テラーノベル
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チカチカと光るネオンライト
甘ったるく混ざった香水の匂い
騒がしい声と酒の匂い
あぁ。
青 もう、戻られへんのかな。
そんな事…自分が一番理解しているのに。
少し前までは、違っていた。
青 いらっしゃいませ!
何名様でしょうか?
こちらの席へどうぞ
お先にお冷置きますね。
青 こちらコーヒーとプリンになります。
コーヒーお熱いのでお気をつけください。
ごゆっくりどうぞ。
青 母の日にですか。
素敵ですね!
それではこのお花の花束はいかがでしょうか。
青 今日中にこの資料をまとめておけば良いですか?
青 疲れた…。
何件も掛け持ちしているアルバイト。
学校では生徒会。
目にはクマができ、不注意でできたあざは数え切れなかった。
それでも
やめるわけにはいかなかった。
青 ただいま。
母 おかえり
今日は返事が返ってきた
返事が来ることに安堵を覚えた。
青 今日テスト返ってきてんけど、学年で5位やってん!
褒めてもらえるかもと心は弾んでいた。
でも
そんな期待は一瞬にして裏切られた。
母 あっそ。
1位じゃないなんて努力が足りてないんじゃない。
そんなことより私今日彼氏と遊んでくるから。
給料日でしょ?
金早く出して。
急いでるから。
青 えっと…
鞄をあさりお金を取り出す。
自分の食費や母の生活費を計算していると
母 さっさとよこしなさいよ。
強引にすべてを奪われた。
青 待ってや…
そこには生活費も食費も入ってんねん
母 は?知らないわよ
またあんたが稼げばいいでしょ
青 これ以上バイトは入れんし…
今月の給料それだけで…
母 別に、身体でも売れば?
そう言う残して母は彼氏の元へと向かった。
青 身体を売る…?
俺の思考はもう回らなかった
ただ”身体を売る”その言葉だけが何度も頭に響く
母は仕事をしていないし家事もしない
家に帰って家事をして。
1位になれと言われるから勉強して。
バイトに行って。
生徒会の仕事をこなして。
でも生きるためにはこれ以外になくて。
青 身体を使えば…もっと楽に…
もしかしたら毎日ご飯を食べられるかもしれない
短い時間でもっと稼げるかもしれない
これ以外に方法はないんだから
やるしかない。
俺はもうこの時から
戻れなくなっていたんやろうな。
チカチカと光るネオンライトに目が痛くなる
甘ったるくて混じった香水は頭がクラクラして
でも母から嗅いだことがあるような気がして吐き気がする
身体を売るなんて当然してこなかった俺は
何をどうすればいいかも分からず
人気のない場所をめがけて歩く
青 う”ぇ…気持ち悪い…
とりあえずネオンライトも遮られた人気のない路地裏で体を丸くする
青 来たはええけど…どうすればええねん…
知識も何もなしに家を飛び出した俺は1人弱音を吐くことしかできずにいた。
青 こんなとこで丸まってても意味ないし
帰るか…
そう思っても 体は動かずにいた。
心は拒んでいるが、 頭では分かっている。
帰ったって同じことの繰り返しだ。
でも
いま一歩踏み出せばきっと人生が変わる
青 生きるためなんや…
俺は立ち上がり、帰り道とは逆方向へと歩いた
青 お兄さん…俺とええことせえへん?
お兄さんカッコええし…サービスするで?
赤 誘い上手だね♡
そう言って男は俺の腰をさする
青 実はな…俺初めてで…
何にも分からへんからお兄さんが教えてや
赤 君に初めて俺にくれるの?
青 おん…一目見て初めてはお兄さんがええって思ってんよ
やから…お願い♡
ピンクに光るネオンライトを含んだ俺の瞳は
もう濁ってしまった
青 んぁッあぁ”ッ♡
赤 ほんとに初めてッ?
