度重なる対応に疲労困憊、ぐったりしている俺をちらっと見てもふくんはスマホを操作しだした。うーん、と唸りながら画面を真剣に見ている。手持ち無沙汰になった俺はこれ幸いと想い人の顔を観察することにした。
『睫毛なが…鼻の形綺麗なんだよね。ちょっとゴツゴツしてる手も最高、紫がかった瞳も最高最高最』
「どぬくさん?」
「こぅ⁉︎」
「こぅ…?ずっと意識飛んでたけど大丈夫?」
「え⁉︎えへへ…」
「えへへじゃねぇよ、俺の呼びかけ聞こえてました?」
「………すみません聞こえてませんでした」
疲れてるねー、まぁどぬくさん盛大にモテてたもんなーと言いながらもふくんがスマホをこちらに向けてきた。そこには美味しそうな抹茶のスイーツの写真がたくさん載っていて、どうやらそれは飲食店の口コミサイトらしかった。
「わぁ、美味しそう!」
「でしょー、個室予約できたから休憩がてら行きましょー。しょうがないから頑張ってるどぬくさんに抹茶スイーツご馳走しますよ」
「マジ?もふくん大好き!!」
「現金だなー。時間もうちょいだから行こう、ここから近いよ」
先頭を歩くもふくんに聞こえない声で俺は囁く。
「…本当だよ」
本当に本当に大好きだよ。
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