テラーノベル
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莉犬「るぅとくん、入るね」
るぅと「莉犬だ〜」
るぅと「ふふ、あっかいなぁ莉犬」
ななもり「るぅと君失礼するね」
ななもり「ちょっと体温測ろっか」
るぅと「なーくん、ありがとぉごばいます」
え?今、なんて言ったの。
「なーくん」俺にはそう聞こえた。
聞き間違いだろうか。
この高校に来てまだ一ヶ月も経っていないのに、急にそんな呼び方出来るだろうか…。
いや、できない。
できない…はずだ。
聞き間違い、聞き間違いだこんなの…。
そう、心に何度も唱える。
ななもり「るぅちゃん、熱あるね」
莉犬「るぅ、ちゃ、?」
ななもり「あれ、莉犬くんそう呼んでたよね」
莉犬「いや、俺はるぅと君ですけどて…」
るぅと「莉犬が寝ぼけてる時ですよぉ」
熱だからなのか言葉がなんだがぽやぽやしている。
莉犬「は?俺そんなこと言ってない!!」
ななもり「まぁまぁ怒らないでよ」
ななもり「なんだって良いでしょ?」
莉犬「…」
ななもり「薬飲んでね〜」
いや、俺が悪いのはわかってる。
わかってるつもりなんだよ。
ちゃんと先輩とコミュニケーション出来ない俺が悪いのは確実なんだけど。
でも、なんとなく寂しくて、嫌だった。
それだけだった。
るぅと「莉犬…嫉妬してるの?」
莉犬「は、してないし!?」
“嫉妬“
きっと君の言葉に間違いはない。
俺は今、嫉妬している。
生まれて初めての嫉妬だった。
いや、もっと前にも感じていたのかも知れない。
そう…ずっと前に。
ななもり「仲良しなんだね2人は」
ななもり「そういうの俺好きだよ」
るぅと「へへへ!」
ななもり「そんなに熱高くないからさ」
ななもり「いっぱい寝れば治るよ!」
るぅと「よかったです!!」
薬を飲んで過ごしただからだろうか、
少し元気になっているような気がする。
ななもり「2人で寝てなよ」
ななもり「莉犬くんも食欲ないからさ」
ななもり「俺心配」
るぅと「莉犬…大丈夫なの?」
莉犬「大丈夫だから、俺起きてる」
るぅと「僕と寝ようよ」
ななもり「じゃあ、おやすみ2人とも!」
逃げるように出ていく先輩は、きっと俺を心配しているのだろう。
るぅと「ほら、おいで?」
布団をめくって、手をひらひらとして誘う君。
昨日一緒に寝ていたらこんなことは起きなかったのだろうか。
莉犬「うわっ、」
るぅと「へへ、あっかいなぁ莉犬」
るぅと「可愛いなぁあ莉犬」
るぅと「体調悪かったんでしょ莉犬」
莉犬「違う!!」
るぅと「隠さなくて良いよ」
そう言って長い腕を俺の体にからみつける。
久しぶり感じる温かみだ。
莉犬「ごめん…ちょっとだけ…ぅん、」
るぅと「そっか…」
るぅと「じゃあ、寝たら治るかな」
莉犬「治る、絶対治る」
るぅと「うん、じゃあねよ」
1人部屋にしては少し大きなベッドでもう成長が止まり始めた高校生2人で寝ている。
もし、先輩とるぅと君であったらこのベッドでは少し物足りないが俺だから…というのはいちりあるのだろう。
るぅと「莉犬、おやすみ…」
暖かて、優しくて、…。
太陽みたいなお母さんの声
月みたいなお父さんの声。
そんな普通が欲しかった。
布団に顔を埋めて涙を流す、るぅと君にバレないようにそっと。
本当は事実を言わなくちゃいけないのは分かってるけれど、行ってしまったらその優しさに溺れてしまうような気がするから。
言えずにいる。
