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「……ありえない」
机に突っ伏しながら、イギリスは低く呟いた。
ここは生徒会室。だが今は仕事の空気ではない。
「だから言っただろう?お前は遠回りすぎるって」
向かいに座る
フランスが、呆れたように肩をすくめる。
その隣では、静かに茶をすする
日本が、穏やかな表情で口を開いた。
「“また来てもいい”は、かなり控えめな表現かと」
「うるさい!!」
イギリスは顔を赤くして叫ぶ。
「十分だろうが!あれ以上どう言えというんだ!」
「“来てほしい”って言えばいいじゃん」
フランスの即答。
「言えるわけあるか!!」
机を叩くイギリスに、日本は少しだけ首を傾げた。
「では確認しますが」
「なんだ」
「あなたはアメリカさんに、好意を伝えたいのでしょうか」
「……っ」
言葉に詰まる。
フランスがにやりと笑う。
「ほら見ろ、図星だろ?」
「ち、違う!別にそういうわけでは……!」
「はいはい、分かってる分かってる」
完全に信じていない顔で流される。
(なぜこうも見透かされるんだ……!)
「で?そのアメリカはどうなのよ」
「どうもこうもない!あいつは何も気づいていない!」
「でしょうね」
フランスは即答した。
「断言するな!!」
「だってあいつだぜ?」
ぐうの音も出ない。
日本も静かに頷く。
「大変失礼ながら、非常に鈍感な方かと」
「……否定できん」
イギリスは頭を抱えた。
「じゃあ作戦だな」
フランスが身を乗り出す。
「さ、言ってみ?どこまで進んでんの」
「進んでない!!」
「デートは?」
「……行った」
「おっ」
「だがあれは向こうが誘っただけで……!」
「手は?」
「触れてない!」
「触れただろ昨日」
「なっ!?」
イギリスが固まる。
フランスはにやにやしている。
「顔に書いてあんのよ、お前」
「クソ髭……!!」
日本が静かに咳払いをした。
「恐れながら」
「なんだ」
「現状ですと、“仲の良い友人”という認識のままかと」
「……っ」
分かっている。
分かっているが、言われるときつい。
「では、少しだけ距離を縮める工夫が必要だと思います」
「工夫?」
フランスが指を立てる。
「ずばり、“わざと隙を見せる”だな」
「は?」
「弱ってるところ見せれば、あいつ絶対助けに来るタイプだろ」
「……それは、そうだが」
日本も頷く。
「加えて、相手に頼ることも大切かと」
「頼る……?」
イギリスは眉をひそめる。
「俺が、あいつに?」
「そうです」
静かだが、はっきりとした声。
「頼られることで、相手も意識するでしょう。ましてや、アメリカさんなんて…」
「へえ、日本いいこと言うじゃん」
フランスが感心したように笑う。
「つまりこうだ」
「なんだ」
「“ちょっと困ってるから来てほしい”って言え」
「無理だ!!」
即答だった。
「なんでだよ!」
「言えるわけがないだろうがそんなこと!!」
フランスは大きくため息をついた。
「ほんっと不器用だなお前……」
「うるさい!」
しばらく沈黙。
やがて日本が静かに口を開く。
「では、少し形を変えてみるのはどうでしょう?」
「形?」
「“手伝え”ではなく、“手伝ってほしい”と」
「……それの何が違う」
フランスがにやっと笑う。
「大違いだっての」
イギリスはしばらく黙り込んだ。
(……手伝って、ほしい)
口に出してみると、妙にくすぐったい。
「……一度だけだ」
「お?」
「一度だけ、試してやる」
フランスが楽しそうに笑う。
「素直じゃねえなあ」
「黙れ!!」
だが——
(これで、少しでも)
あいつが、こっちを見るなら。
「……やってやる」
小さく、決意するように呟いた。
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