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side.若
まだ涼ちゃんは眠ったまま。さっきお医者さんが来て、麻酔がよく効いているから今日は起きないだろうと言って、戻って行った。
俺と元貴は特別に病院に泊まって、涼ちゃんのそばにいていいんだって。もう夜になったけど、食欲もないし気持ちは落ちたままで、涼ちゃんの顔をぼーっと見つめていた。
大森「ん…ぅ、」
若井「元貴、?」
大森「ぅ?わか…?」
元貴が起きた。寝ぼけながら俺を見つめてきて、なんでか胸がぎゅっとなった。また泣きそうになって、元貴を思いきり抱きしめる。
涼ちゃんはこんな状態だし、元貴はぐっすりだしでずっと緊張していた。体中がカチカチに固まってて、安心なんかできなかった。元貴だって、こんな時に寝ちゃうから、起きないかとか思っちゃって。元貴の暖かさに泣けてきた。
俺、こんなによわよわだっけ。
若井「元、貴…」
大森「涼ちゃんは…?」
若井「もう大丈夫、って」
大森「そっか。ごめんね、寝ちゃって」
若井「そんなのいい…俺こそごめん、 こんなに、泣くつもりじゃなくて、その、」
大森「なんで謝るのさ…1人にさせちゃって、ごめんね。いっぱい、泣いていいよ」
元貴をあやしてたはずなのに、今度は俺が抱きしめられる。優しく頭を撫でてくれて、安心して、元貴の服に顔を埋めて泣きじゃくる。こんな姿、あんまり見せたくなかったんだけど…
若井「うぅ…りょ、ちゃあ…ひぐっ、ぁう、」
大森「うん、うん、頑張ったねえ、」
若井「怖かっだあ…し、死んじゃうって…」
大森「うん。怖かったのに、1人でいっぱい頑張ってくれて、ありがとう」
長い間泣きまくって、疲れ果てて膝の上にいる元貴に寄りかかる。なんだか恥ずかしくて申し訳なくて、謝罪を口にすると怒られた。
大森「若井。なんで謝るの。俺、舞台袖にいたとき、すっごい怖かった。若井は今日ずっとそう思い続けてたんでしょ?ほんとに頑張ったね。若井、ありがとう」
若井「ん…元貴、涼ちゃん起きたら、お話、しよね」
大森「うん、そーしよ。そういえば、ご飯食べてないよね、」
若井「いらない…お腹、空いてない」
大森「だめ、こういう時こそ、ね」
若井「うん…分かった…」
元貴が売店に行ってくれて、2人でご飯を食べる。全然乗り気じゃなかったけど、元貴がいてくれたから普通に食べられた。1人じゃ、やっぱ無理だ。
涼ちゃんはいい夢でも見てるのか、微笑みながら眠っていた。
大森「若井、見てほら、涼ちゃん。」
若井「くっそ、すやすや寝ちゃってさ、」
大森「俺たち、振り回されてばっかだね」
若井「起きたらお説教だしな」
大森「そうだそうだ。みっちりやってやる」
涼ちゃんのふわふわの髪の毛を撫でながら、軽口を叩く。気持ちも落ち着いてきたので、元貴とゆっくり話をする。 ほんと、どんだけ怖かったと思ってるんだ。
起きたら、抱き潰してやる。
次の日の朝、涼ちゃんはいつもの朝みたいにすくっと目覚めた。
眠り姫の起床。
コメント
3件
わぁ〜ぉ抱き潰す😁 続きが楽しみ!