テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
放課後。校舎裏。
人気のない場所。
「ここなら問題ないわね」
柚季が周囲を見渡す。
「で、やるんだろ」
ソウヤが言う。
少しだけ覚悟の入った声。
「え、マジでやんの?」
タジが引き気味に笑う。
「チュートリアルって感じ?」
「黙って見てなさい」
柚季は一切ブレない。
「こいつの能力、確認しないと危険すぎる」
結衣が少しだけ不安そうにソウヤを見る。
「無理しないでね」
「……分かってる」
そのとき。
ガサッ——
全員の視線が動く。
「誰かいる」
影の中から、男が出てくる。
「へぇ」
ニヤついた顔。
「能力者が集まって練習?」
空気が変わる。
「関係ないなら帰りなさい」
柚季が冷たく言う。
「いや無理だろ」
男は笑う。
「こんな面白そうなの見逃すわけねえじゃん」
次の瞬間。
ドゴォ!!
地面が盛り上がる。
「っ——!」
「能力者……!」
岩の塊が一気に押し出される。
「下がって!」
柚季が叫ぶ。
「ソウヤ!」
「……分かってる」
心臓が鳴る。
ドクン。
(また来る)
あの感覚。
「逃げるなよ」
男が笑う。
「潰してやる」
地面が裂ける。
岩の槍が突き出す。
「飛ぶわよ!」
柚季がソウヤを引く。
体が浮く。
「え、また浮いた!?」
タジが叫ぶ。
「後で説明!」
空中回避。
だが——
「甘いんだよ!」
岩が空中まで追ってくる。
「チッ……!」
柚季の表情が変わる。
(防ぎきれない)
「ソウヤ!」
叫び。
その瞬間。
時間が“遅くなる”。
音が消える。
世界が、遠くなる。
(……やれ)
また、あの声。
「……っ」
拒否する。
でも。
体が動く。
ソウヤの手が前に出る。
瞬間。
空間が、歪む。
バキィッ
岩が——
消えた。
「……は?」
男が止まる。
「なんだよそれ……」
ソウヤも分かっていない。
ただ。
消えた。
「……いいなそれ」
男の笑みが歪む。
「もっと見せろよ!!」
地面全体が動く。
#ファンタジー
316
28
規模が違う。
「ソウヤ、来る!」
結衣の声。
「やめて——!」
でも。
止まらない。
(全部)
(消せ)
視界が歪む。
赤と青。
「……っ」
柚季が気づく。
「まずい——」
間に合わない。
ドンッ
音が消える。
一瞬。
世界が“削れる”。
男がいた場所。
地面。
空気。
全部。
“なくなった”。
静寂。
「……」
誰も動かない。
ただの空白。
「……今の」
タジが震える。
「消した……?」
ソウヤの呼吸が荒い。
「……俺が」
理解できない。
結衣が駆け寄る。
「ソウヤ!」
「大丈夫……?」
「……分かんねえ」
空白を見つめる。
柚季が言う。
「……これはもう」
一拍。
「能力じゃない」
ソウヤを見る。
「災害よ」
夕焼けが沈む。
ソウヤの影が、わずかに揺れる。