テラーノベル
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ここに来て初めて、悪夢を見た。
いつもだったら、あぁまたかで終わるものが
久しぶりだったのと体調が悪いのとで頭がぐるぐるして、ネガティブな気持ちになっていく。
莉犬「お母さん」
莉犬「お父さん」
両親「なーに?莉犬」
優しくて、全てを包み込むような声だった。
その声は何歳になっても忘れられない。
莉犬「俺、学年一位になったの!」
莉犬「凄いでしょ〜?」
母「凄いね莉犬」
父「今日はケーキかなぁ?笑」
母「パーティーしちゃおう!笑」
莉犬「えぇ、いいよ笑」
母「こういうのはやんなきゃ!笑」
莉犬「あはは、楽しみ!」
これは俺が中学一年生の時の俺。
学校の中では頭がいい方で、 先生からのイメージも良く、 友達だって山のようにいた。
それなりに幸せな時間だったのだと思う。
パーティーは、
大きくてあったかいオムライス。
そして、3人で食べるには少し多いケーキを食べた。
3人で笑い合って。
その日は、3人で一緒にベッドで寝た。
大好きな時間だった。
でも、そんな日々はすぐに終わる。
その年の冬、両親が仕事で忙しく、家に帰れない日が増えてきた。
父は腕のいい医者で、母は目利きの看護師だった。
あの日の夕方、道路が凍って大きな事故があったらしい。
死者数人で、大きな怪我をした人が何十人もいた大きな事故だった。
そして、2人はその派遣員としてそこに向かっていったらしい。
今になれば、馬鹿だななんて思ってしまう。
道路がこおるということは、それだけ危険性が高いということだ。
どうして、それなのに行ってしまったのか。
まぁ、仕事上仕方ないものなのだろう。
事故現場につくと、血のつんたした香りが当たりを充満していたという。
親を呼ぶ子供の泣き声、辛そうに聞こえる呻き声、パニックになった浅い息。
まるで世界の終わりのような地獄絵図だ。
お母さんとお父さん、そして応援で呼ばれた医療従事者や隊員の手を借りつつ少しずつ被害にあった人々を救急車で送り出していた頃だった。
吹雪が少しずつ強くなってきて、視界が悪くなってきてそろそろ帰ろうと準備をしていた頃少し遠くから子供の声が聞こえたらしい。
父と母はそれに気づいて、他の人が帰った中で帰らずにその声の主を探していた。
すると、子供が横たわった母親を見て泣いているところを見つけた。
母「大丈夫だよ、すぐ助かるからね」
父「向こうに移動させよう」
父「ここじゃ危ない」
母「えぇそうね」
母「坊や、私の背中に乗ってね」
子「怖いよ、お母さんお母さん!!」
父「大丈夫だ、絶対」
子供っていうのは親が少し離れただけで、
泣いて困らすような。
そんな動物だから。
抱き抱えるのに少し時間がかかったらしい。
急いで救急車に乗り込ませて、車を発進させると目の前から車が走ってきていた。
そして、ぶつかった。
不慮の事故だった。
車道の境界線が見えず、真正面からだった。
子供とその親はくくりつけてあったために、
大きな怪我はなかったらしい。
しかし、運転をしていた人と両親は反動に
負けて◯くなった。
突然のことだった。
部活で忙しかった俺は電話に出られず、
学校からの連絡によってそれを知った。
急いで病院に向かっても、両親はもうこの世にはいなかった。
莉犬「お母さん!!お母さん!!!」
莉犬「お父さん!!お父さん!!」
近くからは、一緒にこの病院に運ばれた親子がいる集中治療室がある。
子供の泣き声と、家族の歓喜の声が聞こえる。
きっと、目覚めたのだろう。
俺には、両親を見る家族はいない。
兄弟もいない、従兄弟も…誰もいない。
「ずっと一緒だ。」
そんな言葉を裏切って2人は◯んだ。
俺を裏切ったんだ。
莉犬「どうしてッ、どうしてッ…!!」
莉犬「俺の両親は◯んだのに…」
莉犬「どうしてあの人たちはッ…!!!」
医者「莉犬くん…」
莉犬「あ゛あぁあぁぁぁぁあぁあああ」
膝から泣き崩れた。
その日は疲れただろうと、病院のベッドを貸してもらうことになった。
家のベッドよりも硬くて、冷たかった。
病室には誰もいない。
寂しかったら呼んでくれていいという、小児科の先生が居たが申し訳なくて呼ぶことを拒んでしまう。
莉犬「あぁッ…ポロポロ」
どうせなら俺も◯なればよかったのに。
そうすれば、みんなで同じところに行けたんだ。
その日の夜は寝れなかった。
医者「おはよう、莉犬くん」
医者「よく寝れたかな」
莉犬「…」
医者「…そうだよね」
医者「いつも彼らには良くしてもらっていた」
医者「残念だよ、」
医者「朝ごはん食べるかい?」
莉犬「…」
医者「辛いな、」
看護師「先生、急患が…」
医者「わかった」
医者「莉犬くん、君は1人じゃない」
医者「行くよ」
看護師「はい!」
