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羊と亀のお遊戯会
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クラリス
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第三十八話 空を越えて届くもの
「距離は離れていても、想いはちゃんと届く。」
八月。
夏休みも半分を過ぎようとしていた。
紬が海外へ戻ってから、一週間。
毎日のように写真は送られてくる。
青い海。
石畳の街並み。
夕焼けに染まる広場。
その一枚一枚を見るたび、
湊は紬が元気に過ごしていることを感じていた。
*
ある日の昼下がり。
インターホンが鳴る。
「神崎くん、郵便よ。」
母に呼ばれ、玄関へ向かう。
差し出されたのは、一通の国際郵便。
差出人には、見慣れた名前。
朝比奈 紬
思わず笑みがこぼれる。
急いで自分の部屋へ戻り、封筒を開いた。
*
中から出てきたのは、一枚の写真。
夕暮れの街角。
噴水の前で遊ぶ小さな兄妹。
楽しそうに笑う二人の姿が写っていた。
写真の裏には、小さな文字。
「この笑顔を見た瞬間、神崎くんならきっとシャッターを切るって思った。」
湊は思わず笑った。
自分のことを、こんなにも分かってくれている。
そのことが嬉しかった。
*
もう一枚、折りたたまれた便箋が入っていた。
紬からの手紙だった。
『神崎くんへ。
帰国してた一週間、本当にありがとう。
短かったけど、
去年よりもっと大切な夏になったよ。
離れていると、
会えない時間ばかり考えちゃうけど、
最近は少し違うの。
“次に会えたら何を撮ろう”って
考える時間が増えたんだ。
神崎くんは、今どんな景色を撮っていますか?
また写真、楽しみにしています。』
最後に、小さく書き添えられていた。
『またアルバムの続きを、一緒に作ろうね。』
湊は自然と最後の白いページを思い出した。
*
その日の夕方。
湊はカメラを持って近所を歩いていた。
夏空の下、
公園では子どもたちが水遊びをしている。
ベンチでは、おばあさんと小さな女の子が
アイスを半分こしていた。
何気ない景色。
でも、その瞬間がとても温かく見えた。
カシャッ。
シャッターを切る。
写真を確認して、小さく笑う。
「これ、朝比奈が好きそうだな。」
*
夜。
湊は今日撮った写真を紬へ送る。
《今日のお気に入り。》
数分後。
返信が届く。
《やっぱり神崎くんの写真、大好き。》
その短い言葉に、胸が少しだけ熱くなる。
でも、その気持ちはまだ心の中にしまっておく。
いつか、ちゃんと伝えられる日まで。
📷 Photo.038『君へ届く一枚』
撮影日:8月8日
写真は、
言葉の代わりにはならない。
でも、
言葉では伝えきれない想いを運んでくれる。
コメント
4件
もう紬のこと考えられずにはいられないんだろうなー! そうそう! 詰まってると思いますよー?🤭 ならよかったですー!
美月ゆめか🌸だよ〜! 第38話、めっちゃ良かった…😭💕 紬ちゃんからの手紙と写真、もうその気持ちが全部伝わってきて胸がぎゅってなったよ…! 「次に会えたら何を撮ろう」って思える距離感、尊すぎる…✨ 湊くんが撮った写真を「これ、朝比奈が好きそうだな」って思うシーン、もう完全に恋してるやつじゃん…! 最後の「写真は言葉の代わりにはならない。でも、言葉では伝えきれない想いを運んでくれる」ってフレーズ、めちゃくちゃ刺さった…📸💌 次も絶対読むね!応援してるよ〜!🙌💖