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彩香さんを中心にして、両端に僕と亜里砂さんという感じで寝る。
「耐えきれなくなったら、一時的に私の部屋を使っていいのだ。ティッシュも用意してあるのだ」
そのちょっと前に、亜里砂さんがそんな余計な親切? を言っていたけれど。
寝てすぐ横が彩香さんというのは、合宿でも時々あった。
それでも同じ布団だと、また全く違う訳で。
何せ体温とかも、そのまま感じそうだ。
「実は夏合宿が終わった後、凄く寂しかったんです。皆と一緒にわいわいやっていたのに、寮の個室に戻って1人暮らしになって、授業が無いから誰とも会えなくて。だからこのお泊まり会、楽しかったし凄く嬉しかったんです」
なんて、彩香さんは言っているけれど。
ちょっと動けば触ってしまう位近い距離で、僕は固まっている。
亜里砂さんは、この状況をわかっていて笑っているのかな、と思うけれど。
「感じるけれど、彩香は随分、悠を信頼しているのだな」
「学校に入って、最初からずっとお世話になっているし。ATMでお金を下ろす方法もわからなかったから」
そんな会話も半分くらいしか耳に入らない。
いや、でも、始めて同じテントで一緒に寝た時も、こんな感じで緊張したな。
だから、きっと少しすれば慣れるし静まる。
そう、大丈夫。
そう自分に信じ込ませている時に。
「悠君、静かだけれど、調子悪いの?」
彩香さんに、そう言われてしまった。
「いいや、大丈夫」
無口だったり調子が悪かったりする理由を、ここで言う訳にはいかない。
亜里砂さんには全部聞こえているだろうけれど、それでも彩香さんには言えない。
「何なら、手を繋いでみようか。こういう時で無いと出来ないし」
彩香さんの手が、僕の手に触れる。
一瞬ビクッとして、そして、何気ない感じで手を握り返す。
あくまで何気ない感じで、軽く。
「ワフフフフフ」
「亜里砂、どうしたの?」
亜里砂さんが、笑いを堪えきれなかったようだ。
身をよじって笑っているのが、ベッドの動きでわかる。
さては、ベジョータ、僕のこの葛藤を全部読んで楽しんでいるな。
全く!
そしてベジョータが体をよじった関係で、彩香さんがちょっと僕の方に移動。
固まっている僕と、思い切りくっつく訳で。
「いや、何でもないのだ。はははははははは……」
ベジョータ、完全に笑いが止まらない様子だ。
勘弁してくれ、色々と。
今、僕がかいている汗は、冷や汗か脂汗か。
匂わないよな、大丈夫だよな。
彩香さんには、色々気づかれていないよな。
ベジョータは、まあ、しょうがないけれど。
そんな色々含めて。
僕の、長い長い夜が始まった。