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まきぴよ
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おその★
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宮舘と渡辺の撮影が終わる。
康二はカメラを下ろし、モニターを確認した。
黒と白。
ほとんど触れていない二人。
それでも。
写真の中には。
確かに二人だけの距離があった。
「よし」
康二が満足そうに頷く。
「次いこ」
佐久間が。
待ってましたと言わんばかりに立ち上がった。
「俺ら!」
ラウールも笑いながら立つ。
「やっとだね」
渡辺がソファへ戻りながら言う。
「お前ら一番うるさそう」
「失礼だな!」
佐久間が即座に返す。
「俺たちめちゃくちゃいい写真撮るから!」
康二が。
「俺も入ってるで」
と言う。
佐久間が振り返る。
「分かってるよ!」
「さっきから撮る側の顔しかしてへんから忘れてそうやった」
「忘れてないって」
ラウールが。
三人分の衣装を見る。
「僕たちは白黒混ぜるんだよね?」
「そう」
康二が頷いた。
三人は。
恋人同士の三組とは違う。
誰かと誰かが対になるわけではない。
白も。
黒も。
一人の中に混ざっている。
佐久間は黒を多めにした衣装。
ラウールは白が中心。
康二は。
ちょうどその間。
白と黒が半分ずつ使われていた。
「意味あるの?」
阿部が聞く。
康二は。
少し考えてから。
「なんとなく?」
「ないんだ」
「あるように見えるやろ?」
「今作ったでしょ」
「ばれた?」
阿部が笑う。
でも。
康二はすぐに少しだけ真面目な顔になる。
「でも」
「うん?」
「三人は、三人らしく撮りたい」
ラウールが聞く。
「三人らしくって?」
「恋人同士みたいに」
康二は。
さっき撮った三組を見る。
「何か意味ある触れ方とか」
「見つめ合うとか」
「そういうのやなくて」
佐久間が。
康二の肩へ腕を回す。
「こういうの?」
「そうそう」
今度は。
ラウールも反対側から康二へ寄る。
康二が。
二人に挟まれる。
「近い近い」
「康二が近い写真撮りたいって言ったじゃん」
「俺らは自然な近さでええねん」
佐久間がさらに寄る。
「これ自然!」
「嘘つけ!」
三人が。
そのまま押し合いになる。
阿部たちから。
笑い声が上がる。
宮舘が。
「もう撮影始まってるんじゃない?」
と聞く。
康二が。
「あ」
と言ってカメラを構える。
「そうやった」
渡辺が。
「お前、自分入らないじゃん」
と呆れる。
「まず二人撮る」
「またそれ?」
佐久間が。
康二を見る。
「三人の撮影でしょ?」
「そうやけど」
「じゃあ康二も入らないと」
「あとで入るって」
ラウールも。
「絶対後回しにするやつだ」
と言う。
「せえへんって」
「する」
「せえへん!」
佐久間とラウールは。
顔を見合わせた。
そして。
二人同時に。
康二の両腕を掴んだ。
「何!?」
「カメラ置いて」
佐久間が言う。
「嫌や」
「置いて」
ラウールも笑顔で言う。
「待って待って」
「撮る側やから俺」
「三人の写真なのに」
佐久間が。
「康二だけいないの嫌なんだけど」
その言葉に。
康二が少し止まる。
ラウールも。
「そうだよ」
「俺と佐久間くんだけの写真じゃないでしょ?」
康二は。
二人を見る。
「……分かったよ」
「よし!」
佐久間がすぐ手を離す。
康二は。
大事そうにカメラを見る。
そして。
少し離れたところにいる阿部へ視線を向けた。
「あべちゃん」
「ん?」
「お願いしてええ?」