感じすぎなんだけどッ
青 はじ…めてッ”… あぁ”ッ
赤 君…未成年でしょッ
それで処女奪われてるとかッ…エロすぎ♡
もう頭は回らなくて
ただ快楽しか受けないこの身体は自分ではないみたいだった
青 むりッ…むりだからぁ”ッ♡
赤 まだいけるでしょ♡
若いんだし…まだこれからだよッ
青 あぁっあ、~~~~~ッッッ♡♡♡♡
やだッッ…ダメだか”らッ
イく”ッッ♡♡♡
赤 —ッ、く……ッ♡♡
青 はぁッはッ…???♡♡
赤 んふッ…意味わかんないくらい気持ちいでしょ
頭回んなくてぽやぽやしてるねぇ
可愛い♡
でも関係ないよ
まだ終わらないから…♡
何時間経っただろう。
いつの間にか俺は意識を飛ばしていて
目覚めた時にはお兄さんはいなくなっていた。
残っているのはお金とメモだけ。
ホテル代とお金。
という文字の下には 連絡先も書いてある。
そして
“またよろしくね。”
そう書き残してあった。
置いてあるお金は時間にしては重く身体の割には軽かった。
でも
青 これで今月はご飯を食べれる…
それだけで十分だった
それから俺は毎日夜の街へ足を運んだ
良くないなんて分かってる
でも一度体験してしまえばもう抜け出すことなんてできなかった。
今日もいつも通り人を誘っていた
青 お兄さん…どう?
お兄さんの手を自分の腰のあたりに持ってくる
桃 君…よく見かけるけど…まだ未成年だよね?
こっちおいで。
手を引かれ連れて行かれたのは初めて来た時に体を丸めたあの路地裏だった。
こんなことは初めてで胸がざわざわと騒ぐ
桃 見たところ高校生くらい?
自分の身体は大切にしたほうがいいよ。
こんな時間まで外にいたらきっと君の両親は心配する。
俺は君が心配なんだよ。
優しい声でお兄さんは俺を諭す。
でももう
全部遅かった。
青 俺に父親はおらん。
それに母親はギャンブル、酒、挙句の果てには男作って帰ってこん日やって少なくない。
勝手に心配されたって困るし。
そんなこと言うんやったら俺の変わりに母さんの借金返してくれるんか。
俺のことも母さんのことも養ってくれるんか。
家事やって勉強して
そのうえでバイトも掛け持ちでして。
それでも足りへんからこんなことしてんねん。
好きでこんなことするわけないやろ。
なぁ。
適当な正義感振り被って気持ちよくなりたいんか知らんけど。
お前のそんなちっぽけな正義感に付き合ってる暇ないねん。
口だけでなんにもしねぇ奴が一番腹立つ。
桃 …そっか。
青 俺のこと助けてくれるんなら、俺のこと買ってや。
行為も何もせずに金だけ払ってくれたらええからさ。
それで十分やから。
ごめんね。
心配してくれてありがとう。
でも俺はこれをやめる気はないから。
そんな優しい言葉は出てこなくて。
暴言みたいな理屈でしか自分を守れなくて。
もう自分の身体なんてどうでもよくて。
金に執着する俺が母親と重なって見えた。
桃 母親のこと大切なの?
正直そんな母親を養うためのお金なんて必要ない気がするけど。
その一言に鼓動が速くなるのを感じる。
どうして母に手を貸していたのか。
考えたこともなかった。
俺の生活にはずっと母がいたから。
重荷として。
でも母を捨てるなんてできなくて。
母から離れるなんてできなくて
青 家はどうすればいい。
片親ってだけで大変なのに学校は?
バイトだって結局続けるには親が必要や。
結局一人じゃ何にもできないんよ。
青 もう俺は…これ以外の生き方を知らんねや…
じゃあな。
俺はまた、夜の街へと消えていった。
コメント
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皆様なら青になんて声をかけるでしょうか。 よろしければコメントで教えていただけると嬉しいです。