ジェル「莉犬、おはようさん」
莉犬「おはよぉ…ござぃます、」
ジェル「やく寝たんやね」
莉犬「ぁれ、るぅちゃ…」
ジェル「ちょっと前にリビング行ったで」
莉犬「そぅ…」
莉犬「ひっぐ…うぅ…」
ジェル「おぉ、莉犬どしたんや?」
ジェル「寂しくなっちゃったん?」
焦った顔をして、俺を抱きしめるジェル君。
そんな顔見ちゃったら尚更言えないじゃんか。
さとみ「2人遅いぞ…って」
さとみ「何泣いてんの莉犬」
ジェル「わからへんねん」
さとみ「ほぉ、莉犬顔真っ赤だよ笑」
ジェル「ほんまや笑」
ジェル「泣きすぎやね笑」
莉犬「ごめんなさぁいごめんなさ…ポロポロ」
さとみ「謝らなくて良いんだけどな笑」
莉犬「ごめんなさぃ、ポロポロ」
ジェル「ええんよ、莉犬」
ジェル「なんかあるんよな」
ジェル「言えへんよなきっと」
ジェル「何となく分かるで」
さとみ「夕飯後にするか?」
ジェル「そうしてくれると助かるわ」
さとみ「はーい、まぁゆっくりしてろ」
さとみ「莉犬も沢山泣いてろよ」
言葉ズラだけ見れば、凄く不謹慎やような気がする言葉も今ではちゃんと受け止められる。
2人には申し訳ないことをしていると思っている。
というか、俺の室員全員に思っている。
謝っても謝れきれなくて、感謝しても感謝しきれないそんなような感じがした。
莉犬「ありがとぉ、ございます…」
ジェル「ええよええよ」
ジェル「冷やすの持ってくるから」
ジェル「待っといてな」
莉犬「はぃ…」
頭がガンガンする。
音が耳鳴りで聞こえにくい。
寝起きなこともあって、見える世界がぼやけている。
ジェル「莉犬、持ってきたで」
ジェル「動かんといてな」
莉犬「ありがと、ございます」
ジェル「さっき、るぅちゃんから聞いたで」
ジェル「莉犬体調悪いんやってな」
莉犬「もぅ、大丈夫です」
ジェル「それを確かめるための体温計あるで」
ジェル「計らせてもらうな?」
ジェル「信用してないわけじゃないけど、」
ジェル「莉犬の体調が1番なんよ」
莉犬「…」
ジェル「怒らんといてや笑」
ジェル「ほい、挟むで〜」
ジェル「おぉ、熱やないかい笑笑」
ジェル「可愛い泥棒さんやのう笑」
莉犬「むっ、」
ジェル「ほっぺたぷくぷく可愛いな笑」
そう言って俺の頬を掴んで引っ張るジェル先輩。
俺、人形じゃないんだけどな。
なんだか、この先輩といるとペースが飲み込まれてしまう。
他の先輩もおんなじようなものではあるけど。
ジェル「どこか体調悪いとか分かる?」
莉犬「頭…だけです」
ジェル「気持ち悪いとかはないんやな?」
莉犬「ないです、」
ジェル「食べれそうなものある?」
莉犬「わからないです…」
ジェル「そっか」
ジェル「じゃあ、フルーツとかにしような」
ジェル「持ってくるから待っといてな」
ジェル「寝ててもらってかまわへんよ」
莉犬「はぃ…」
部屋を見渡すと自分のものは一つもない。
部屋全体が黄色だ。
そうか、ここはるぅと君の部屋だ。
ここにいてはるぅと君が寝れなくなる。
早く移動しなくちゃいけない。
莉犬「帰んなきゃ…」
布団から降りて、一歩二歩とドアに向かって近づいていく。
床が冷たい。
ひんやりしていて、寒気が止まらない。
ジェル「おぉ、莉犬お手洗いいくんか?」
莉犬「ふるふる」
莉犬「ここ、るぅと君の部屋…だから」
莉犬「帰んなきゃ…ダメなんだす…」
ジェル「莉犬の部屋寒いできっと」
ジェル「ずっとドアしまってんねん」
ジェル「…はぁ」
