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朝の光が差し込む仲、澪は制服の襟を整えていた。
(⋯⋯久しぶりの学校⋯⋯)
鏡に映る自分の姿が、少しだけ遠く感じる。
「澪さん」
振り返ると、朧が静かに立っていた。
「⋯⋯似合っています。けれど⋯⋯少し、寂しいですね」
「朧さん⋯⋯」
「あなたがいない時間が、こんなにも長く感じるとは思いませんでした」
澪はそっと朧の手を握った。
「私、ちゃんと帰ってきます。”ただいま”って言うから⋯⋯待っててください」
朧は微笑み、澪の額にそっと唇を落とした。
「⋯⋯いってらっしゃい、澪さん」
学校の門をくぐった瞬間、澪は少しだけ足を止めた。
(⋯⋯なんだか、空気が違う⋯⋯)
緊張しながらも、教室に足を運ぶと、クラスメイトたちの視線が集まった。
クラスメイトたちは一瞬驚いたような表情を見せた。
「澪ちゃん!久しぶり!」
「元気だった?心配してたよ〜!」
「なんか雰囲気変わったね⋯⋯」
澪は戸惑いながらも、笑顔を返した。
(⋯⋯みんな、優しい⋯⋯でも⋯⋯)
どこか、心がふわふわしていた。
授業中も、ノートを取りながらふと窓の外を見てしまう。
(⋯⋯朧さん、今なにしてるのかな⋯⋯)
夕暮れ。澪は屋敷へと続く山道を、少し駆け足で登っていた。
(はやく⋯⋯はやく、会いたい⋯⋯)
門をくぐった瞬間──
「おかえりなさい、澪さん」
朧が、そこにいた。
「っ⋯⋯!」
澪は思わず駆け寄り、朧の胸に飛び込んだ。
「ただいま⋯⋯!」
朧は驚いたように一瞬固まったが、すぐに澪を優しく抱きしめた。
「⋯⋯おかえりなさい。待っていましたよ」
朧は澪の方に顔を寄せ、そっと囁いた。
「私は⋯⋯ずっと、あなたのことを考えていました」
「⋯⋯私もです」
ふたりはしばらく、何も言わずんい寄り添っていた。
その夜。澪は制服を脱ぎ、いつもの着物に着替えていた。
「やっぱり⋯⋯こっちの方が落ち着きます」
「私も、そう思います」
朧は澪の髪をそっと撫で、優しく微笑んだ。
「今日も⋯⋯よく頑張りましたね」
「⋯⋯朧さんが待っててくれてたから⋯⋯」
朧は澪の手を取り、そっと唇を寄せた。
「では⋯⋯ご褒美を」
「⋯⋯んっ」
ふたりの唇が、静かに重なった。
それは、”ただいま”と”おかえり”を交わすような、優しいキスだった。