阿部が。
少し驚いた顔をする。
「俺?」
「うん」
康二は。
カメラを両手で持って。
阿部のところへ行く。
「前言ったやろ?」
「俺の撮影の時は、あべちゃんに撮ってほしいって」
「ああ」
阿部は思い出したように頷く。
「本当に俺でいいの?」
「ええよ」
「でも康二のカメラ高そう」
「そこ?」
「落としたらどうしよう」
「ストラップつけるから大丈夫」
「怖いんだけど」
「大丈夫大丈夫」
阿部が。
「今日の康二の大丈夫は信用ないって」
と笑う。
康二も笑った。
それでも。
カメラを阿部へ渡す手は。
少しだけ慎重だった。
阿部が受け取る。
想像していたより。
重い。
「重っ」
「レンズあるからな」
「これずっと持ってるの?」
「慣れたら平気」
康二は。
阿部の隣に立って。
設定を確認する。
「ここ押したらシャッター」
「それくらいは分かる」
「で、ここでピント」
「うん」
「これ触ったら設定変わるから、そこは触らんで」
「急に怖い」
「でも」
康二は。
少し考える。
「細かいこと気にせんでええよ」
阿部が。
カメラから康二を見る。
「いいの?」
「うん」
「写真の正解とか」
「構図とか」
「そういうの康二の方が知ってるでしょ」
「知ってるけど」
康二は。
佐久間とラウールの方へ戻りながら言った。
「今日は」
少しだけ振り返る。
「あべちゃんが見た俺でええ」
阿部の表情が。
少しだけ変わる。
「……分かった」
「よろしく!」
三人が。
セットの中へ入る。
三人並んだだけで。
すでに賑やかだった。
「どうする?」
阿部がカメラを構えながら聞く。
康二が。
反射的に答えようとする。
「まず――」
そこへ。
佐久間が。
康二の口を塞いだ。
「今日は黙って!」
「むぐっ」
「あべちゃんが撮るんだから!」
ラウールも笑う。
「そうだよ。康二くん指示しないで」
佐久間が手を離す。
康二が。
「俺の撮影やのに」
と少し不満そうに言う。
「だからでしょ」
ラウールが答えた。
阿部は。
三人を見る。
「じゃあ」
少し考える。
「適当に座って」
「適当!?」
康二が驚く。
「それでいいの?」
「康二が言ったんじゃん」
阿部は。
カメラを覗きながら言う。
「俺が見た康二でいいって」
「……言った」
「じゃあ任せて」
康二が。
少しだけ笑う。
「はい」
三人は。
白黒のセットの床へ座った。
佐久間が真ん中へ座ろうとする。
康二が。
「なんでセンターやねん」
と押す。
「いいじゃん!」
「今日俺の撮影でもあるんやぞ!」
「じゃあ三人で真ん中!」
「意味分からん」
ラウールが。
二人の間に長い脚を伸ばして座る。
「狭い」
「ラウール脚長い!」
「仕方ないじゃん」
阿部は。
そんな三人を見ながら。
数枚。
シャッターを切った。
「いいね」
佐久間が笑う。
「俺たちいい感じ?」
「うん」
「もっと近づく?」
「好きにして」
その一言で。
佐久間が康二へ寄り。
ラウールも肩を寄せる。
三人で。
何かを話し始める。
笑う。
押す。
また笑う。
阿部は。
そのまま撮る。
そして。
しばらくして。
康二が。
ふとカメラを見た。
その瞬間。
仕事用の顔になった。
明るい笑顔。
いつもの。
康二らしい笑顔。
阿部は。
何枚か撮る。
一枚。
二枚。
でも。
三枚目は。
撮らなかった。
「康二」
「ん?」
康二が。
笑顔のまま見る。
阿部は。
カメラを少し下ろした。
「笑わなくていいよ」
康二の表情が。
止まった。
一瞬。
スタジオが静かになる。
少し離れたところで見ていたメンバーも。
何となく。
二人を見る。
康二が。
小さく聞いた。
「……何て?」
「笑わなくていい」
阿部は。
さっき。
