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第五話
化物の証明
「神剣! 神剣を呼べ!」
私たちが遭遇した化物……と呼んでいいかわかりませんが、そう呼ばせてもらいます。
化物出現の連絡が学校に入り、出現場所と私たちが出かけている場所が近いこともあり、討伐可能と先生方は判断していたようです。
ですが、外出目的が休暇となっているため、一人、寮に残っている神剣くんにも招集がかかったようでした。
「……近くでパトロールしてる奴らが行ったなら、俺は行く必要ないでしょ?」
「だがな、神剣。おまえ、班員を見殺しにするつもりか? そうじゃないだろ?」
「昼寝の邪魔するなら、見殺しにしますよ」
「おまえなぁ……。とにかく準備して行け!!」
アクビをしながら職員室を出ていった神剣くんを、先生は不安な顔で見送りました。
その頃、私たちのところに応援部隊が到着しましたが、元人間と知ると誰も手出しできずにいました。
そして――
恐れていたことが起こりました。
喰ったのです……人間を。
「いやぁぁー! あなた! だめ! あなたと同じ人間なのよ!! 止めてー!」
悲痛な叫びを上げる奥さまに、元店主は視線を向けます。
その瞳は――
黄色……でした。
「奥さま……残念ですが、目の前にいるのは店主ではありません……店主の姿をした、化物です……」
奥さまに冷静に伝えます。
それは、私が自分自身に再確認するためでもありました。
黄色い瞳は、化物である証。
でも……っ。
「なぁ、綺……どないする? アレが化物なのはわかるけど」
「倒す=殺す……の認識じゃないでしょ? 奥さんは」
二人が私に声をかけてきます。
確かに、私たちは化物は殺すものだと認識しています。
でも……奥さまは、御厨くんの言う通りだとしたら……。
私たちは、どうすればいいのでしょうか……。
応援部隊も、それがわかっているからか攻撃できずにいます。
『ワ、ワカリマ……シタ……オ、オマチクダ、サイ』
!!
喋った……。
知能がある……。
その声を聞いて、みんなの動きが止まります。
「なぁ……これ、化物認定して……ええの?」
椥辻さんが苦笑いして、私に視線を向けます。
その声は、さきほど聞いた優しい店主さん、そのものでした。
どうしたらいいかわかりません……。
私たちは呆然と、元店主だったモノが不快な音を響かせ、人間を食べている姿を眺めていました。
コメント
1件
うわっ…第5話、すごかったです……。 黄色い瞳、あれが“化物の証明”って確定するシーン、ゾッとしました。それなのに、店主さんの声そのままの「オマチクダサイ」が聞こえてきて、頭では化物ってわかってるのに感情が追いつかない感じ、すごく伝わってきました。奥さまの悲痛な叫びも胸に刺さる。美味しいとか正義とかじゃなくて、ただ目の前の現実に立ちすくむしかない主人公たちの姿が……重くて、でもちゃんと見届けたいと思える話でした。更新ありがとうございます、次も静かに読みにきますね🥀