朝ごはんは食べれなかった。
そもそも、食べる気になれなかった。
布団に潜っても寝られない。
部屋の外からは子供達の楽しそうな声が聞こえる。
いつもだったら俺だって…。
莉犬「はぁッ…はぁッ…ひゅーッ」
莉犬「げほッ、げほげほッ、ぴゅーッ」
胸が苦しくなる。
息を吸えば吸うほど、胸が詰まる。
あぁ、楽になれる。
そう思った。
医者「莉犬くん、調子はどうかな?」
俺はあの後倒れて、様子を見に来たお医者さんにすぐ対応されたらしい。
放置してくれればよかったのに。
医者「ご飯…食べなか…」
莉犬「先生」
莉犬「どうして、どうして俺を助けたの」
医者「ッ…」
莉犬「俺、2人がいない世界なんていいッ」
医者「君には幸せになる義務がある」
医者「そして、俺は君を助けたい」
医者「それは君が望まなくても。」
医者「君は何を望む?」
医者「里親を探したい?」
医者「それとも、君の従兄弟の子にでも?」
莉犬「従兄弟はいません」
莉犬「皆んな◯にました」
莉犬「もう、俺しかいない」
医者「じゃあ、里親かな」
莉犬「嫌だッ…嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だッ」
医者「今の髪を1人にはできない」
医者「君は今怖がっている」
医者「食べ物も水分も取らない。」
医者「そして、催眠さえも拒む。」
医者「本来君の年齢であれば、」
医者「疲れて寝てしまうんだよ」
莉犬「◯にたい…、◯してよ…」
莉犬「俺をッ◯してよッ!!!!」
医者「それはできない」
医者「一度飲み物を飲もう?」
医者「水分をとってほしいんだ」
机の上に飲み物が置かれる。
俺はその飲み物を手に取って、医者に向かって水をぶちまけた。
医者「君ッ…!!」
莉犬「こんな場所大っ嫌いだッ…!!」
そう言って俺は病院を抜け出して家に帰った。
家にはたくさんの郵便物があって、
もう少しで俺の誕生日だったことを思いだす。
その年、俺の誕生日は誰にも祝われずに終わったんだ。
近所の人には、親のお金で生きるから大丈夫だと説得して1人で生きる決心をした。
中には、親のいない俺を軽蔑して差別する人だっていたけれど、街の人は俺を助けてくれた。
でも、一ヶ月をたってもまともにご飯は食べられなかった。
家事をすることで疲れ果てて、寝ることはあっても食事は思うよには取れなかった。
それを見かねた、近所の人がお裾分けをしてくれていたのもわかっていたけれどゴミ箱に捨てて口にはしない。
そして、俺は家で倒れた。
嫌いだった病院に逆戻りだ。
医者「おはよう、莉犬くん」
医者「倒れたんだ、近所の方から連絡が来た」
医者「気分はどうだい?」
医者「栄養剤を打たせてもらっているよ」
医者「君は発見されなければ◯んでいた」
医者「よかったな」
よくなんかない。
俺が◯にたいという願望は変わらないから。
医者「これ、睡眠薬だよ」
医者「不安を和らげる薬もある」
医者「君なら間違った使い方をしないよね」
医者「俺は信じているよ」
医者「1人で暮らしているんだってね」
医者「大変だろう」
莉犬「…」
医者「変わっていないね」
医者「その目つきも、態度も」
医者「そんなにここが嫌いかい」
莉犬「…」
医者「はぁ、そうかい」
医者「明日にはここを出てもいい」
医者「でも薬は飲むこと。」
医者「無理をしないこと。」
医者「ここに顔を出しに来ること。」
医者「わかったね。」
莉犬「…」
医者「待っているよ」
そう微笑むお医者さんは、ずっと俺のことを忘れないでいてくれた。
手紙も葉書もメールも来た。
もしかしたら、俺を引き取りたかったのかもしれない。
今になったらそう思う。
さとみ「莉犬?大丈夫か」
さとみ「うなされてたけど」
莉犬「…ポロポロ」
さとみ「悪夢でも見たか」
莉犬「こくっ…ポロポロ」
さとみ「そう、か」
さとみ「お前のこと俺何も知らないや」
さとみ「いつか聞けたらいいな」
さとみ「るぅとはめっちゃ聴いたけど笑」
莉犬「俺からッ離れないですか…?」
さとみ「離れない」
莉犬「ずっと一緒ッ…?」
さとみ「そう、ずっと一緒」
さとみ「大丈夫だよ莉犬」
さとみ「不安になることなんて何もない」
さとみ「困った時はいつでも助ける」
さとみ「君なら大丈夫だから。」
ななもり「あれぇ、莉犬くん」
ななもり「さとちゃんに泣かされた?笑」
さとみ「はぁ?違うわ笑笑」
ななもり「はいはい笑笑」
ななもり「莉犬くん泣かないでぇ」
ななもり「大好きだよぉ」
あぁ、両親に言われたかったな。
「大好きだよ」
そう言って欲しかったなぁ…。
コメント
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待ってましたもうやっぱ最高すぎるほんとありがとうございます🥹 続きも楽しみにしてます♡