自分が康二に言われた言葉を。
そのまま返す。
「今の康二撮りたい」
康二は。
しばらく。
何も言わなかった。
夢の中で。
阿部が笑っている写真を見て。
大丈夫だと思っていた。
笑っているから。
楽しいんだと思っていた。
その裏で。
阿部が壊れていることに。
気づけなかった。
だから。
あの夢の中で。
康二は。
笑っていない阿部も。
疲れている阿部も。
ぼんやりしている阿部も。
全部。
写真へ残すようになった。
そして。
現実へ帰ってからも。
そうしてきた。
今。
カメラの向こうにいる阿部が。
自分に同じことを言っている。
康二は。
少しだけ目を伏せた。
「俺」
「うん」
「笑ってへんでええの?」
「いいよ」
阿部は。
当たり前のように答える。
「だって」
少し笑う。
「康二が笑ってない顔も、俺知ってるし」
康二の目が。
少し揺れる。
「それも康二でしょ?」
「……うん」
「撮っていい?」
康二は。
すぐには答えなかった。
でも。
少しして。
小さく頷く。
「うん」
阿部は。
もう一度。
カメラを構えた。
康二は。
笑わなかった。
無理に真顔を作るわけでもない。
ただ。
少し力を抜く。
口元から。
いつもの笑顔が消える。
目だけが。
静かに阿部を見る。
シャッター音。
一度。
康二が。
少し視線を外す。
シャッター。
今度は。
少し下を見る。
また。
一枚。
阿部は。
何も言わない。
康二も。
何も作らない。
ただ。
そこにいる。
その康二を。
阿部は撮った。
数枚撮ったところで。
佐久間が。
そっと康二の隣へ戻ってきた。
何も言わず。
肩を寄せる。
反対側には。
ラウール。
康二が。
二人を見る。
「何?」
佐久間が。
「別に」
と答える。
ラウールも。
「三人の写真だから」
と言う。
康二は。
少しだけ笑った。
でも。
さっきまでの。
カメラ用の笑顔ではない。
ほんの少し。
安心したような笑顔。
阿部は。
その瞬間も撮る。
三人は。
カメラを見ていなかった。
佐久間が。
今日の撮影で。
誰の写真が一番よかったか。
康二に聞く。
「まだ途中やって」
「今のところ!」
「選ばれへん」
「ずる!」
ラウールが笑う。
「じゃあ自分の写真は?」
康二が。
「まだ見てへんから分からん」
と答える。
「あべちゃんが撮ってるから絶対いいよ」
佐久間が言う。
康二が。
阿部を見る。
阿部は。
カメラの向こうで。
少し笑っている。
「プレッシャーかけないで」
「大丈夫!」
「佐久間に言われると余計不安」
「何で!?」
三人が。
また笑う。
阿部は。
その笑顔も撮った。
笑っている康二。
笑っていない康二。
どちらかだけが。
本物なのではない。
両方。
康二だった。
しばらくして。
康二が。
我慢できなくなったように言う。
「ちょっと写真見たい」
阿部が。
「もう?」
と笑う。
「気になる!」
「じゃあ一回休憩しよっか」
三人が。
阿部のところへ集まる。
康二は。
大事そうにカメラを受け取った。
「ありがとう」
「どういたしまして」
そして。
すぐにモニターを開く。
最初は。
三人で笑っている写真。
佐久間に押されている写真。
ラウールの肩へ乗っかっている写真。
「ええやん」
康二が笑う。
「楽しそう」
「実際楽しかったでしょ」
阿部が言う。
「うん」
何枚か送る。
そして。
康二の指が。
止まった。
笑っていない。
自分。
カメラを。
まっすぐ見ている。
でも。
決め顔ではない。
静かな顔。
康二は。
何も言わず。
しばらくその写真を見る。
佐久間も。
隣から覗く。
「康二、かっこいいじゃん」
ラウールも。
「これ好き」
と言う。
康二は。
少しだけ首を傾げる。
