侑君と2人にされてしまった
〇〇)…転ばないように気を付けてね
侑)帰るん?
〇〇)うん
侑)一緒に帰らないん?
「…」
いつもなら「気ぃ付けてな」って言われるだけなのに
侑の言葉にきょとんとしていると
侑)たまにはええやろ?
にっこりと微笑んできて
侑)用事あるんやったらええけど
そう言われると断りにくくて
〇〇)うん、いいよ
侑君の部活が終わるまで図書室で勉強して待つことに
練習が終わるころ体育館に行ってみる
まだ沢山人がいて
その中には侑君にプレゼントを渡している子もいて
さらに荷物が増えている
一旦離れて校門あたりで待つ
「……」
さっきの光景を思い出す 可愛い子いっぱいいたな
ラッピングも可愛かった
侑君も喜んでたな
「……」
私があげても喜んでくれたのかな
思わずため息が出た
侑)あー!こんなとこおった!
侑君が走りながら来た
侑)帰ってしもたかと思ったわ!遅うなってすまん!
〇〇)大丈夫だよ
侑君が今日起こったこととか、試合のこと、治君のこと、北さんのこととか楽しそうに話す
私はそれを黙って聞く
ふと、侑君が
侑)正直言うと、今日先輩にも祝って欲しかったわ
〇〇)え…
侑)記念日なんもせんって先輩がそれでええならって思っとったけど、やっぱ実際誕生日迎えて先輩から「おめでとう」も貰えへんの、寂しいし嫌や思ってん
侑君はまっすぐ前を向いていた顔を私の方に向けてきて
侑)なんで記念日嫌なん?
「……」
侑)俺、先輩の誕生日も俺らの記念日も全部全部ちゃんと祝いたいねん、一緒に過ごしたいねん、せやからなんで嫌なんか教えてや
「……」
脳裏によぎる記憶
あの時の景色も声も未だに鮮明に思い出す
ぐっ、と唇をかみしめていると
ガサガサッ、て音がして
音の正体を確かめる前に、侑君の香りに包まれた
どうやらさっきの音は、侑君が荷物をすべて下ろした音だ
辛い思いさせたいわけやないねん、先輩のこと思いっきり祝いたいだけやね
侑君の気持ちが嬉しくて、思わず侑君の背中に手を回す
〇〇)…話す
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!