はぐちゃぐちゃだった。
関係ないわけねーだろ……バカか、俺。
それでも、桐崎の動揺する顔を見て少しだけ気が晴れる。
桐崎のことを困らせたいわけじゃないのに、こんな風にしか気持ちを伝えられない自分が情けなくなる。
❀「もう……! 知りませんっ!」
真っ赤な顔でそう叫び、彼女は逃げるように去っていった。
……あー、やりすぎたかな。
それでも、口元に浮かぶのは意地の悪い悪魔の笑みだった。
休憩時間。
桐崎の姿を見つけると、思わず足が向かう。
♧「おーい、逃げんなよ」
❀「逃げてません!」
からかう言葉を重ねるたびに、桐崎の顔はさらに赤くなる。
❀「……ほんと、からかいすぎです」
♧「別に? 俺は事実を言ってるだけだし?」
❀「どこがですか!」
桐崎のツッコミに、つい笑ってしまう。
ほんと、こうやって俺に噛みついてくる姿が可愛くて仕方ない。
だけど、意地悪なことを言うたびに自分の胸が痛むのも事実だった。
素直に言えたら、どんなに楽か。
❀「……次の収録、ちゃんと集中してくださいよ」
そう言ってぷいっとそっぽを向く彼女に、俺は小さく笑った。
♧「言われなくても」
平然と帰ってく桐崎に少し心が痛む
俺のこと、もう少し意識してくれてもいいんだけどな。
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すずめの戸締まりを見た人へ
ダイジンちょーかわいくないですか?
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