「俺」
「うん?」
阿部が見る。
「こんな顔してた?」
阿部は。
すぐに答えた。
「してたよ」
「ほんまに?」
「うん」
「俺、あんまり自分で知らん」
「そう?」
阿部は。
画面を見る。
「俺は知ってるけど」
康二が。
阿部を見る。
「康二だって」
阿部は続ける。
「ずっと笑ってるわけじゃないでしょ」
「疲れる時もあるし」
「考えてる時もあるし」
「ぼーっとしてる時もある」
「うん」
「俺、それ全部知ってるよ」
康二が。
また。
画面を見る。
夢の中で。
自分が。
阿部へ伝えたこと。
笑っていない写真も。
その日の阿部。
泣いている写真も。
疲れている写真も。
全部。
残していい。
今度は。
自分が。
同じことを言われている。
「……そっか」
康二が。
小さく笑った。
「うん」
阿部も笑う。
康二は。
もう一度。
その写真を見る。
消そうとは。
思わなかった。
むしろ。
残したいと思った。
佐久間が。
「これ雑誌に使おうよ」
と言う。
康二が慌てる。
「待って」
「何で?」
「俺が決めるんちゃうから」
「でもいいじゃん」
ラウールも。
「編集部の人にも見てもらおう」
と続ける。
康二は。
少しだけ困った顔になる。
「なんか恥ずかしいな」
阿部が笑う。
「笑ってないから?」
「それもある」
「でも」
康二は。
写真を見ながら。
少しだけ照れたように言う。
「……嫌ではない」
「じゃあ残そ」
阿部が言う。
康二が。
頷く。
「うん」
その時。
佐久間が。
三人で写っている別の写真を指差した。
「俺これも好き!」
ラウールも覗く。
「こっちもいいね」
康二が。
「どれ?」
と見る。
そこには。
佐久間。
康二。
ラウール。
三人とも。
カメラを見ていない。
何かを話しながら。
自然に身体を寄せ合っている。
恋人同士ではない。
でも。
近い。
触れている。
笑っている。
そこには。
三人にしかない距離があった。
康二は。
少しだけ嬉しそうに言う。
「……こういうの撮りたかってん」
阿部が聞く。
「こういうの?」
「うん」
康二は。
画面を見る。
「恋人だけが」
「近い関係ちゃうやろ」
阿部が。
少し笑う。
「そうだね」
「俺らは俺らで」
「こういう距離あるから」
佐久間が。
康二の肩へ腕を回す。
「これ!」
「近い近い!」
ラウールも。
反対側から寄る。
「これだね」
「二人とも近いって!」
言いながら。
康二は。
楽しそうに笑っていた。
阿部は。
もう一度カメラを持ち上げる。
「じゃあもう一枚撮る?」
康二が。
二人に挟まれたまま。
「お願い!」
と答える。
「今度は笑う?」
阿部が聞く。
康二は。
少し考えて。
「分からん」
と笑った。
「その時の俺でええ?」
阿部は。
ファインダーを覗く。
「うん」
「その時の康二撮る」
そして。
シャッターを切った。
今度は。
誰かが決めた顔ではなく。
三人が。
その瞬間にしていた顔を。
そのまま。
コメント
1件
うわああ〜!!😭💕 この回、めちゃくちゃ良かった!! 康二が「笑わなくていいよ」って阿部ちゃんに言われた瞬間、鳥肌立った…! 前の話で康二が夢の中で学んだことが、今度は自分に返ってくるの、エモすぎる…😢💖 佐久間とラウールが康二を入れたがるシーンも、「三人の写真なのに康二だけいないの嫌」って言葉がもう、尊すぎて泣いた!!恋人だけが特別な距離なんかじゃなくて、この三人の近さもまた特別なんだって、すごく伝わってきたよ〜😭🌸 阿部ちゃんが撮った「笑ってない康二」、絶対いい写真だよね。雑誌に使ってほしい気持ち、めっちゃ分かる!!⋆♡ みらさん、最高のエピソードありがとう!!次の話も楽しみにしてるよ〜🎀✨