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「え?」
静かな教室に声が響き渡る。
「青が、ですか、、?」
数分前、俺は屋上に行く時間まで教室で待機をしていた。
「…も!…あお…た!」
ボーッとしていたので、最初は全く先生の声に気づかなかった。
「桃!青が通り魔にあった!」
はっきりと言葉が聞こえ、俺はようやく理解した。
「え?」
やっとのことで俺は声を出した。
先生はああ、と言うと、とにかく危険な状態だということ、どこの病院にいるのかなどを俺に伝え、すぐに向かうように説明した。
返事もせず立ち上がり、俺は荷物を持って走り出した。
人生で一番速く、一番長く走ってついた病室。
そこには、腹部を包帯で巻かれ、点滴を打たれながら静かに眠っている青がいた。
ゆっくりと近づき、手を握る。
手を握り返してくることもなく、ただただ温かいその手は、生きているようで、生きていなかった。
ずっと手を握っていたが、目を覚ますことはなく、いつのまにか外は暗くなり、今日が終わろうとしていた。
面会時間の終了を伝えられ、俺は仕方なく家に帰ることにした。