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くもりのち晴れ

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くもりのち晴れ

6 - 第6話 最後のホームルーム

2025年03月12日

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教室にもどってきて、最後のホームルームが始まった。

日曜日ということもあって、生徒の保護者も多く教室に入ってきた。


篠井先生: 「最後の学級会をします。

卒業、おめでとう。

みんなは・・・」


一年ちょっと隣の席に座っていた天宮さんはもう遠くの席に座り、前を見ていた。

いつも通りの幸恵さんだった。

その遠くにいる天宮さんを見て、また2年3組の初日の風景がフラッシュバックした。


K(僕): 「(あのかわいい子はなんていう名前なんだろう?)」


さっちゃん: 「天宮です。」


K(僕): 「(天宮さんっていうんだ。)」


****************************


K(僕): 「班長に立候補します。」


K(僕): 「えーと…

出席番号が最初の天宮さんかな?」


K(僕): 「副班は誰かしてくれる?」


さっちゃん: 「うーん・・・

じゃあ…」


****************************


K(僕): 「自転車引くよ。」


さっちゃん: 「・・・うん。」


****************************


さっちゃん: 「あ、教科書忘れちゃった。」


K(僕): 「一緒に見る?」


さっちゃん: 「え?

ありがとう。」


****************************


小石さん: 「さっちゃんのこと、好きでしょ?」


K(僕): 「な、なんのこと?」


小石さん: 「好きじゃないなら三学期、さっちゃんはうちの班にもらうから。」


小石さん: 「協力してあげるから、教えてよ。

絶対に他の人には内緒にするから。」


K(僕): 「・・・うん。天宮さんのこと・・・好き・・・かな・・・。」


****************************


小石さん: 「そのちりとりをさっちゃんにあげるから、ちょうだい。」


K(僕): 「なんで?

あんまり上手くできなかったから恥ずかしいし、それをあげるなんて・・・。」


さっちゃん: 「ありがとう。」


****************************


さっちゃん: 「家庭科で作ったプリンだけど…。」


さっちゃん: 「食べてくれる?」


K(僕): 「僕に?

ありがとう。」


さっちゃん: 「帰ったら食べてね。

でもあまり期待しないでね。」


****************************


K(僕): 「昨日はありがとう。」


K(僕): 「手紙文:

大変美味しくいただきました。

こんなにおいしいプリンは初めてでした。

怪人21面相」


さっちゃん: 「手紙文:

お褒めの言葉、ありがとう。

怪人21面相って、優しいところもあるんですね」


******************************


小石さん: 「好きならはっきりさっちゃんに告白したら?」


K(僕): 「…」


さっちゃん: 「…」


小石さん: 「もう時間がないから、二人ともつきあうでいいよね。」


******************************


さっちゃん: 「ねえねえ…

今度、西高の定期演奏会があってチケットがあるんだけど。

一緒にどうかなって思って・・・」


さっちゃん: 「皆別々に行くから、私たちだけだよ。」


K(僕): 「仕方ないことなんだけど、みんながじろじろ見るんだけど…」


さっちゃん: 「照れちゃうね。」


*******************************


さっちゃん: 「それと遅くなったけど、クリスマスプレゼント。」


さっちゃん: 「手紙文:

お母さんに手伝ってもらいながら、セーターを編みました。

ちょっと大きいかな?」


**************************


さっちゃん: 「今いい?

数学の問題教えてほしいの。」


K(僕): 「えーとね…」


K(僕): 「こういう曲のイ短調とか、長調とかどうやったら分かるの?」


さっちゃん: 「楽譜のフラットやシャープに注目して…」


**************************


K(僕): 「第2ボタンもらって。」


さっちゃん: 「もらっていいの?」


*******************************


K(僕): 「ねえ、一緒に歩こうか…」


さっちゃん: 「うん。」


K(僕): 「今一番欲しいものは何?」


さっちゃん: 「サックスかな?」


山口先生: 「みんなと一緒に行動しないとだめだぞ。」


**************************


小石さん: 「放課後、さっちゃんが話があるって。」


小石さん: 「別れようって言われても、認めちゃだめだから。」


さっちゃん: 「もう別れよう。」


K(僕): 「絶対に無理?」


さっちゃん: 「・・・・

うん…」


ゆっくりと、だけどたくさんの想い出がどんどん湧いてきた


K(僕): 「(大好きだった、そして今も好きな天宮さんとは本当にもう会えないかもしれない。

あの照れながらの笑顔をみることはないんだ。)」


そう思うと自然に目が涙でしみてきた。


K(僕): 「まずい、泣くかも。」


篠井先生: 「3年3組のみんな、それぞれの場所で頑張ってね。」


きっとまたどこがで会えるからって言いきかせても、涙は溢れてきた。

小学校の卒業式はもちろん、高校も大学も卒業式で泣いたことはなかった。

後先見ても中学校の卒業式しか泣いてない。

これでもかっというくらい両目から涙があふれ、涙を流すではなく、人前もはばからず号泣だった。

天宮さんも、クラスメートも自分の親も、きっと天宮さんの親御さんもいたんだろうけど、そんなことを気にする余裕もなく、泣きじゃくった。

9か月まえに別れていても、距離的にも天宮さんと離れたくない・・・、その証拠の涙だった。

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