ジェル「じゃあ、抱っこするから行くよ」
莉犬「はい…」
ジェル先輩の背中は大きい。
体全体から頼もしさを感じられる。
ジェル「あれ、、ドア開いてる…」
ころん「やっほー!!」
俺の部屋には布団に寝っ転がるころん先輩がいた。
ころん「いやぁ、莉犬君の部屋気になって」
ころん「どんなのあるかなぁって」
ころん「荷物あんまりないんだね」
ころん「可愛いお人形さんがあったけど笑」
莉犬「やめて!!!!!」
ジェル先輩の背中から飛び降りでころん先輩が持つ人形を手に取った。
莉犬「やめて…ください」
人形を持って抱きしめる。
これは、家族との最後の思い出だったから。
ジェル「莉犬、布団入ろうな」
ジェル「あっかいで」
ころん「…莉犬くんそのお人形どうしたの」
莉犬「なんでもないです、」
ころん「ふぅーん」
ジェル「ころちゃん、あんま刺激すんな」
ころん「はいはーい」
ジェル「よいっしょっと」
うずくまる俺を抱き抱えてベッドまで移動させてくれる。
体の暖かさがちょうどいい。
ジェル「莉犬、離れてくれへん?」
ジェル「食べ物持ってきたいんよ」
ハッと気付いて、体を離す。
暖かさが心地よくて、抱きついていたらしい。
ジェル「また後でしよな」
そう言って頭をくしゃくしゃ撫でてから、
部屋を出る。
お兄ちゃんみたいだな。
そう感じた。
ジェル「ほい、ご飯食べよか」
ジェル「あーん」
スプーンの上にご飯を乗っけて食べさせてくれる。
味覚に異常があるわけではないけれど、
胃が食べ物を受け付けない。
莉犬「うッ…」
さっきまで何も食べていなかった胃が、
急に何かを食べることによって逆流させる。
ジェル「袋あるからここにしよな」
そんな姿見せたくないし、見られたくない。
先輩お願いだから、どこかを見ていて。
ジェル「大丈夫だから」
莉犬「うぇッ…げほっ、」
見せたくなくて、飲み込んでしまう。
でも、飲み込めば飲み込むほど気持ち悪さは増してくる。
ジェル「莉犬、飲みこむな」
さとみ「吐いてるの?」
さとみ「あぁ、ジェルなー君よんでた」
ジェル「あぁマジ?」
さとみ「俺変わるよ」
ジェル「ありがとさん」
さとみ「莉犬見てないから早く吐きな」
そう言ってドアを閉じて、部屋のそっぽを向いてくれた。
莉犬「おぇッ…ぅぐッ…げほっげほ」
さとみ「終わった?」
莉犬「はぃ、」
さとみ「ん、口ゆすごうか」
さとみ「はい、水あるからそこ吐いて」
気持ち悪い口に水をふくんで、遺留物を吐き出していく。
さとみ「よくできました」
さとみ「捨ててくるから寝てろ」
さとみ「本当は食べさせたいけどね」
さとみ「食べれそうだったらフルーツ食べて」
目の前には、メロンだとかりんごだとかの
フルーツが沢山載っていた。
莉犬「美味し…ポロポロ」
1人で食べたご飯はここにきて初めてだ。
寂しくて、、何だか涙が溢れる。
さとみ「莉犬、疲れたな」
さとみ「頑張ったよ莉犬は。」
さとみ「フルーツ美味しい?」
莉犬「はい…ポロポロ」
さとみ「そっか、良かった」
さとみ「そろそろ、寝ても良いよ」
さとみ「目がとろんってなってる」
莉犬「あはは、…」
莉犬「さとみ先輩はいなくならないですか?」
さとみ「あぁ、俺はいつでもここにいる」
もう一度布団に潜って、夢をみる。
「いつでもいる」
その言葉が欲しかった。
ずっと。
ずっと。
コメント
4件
連鎖ブクマ失礼しますm(_ _)m

最高です! いつもありがとうございます 続き楽しみにしてます♡