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#ファンタジー
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翌朝。教室。
「……」
ソウヤは席に座っていた。
でも。
どこか、落ち着かない。
(……見える)
空気の中に。
“歪み”がある。
微かに。
揺れている。
(昨日から……ずっとだ)
「ソウヤ?」
結衣が覗き込む。
「大丈夫?」
「……ああ」
嘘。
その瞬間。
教室の窓が。
ミシッ
「……っ」
一瞬だけ。
“ひび”が見えた。
でも次の瞬間には消える。
「……今の」
周りは誰も気づいていない。
(俺だけかよ……)
昼休み。
「で、昨日のやつ」
タジがパンをかじりながら言う。
「マジでやばくね?」
「軽く言うな」
柚季がため息。
「一歩間違えれば死人出てたわよ」
「いやもう出てる可能性あるって」
タジが小声で言う。
沈黙。
ソウヤの手が止まる。
「……やめろ」
「……悪い」
結衣が空気を変えるように言う。
「とにかく!」
「ソウヤの能力、ちゃんと理解しないと」
「……理解できるのかよ、あれ」
誰も答えない。
放課後。
帰り道。
ソウヤは一人で歩いていた。
(……落ち着かねえ)
周囲の景色。
ビル。
電柱。
道路。
全部が、どこか“脆く”見える。
(壊せる)
そんな感覚。
「……やめろ」
自分に言う。
そのとき。
ドンッ
肩がぶつかる。
「いてぇな」
男。
ガラの悪い高校生。
「どこ見て歩いてんだよ」
「……悪い」
通り過ぎようとする。
でも。
「待てよ」
腕を掴まれる。
その瞬間。
“見えた”。
腕が。
“壊れる未来”。
「……っ」
反射的に手を引く。
「は?」
男がイラつく。
「ビビってんのか?」
「……違う」
違う。
触れたら——
(壊れる)
確信。
そのとき。
「やめなさい」
声がする。
彼女は北条 燕(ほうじょうつばめ)。
本校の生徒会長だ。
真っ直ぐな視線。
「トラブルは校則違反よ」
「うるせぇな」
男が舌打ち。
「関係ねぇだろ」
「関係あるわ」
一歩前に出る。
「その手、離しなさい」
空気が変わる。
男が一瞬だけ怯む。
「……チッ」
手を離す。
「覚えとけよ」
去っていく。
沈黙。
「……助かった」
ソウヤが言う。
「別に」
燕は淡々と返す。
でも。
じっとソウヤを見る。
「あなた」
一拍。
「危ない状態ね」
「……は?」
「分かるのよ」
近づく。
「能力、暴れてる」
ソウヤの心臓が跳ねる。
「……なんで分かる」
「同じだから」
短く。
「能力者よ、私も」
その瞬間。
空気が“整う”。
ソウヤの周囲。
微かに安定する。
「……っ」
「少しだけ抑えた」
燕が言う。
「これ以上は無理」
ソウヤは息を吐く。
(……落ち着く)
初めて。
まともに立てる。
「……あんた」
ソウヤが見る。
「何者だよ」
燕は少しだけ考えてから言う。
「ただの能力者」
そして。
「でも」
一拍。
「あなたみたいなのは、初めて見る」
風が吹く。
遠くで。
ビルのガラスが。
“ピシッ”と音を立てた。