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「今日はわざわざありがとうございます!」
「いやいやこちらこそ、仁人くんと飲めて嬉しいよ」
仁人は今大手テレビ番組のディレクター、いわゆる御偉いさんと居酒屋に飲みに来ていた
2人で個室で飲むという機会はあまりないので、少し緊張しつつも聞きたいことをたくさん聞こうと思っていた
「仁人くんはかわいいからね、こんどうちの番組にも出させてあげるよ」
「本当ですか!、嬉しいです!」
純粋に嬉しくて、テンションが上がってしまう
他メンバーのこともアピールしてお仕事を貰えるようにしようと思った
そこからしばらく飲み進めて、仁人はトイレのために席を立った
「すみません、少しお手洗いに」
そう言って店の奥のトイレに向かう
「明日も仕事だし、今日はこのへんで切り上げたいな」
ことを済ませて、鏡の前でそう思った
まぁ、やんわりと帰らないといけない雰囲気を出してみようと思ってまた席に戻った
「おかえり、仁人くんもそろそろ帰らないといけないだろう?だから、あと1杯だけ飲んでお開きにしようか」
「あぁ、お気遣いありがとうございます!」
タイミングバッチリでびっくりした
もうすでに、新しいグラスが置かれていたのでそれに口をつける
「ん、これ美味しいですね」
「だろう?普通のビールと違うものにしてみたんだ」
なんだか、甘くて口に残る味だ
できるだけ早く帰りたいと思い3口ほどでお酒を飲み干した
「じゃあ、お会計……」
「今日は僕が奢るよ。無理言ってきてもらったしね」
「いやいやこちらこそ、払わないわけにはいきませんよ」
「大丈夫大丈夫、ちょっとそこで待っていて伝票が来てないからもらってくるよ」
そこまで言うなら…とお言葉に甘えさせていただこうと思って席に座り直した
男が店員さんに伝票をもらいに行ってる間に明日の仕事の予定を確認する
「集合は……朝7時か、今日は結構寝れるな」
そう思っていると急に視界がぼんやりとしてきた
「あれ、そんな、飲んだかな」
ちょっと、飲み過ぎたのかも
そう思ってスマホを机に置こうとした
だが、手に力がはいらずにスマホを落としてしまう
おかしい、身体に力が入らない
「なんで、度数……」
度数はそんなに高くないはず、それに度数が高いにしてもこんなことにはならないはず
姿勢を保つのも厳しくなってきて、壁にぐったりともたれかかる
心の中はパニックなのに身体は動かないという矛盾に見舞われていると、男が戻ってきた
「あ、すみませ、ん、動けな、くて」
辛うじて開く目で男の姿をとらえる
「おっと、それは大変だ。飲みすぎたのかな」
そう言って仁人のほうへ近づいてくる
男が差し出した手を握ろうとしたその時、男がその手を掴んで自身の肩に回した
「外まで行こうか、会計は済ましておいたから」
「ありが、とう、ございま、す……すみ、ませ…」
男に支えられながらぐらつく足でなんとか歩く
そしてなんとか入口までこれた
「あの、タクシー、呼んで、くれませんか、自分でそれ、で帰ります、」
仁人そう言うが、男はそれには答えずに歩き続ける
そして、1台の黒い車の前で止まった
「さぁ仁人くん、行こうか」
「ぇ、あの、ど、こに」
どこに行くんですか、そう聞こうとした仁人を車のなかに押し込んだ
そしてうつ伏せに寝かせる
頭を動かして男の方を見ようとするが、少ししか動かなくて男の姿は見えない
でも、背後からビリビリ、と言う音が聞こえてきて少しだけ意識が覚醒する
撮影で何度か聞いたことがある、ガムテープを剥がす音
「なに、して」
男はそう口にした仁人の両腕を掴んでガムテープで後ろ手で縛っていく
まるる
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25
仁人は暴れているが、身体がうまく動かずにろくな抵抗にならない
両足も同じように縛り上げていく
「やめ、っ、離してくださいっ、」
身体を捻るがそれを男が抑えて、先ほどの店から持ってきたであろうおしぼりを仁人に咥えさせた
「んぅ゙っ、んんっ!ん…んっ、」
「静かに、君を痛めつけたいわけじゃないんだよ」
男は呻く仁人のうえに大きな毛布をかぶせて、外から見えないようにして扉をバタンと閉めた
そして運転座席に乗り込むと、仁人のほうを振り向いて、スプレー缶を取り出した
「一応眠っておいてもらうよ」
そう言って仁人の顔にスプレーを振りかけた
みるみるうちに仁人の瞼が落ちてきて、しばらくして目が固く閉ざされた
エンジン音と共に仁人を乗せた黒い車が夜の闇に走り出した