一一支度後それとなく学校とは何か聞いてみた。
「勉学を学びに行くのですよ。同年代の少年少女達と共に」
そんな回答しか得られなかったが、その情報だけで十分だった。だってその頃この体、アルトリアの肉体の記憶が蘇ってきたのだから。
彼女らと過ごした、昔の記憶。走馬灯のように頭の中を駆け巡り、私に『過去』を思い出させた。
冬の記憶なんてない、温かさに満ちた春の記憶。妖精國で私が望んだもの。あそこでは私の春は立香との思い出だった。だが、
(普通に話をして、普通に歩いて、普通に生きているだけなのに。特別なことなんて何もないのに。なんでこんなにも…)
暖かいのだろう。この記憶が本当に自分のものなのか疑いたくなるほどに、記憶のなかの私は楽しそうに、笑っていた。
記憶が定着し始め、私は『私』を思い出した。
「行ってきます!」
アヴァロンと声をそろえ挨拶をし、扉から出た。先は陽だまりに満ちており、木々の隙間から木漏れ日が落ちていた。空は良く晴れ、隣近所からは朝ご飯と干した洗濯物の柔軟剤の良い匂いが漂ってくるため、この先いいことがあるかのように錯覚させた。
「おぉー!おっはー!!アルっち達!」
やっぱり錯覚は錯覚でしかなかった。なぜなら後ろからものすんごい勢いで何かが飛びついてきたからだ。いや私の記憶のなかではこんなことする人は一人しかいないんだが…
「おはよう、なぎこさん」
そう、このギャルみの効いた喋り方はこの人しかいないのだ。
「アバっちもおっはー!!」
うわ、笑顔眩しっ!というかお姉ちゃんってこういうタイプ苦手そうなのに以外と会話続いてるのなんでなんだろう。
「なぎこさん、制服を改造してはいけませんよあと、バではなくヴァです」
あ、そここだわるんだ
「制服改造はいいとしてさ?その発音むずいんだよ〜。バ?いやバ?違うな〜」
「ヴァ です」
「ヴァ?あ、言えた!!イェーイあたしちゃん最強!!」
かわいい…子犬みたい…
「まあそれは置いといて、制服改造の件、はぐらさないでくださいね?」
「まぁまぁ、そんなお堅いと人生つまんないゼ☆?」
後ろからギャル2の声がした。もう幻聴であってほしい。
「鈴鹿さんも、制服改造は校則違反ですよ?」
と拳を見せながらにこやかに微笑む我がお姉様。ゔ と鈴鹿さんの短い断末魔が聞こえた。
学校までは賑やかな旅路になりそうだ。
学校にて
「じゃ!またねー!!」
二人はそれだけ言って嵐のように去っていった。
「では私も、問題は起こさないでくださいね。アルトリア」
起こさないってーと返事をしながら私とお姉ちゃんと別れる。
そういえば、立香はどうしてるんだろう。立香もこっちに来ているのなら是非会いたいところなのだが、と歩きながら考える。気がついたら教室には着いていた。
ガラガラ
教室はいつも通り賑やかだった。だが、入ってきた自分が異分子だと思うほどに、扉の音がした途端、話が止んで皆がこちらに目をやる。だがそんな時間はすぐに終わり、みな各々の話に戻る
(あの空気が苦手なんだよなー)
そんなことを思いながら自分の席に座り、授業を受ける支度をする。アルトリアの1日が始まった
一一数分後
「はーい、HR始めるので席に着いてー」
教師のそんな掛け声で席を出歩いていた生徒達はぞろぞろと自らの席に戻っていった。
「〜〜〜」
正直寝てしまう程つまらない話の中である単語が私の耳に留まった
「突然ですが、このクラスに転校生が来ています!」
教師がそう言った途端、クラス内の雰囲気が変わった。性別が気になる声が多く上がった。私も内心ドキドキしていた。なぜなら、え、立香かも?!と思ってしまったからである。あちらと世界が違うからそのようなことはありえないはずなのだが、人間とは希望に縋る生き物なのである。ならばこの思考もしょうがないと心の中で言い訳をしていた。
「では、オベロン・ボーティガーンさん、入ってきてください!」
は?オベロン?なぜに?そんな考えが私の中を渦巻いた。
「どうもこんにちは!海外から留学してきました!オベロン・ボーティガーンです!よろしく!」
あの猫を被った王子様っ気たっぷりの笑顔と喋り方、あれは完全にオベロンである。いやなんか黒髪だけども!!女子はキャー!イケメン!!と言っているがそんなの上っ面だけである。はぁ、そりゃ立香なわけないよな…と諦めていたそのとき
「そして次に、藤丸立香さん、入ってきてください!」
え、と私のアホ毛が反応した気がした。入ってきたのは私と同じ17歳の少女、太陽の様に明るい髪色、その一部分をシュシュでしばっている、私とかつて旅をした、あのときの立香だった。否、正確には右頬、左のふともも辺り、両方の手の甲にガーゼを付けていた。
「りつ、か?」
つい声に出てしまった。それだけ衝撃的だってことだ。
「藤丸立香です。両親の都合で地方から転校してきました。よろしくお願いします。」
そしてぺこり、と一礼をした。男子の方からえ、めっちゃ可愛くね?!と、声が上がった。ふふん、立香は可愛いんだ!!と心の中でなぜか私が自慢をしていた。
「じゃあ、オベロンさんは、、綾奈さんの隣に座ってください」
綾奈さんは誰だかしらないが、おとなしめの女の子だった。オベロンが気さくにこれからよろしくね!と話しかけると、赤面した様子でよ、よろしくお願いします…と言っていた。ははーん、あの子かなりの地味子だが、ふんふん素はかなりいいだろう、私の妖精眼(もう無くなったけどね)を侮ること勿れ。
「じゃあ立香さんは、、、アルトリアさんの隣で」
「うぇえ?!」
驚きで声を発してしまった。
「あら、いやならそうね、、、」
「全っ然嫌じゃありません!!立香さんは私の横で大丈夫、いや、私の横にしてください!!!」
大声で叫んでしまったので、みんながこちらを向いた。やば、恥ずい…
「じゃ、じゃあアルトリアさんの隣で」
先生にも引かれた
「アルトリアさん、よろしくね」
そう言って私に向けて笑顔をつくった。うぐっ!その顔だけでご飯十杯はいける…
一一一一一一一一一書きたいこと
長いのか長くないのか分からんですよ…
そしてこの時空のアルトリアは完全に立香推しって感じです。
(書くことない…)じゃ!
コメント
6件
最高すぎません?全部よんで全部いいね連打させて頂きましたぁぁぁぁ!!!続き楽しみに待ってますぅ!!!!最高です話作るのうますぎですよ!!!!!!新しい話出るまでいつまでも待ちますぅ
全部読んだよ!!やっぱ天才っすわ。。。続き読むのたのしみ!